気になる便秘。妊婦でも便秘薬って飲んで良いの?

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

妊婦の皆さん、体調はいかがですか?

便秘にお困りの方はいらっしゃいますか?

私は妊娠する前から便秘気味ではあったのですが、妊娠後にひどい便秘で苦しむことになりました。

今回は、その経験を元に便秘の原因や解消法、便秘薬について、お伝えしていきたいと思います。

 

地味にきつい。便秘との戦い。

妊娠前、コンスタントに出る時もあれば、何日も出ない日もあるという状態だった私。

薬には頼らず、ヨーグルトなど、お通じに良さそうな食品を摂ったり、マッサージをしたり、工夫して乗り切っていました。

ところが妊娠後、だんだんと便秘の程度がひどくなっていきました。

出ない日が続くようになったのです。

そればかりか、出すときも出しにくいというか、なかなかスムーズに出てこない感じ。

それでも薬を飲むことに抵抗を感じて、努力を続けていました。

そして妊娠5カ月を迎えたある日。

仕事中に便意があり、トイレに行くと・・・

ついに、出なくなってしまったのです。

おわかりになりますか?

どんな状況かというと、出そうなのに出ないまま、排泄途中でSTOP!

「あれ??」と思いましたが、まぁ待っていればそのうち出るだろう、と初めのうちは軽く考えて座っていたのです。

しかし、5分待っても10分待っても、変化なし。

時間だけが過ぎて行く中、中途半端すぎて立ち上がることもできず・・・という膠着状態。

段々と「これはマズイことになった」と焦り出しました。

おなかに赤ちゃんがいるので、力いっぱい「うーん」なんて怖いのですよ。

でも結果的には頑張って「うーん」を続けました。

この時、なんと排泄に1時間を要し、仕事への支障も大!

また同じ事態でトイレ立てこもり事件になったらマズイ!と思って、産婦人科で相談することにしました。

原因は水分不足で便が硬くなったことや排泄機能や筋力の低下など。

先生に相談して、妊娠時でも飲める「便を柔らかくする便秘薬」を処方してもらいました。

 

いきんで出血した場合は

便秘になってしまうと、トイレにこもって、長時間いきむなんてこともありますよね。でも注意が必要です。

いきむことで腹圧がかかり、切迫早産のリスクに繋がる可能性があるため、なるべく長時間いきむことのないように便秘を予防したいところですが、

もし、いきんで出血してしまったら、お湯でやさしく洗い流し、清潔を保ちましょう。

痔ができてしまっている場合、強い痛みやひどい出血がある場合には早めに受診を。

 

便秘の仕組み

なぜ妊婦になると便秘になるのかご存じでしょうか?これにはいくつか原因があります。

①黄体ホルモンの影響による消化器官の動きの低下

②子宮が大きくなることによる腹部・腸への圧迫

③運動不足による筋力・ぜん動活動の低下

④水分不足

⑤つわりなどによる食生活の変化

⑥いきむのが怖くて排便が進まない

妊娠を継続していくために、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるのですが、それが胃や腸などの消化器官の筋肉を緩ませてしまい、消化が進みにくくなります。

また、妊娠することで安静に過ごす時間が増え、必然的に運動不足になっていきます。そのことが全体の筋力や消化器官の活動に影響してしまうようです。

そして、おなかの中の赤ちゃんが育っていくためには、たくさんの水分が必要です。通常の水分摂取量では足りずに、水分不足になってしまうことも便秘の大きな要因といえます。

 

妊婦でも飲める便秘薬ってどんなもの?

妊娠すると女性ホルモンの影響で腸の働きが悪くなることがあります。もともと便秘気味の方は悪化することも。

また、妊娠後期になると、腸が大きくなった子宮に圧迫され、便の通過障害が起こり、便秘になりやすくなります。この時期には便秘の相談で受診をされる方も増えるのだそう。

予防のためにも、食事の改善や適度な運動を心掛けたいですね。

 

妊婦でも飲める便秘薬ってどんなもの?

妊娠すると、赤ちゃんへの影響が心配で、薬を飲むのが怖くなりますよね?

私もそうでした。

しかも、便秘薬というと飲んだらおなかが痛くなるイメージ。

便秘になったからといって、便秘薬を簡単に飲む気にはなれませんでした。

でも、自分の努力だけでは無理だとわかった時に処方された便秘薬を飲んでみて、「なんでもっと早く相談しなかったんだろう!超快適!!」

安全性についても、先生からちゃんと説明してもらったので、安心して飲むことが出来ましたよ。

妊婦さんが処方される便秘薬は、おそらくこのタイプです。

「マグミット錠」

酸化マグネシウムを主成分とする便秘薬です。昔から産婦人科で処方されていて、安全性が高いとされているものです。

水分で便を柔らかくしてくれる薬ですから、刺激性のものと違って、おなかが痛くなりにくいのも特徴です。飲む量によって柔らかさも調節できます。

ちなみに、私が飲んでいたのはこの薬です。

「ラキソベロン」

ピコスルファートナトリウムを主成分とする便秘薬です。

胃や小腸では吸収されず、大腸だけで作用してくれて、ほとんどが便として排出されるため、赤ちゃんへの影響は、ほぼないそうです。液体タイプもあって自分で飲む量を調節できます。

 

市販薬を取り入れるのは?と考える方もいらっしゃるかと思いますが、自己判断で市販薬を服用するのは危険です。

腸に刺激を与える下剤は、子宮収縮を誘発してしまう可能性があるため、容量を誤ると切迫流産などを起こす恐れもあります。

便秘は恥ずかしいことではありませんので、早めに医師に相談し、便秘のストレスも解消しましょう。

 

それでも薬は飲みたくない!どうしたら良い?

いくら安全と言われても、出来る限り便秘薬に頼りたくない真面目な妊婦さんのために。

便秘解消のためにできることをご紹介します。

①毎朝コップ1杯の水を飲む

朝は失われた水分を補給する最高なタイミングです。

まだ動き始めていない朝の胃に刺激を与えることで腸のぜん動運動を促すことができます。また水分が便を柔らかくしてくれるので一石二鳥!ぜひ習慣にしてみてください。

②とにかく水分補給!

妊婦さんは1日に2リットルの水分摂取が必要と言われています。水分不足は硬い便の原因になります。

絶対に避けたい水分不足ですが、2リットルという量は、なかなか手強いですよね。

カフェイン抜きのお茶などを上手く使って、意識して水分摂取していきましょう。

③食物繊維を摂る

つわりの影響で、なかなか難しい時期もありますが、水溶性の食物繊維を意識して摂ることで便を柔らかくすることができます。

食物繊維には水溶性と不溶性があり、水溶性は水に溶ける食物繊維です。水溶性の食物繊維を摂ることで、水分を含んで便が柔らかくなり、腸で善玉菌を増やす働きもしてくれます。

水溶性の食物繊維を含む食べ物は、バナナ、キウイ、オクラ、山芋、ごぼう、納豆、こんにゃく、海藻類など。

不溶性の食物繊維は、腸の動きを良くしてくれますが、同時にかさが増えるため水分を取られてしまって、便秘の原因になることがあります。オススメは水溶性です。

④オリゴ糖で善玉菌を増やす

オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサになり、善玉菌を増やすことに役立ちます。善玉菌が増えることで腸内環境が整うのです。お砂糖と同じ役割で調味料として使用することができますので、積極的に取り入れてみましょう。

⑤適度に体を動かす

おなかが大きくなると動きにくくなり、どんどん運動不足になっていきます。運動不足は筋力の低下、腸への刺激不足に繋がり、便秘の原因になります。

軽いウォーキングやマタニティヨガなどを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。ストレス解消にも繋がりますよ。

⑥副交感神経を刺激する

副交感神経とは、体の回復や修復のために働く神経で、老廃物を出す働きがある神経です。

寝ると疲れが取れるのは、この神経のおかげなのですが、リラックスしている時にもこの神経は働いてくれます。副交感神経が優位になると、老廃物を出す流れ、すなわち排泄についても促されます。

私はよく本屋さんで本を選んでいる時や家でカタログなどをぼんやり見ている時に、トイレに行きたくなります。

これは副交感神経が優位になった証拠。

いろいろな不安も多い妊娠期間ですが、些細な瞬間に副交感神経は働いてくれますから、ご自分なりのリラックス方法を見つけてくださいね。

まとめ

赤ちゃんの成長が気になる妊娠期間ですが、便秘がひどいとおなかが張ることにも繋がります。あまり無理をせず、安全性の高い便秘薬を取り入れることもお勧めです。

また日頃から、栄養・運動・水分補給などを心掛けていくことで、心も体も健康な妊娠生活を送りましょう!

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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