妊娠後期に入り、つわりのような症状が現れ、つらいと悩んでいませんか。
妊娠後期(妊娠28〜39週)(※1)には「後期つわり」と呼ばれる症状が現れるケースもあり、胸やけ・嘔吐・頭痛などを引き起こします。
思うように食事をとれず、体調が心配になることもあるでしょう。
しかし後期つわりをやわらげる方法はあるのです。
この記事では、おもに以下のような内容を解説していきます。
・妊娠後期におけるつわりの症状と原因
・後期つわり6つの対策
・後期つわりにおすすめの食事
この記事を読むと、後期つわりの改善方法がわかり、落ち着いて妊娠後期を過ごせるようになりますよ。
(※1)出典: 一般財団法人 女性労働協会内(厚生労働省委託事業)「働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」妊娠中の身体の変化と対応ポイント
妊娠後期のつわりが引き起こす5つの症状
妊娠後期になると、つわりと似た症状が現れることがあります。
妊娠後期に起こるつわりと似た症状は「後期つわり」と呼ばれ、様々な体調の変化が起こります。
おもな症状には、以下のようなものがあります。
・吐き気
・嘔
・胸やけ
・胃痛
・頭痛
また慣れない妊婦生活による睡眠不足や、体の不調によりストレスが溜まると「神経性胃炎」になる場合もあります。
このような辛い症状が起こる原因について説明していきます。
妊娠後期につわりが起きる3つの原因
妊娠後期につわりのような症状が起きる原因は、おもに3つです。
・子宮の成長
・黄体ホルモンの分泌
・ストレスや不安
それぞれについて、詳しく説明をしていきます。
原因1:子宮の成長
妊娠後期(妊娠8カ月〜)の胸やけや食欲低下は、子宮が胃を圧迫することが原因の1つです。
妊娠後期になるとお腹がかなり大きくなっているため、子宮の上部がみぞおちのあたりまで上がってきています。
胃が持ち上げられることにより、胃液が食道に流れやすくなり、気持ち悪さや吐き気などの症状を起こすことがあるのです。
また胎児は、妊娠後期の終わり頃に差し掛かると、スイカほどの大きさ(約3,100g)まで成長します(※2)。
その胎児の成長にあわせて大きくなった子宮が胃を圧迫し、食べ物の消化に時間がかかってしまうことも原因と考えられています。
(※2)出典:岐阜県御嵩町 公式ホームページ「◎妊娠~出産までの流れ」
原因2:黄体ホルモンの分泌
妊娠週数が進むにつれ、胎盤から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになり、胃や腸の働きが弱まってしまいます。
その結果、消化不良が起こり、吐き気や嘔吐といったつわりの症状が出てしまいます。
原因3:ストレスや不安
妊娠後期は、出産が近づくにつれてストレスや不安が高まる時期でもあります。
ストレスが増加すると「コルチゾール」といったホルモンの分泌が促進され、消化器系に悪影響を与えて、吐き気や胃部不快感を引き起こす可能性があるのです。
またストレスは自律神経系にも作用し、交感神経を活性化させることで消化器系の活動を抑制する場合も。
結果、消化不良や吐き気を感じやすくなります。
また強い不安を感じると、体の細かな変化や不快感に対して過敏になり、吐き気などの症状をより強く感じる傾向にあります。
さらに不安による心拍数の上昇や血流の変化が、吐き気を誘発する可能性もあるのです。
妊娠後期のつわりはいつまで続くのか?
妊娠後期のつわりは臨月(妊娠10カ月)に入り、赤ちゃんが子宮口のほうへ下がっていくと落ち着いてくる場合があります。
赤ちゃんが下がってくることで、その分胃への圧迫が軽減されるためです。
しかし、症状の始まる時期や終わる時期には個人差があります。
妊娠後期のつわりに効果的な6つの対策
後期つわりに有効な対策は以下の6つです。
・食事は少量を1日5~6回にわける
・食前食後の水分補給タイミングに気をつける
・飲むものに注意する
・消化によい食べ物をとる
・消化に悪い食べ物を避ける
・寝る姿勢に気をつける
順番に解説していきます。
対策1:食事は少量を1日5~6回にわける
胸やけや胃もたれを少しでも和らげるためには、食事を少量ずつ分けよく噛んで食べましょう。
一度に沢山の食事をとると大量の胃酸が分泌され、胃を刺激してしまいます。
また、食べたものの消化までに時間がかかってしまい、胃に負担をかけることにもなるのです。
満腹もよくないですが、空腹も胃酸による胃痛を起こしやすいため、食事は複数回に分けてとるように心がけましょう。
3食の食事は控えめに、腹持ちするおやつを食べると効果的です。
軽食を1日4〜5回とるとよいでしょう(※3)。
(※3)出典:西宮市公式ホームページ「妊娠中の食事のポイント」
対策2:食前食後の水分補給タイミングに気をつける
水分補給をする際は食前食後に大量の水を飲まないようにしましょう。
このタイミングで大量に水分をとると、食事の消化を妨げてしまうためです。
また、大量にまた冷たい水を一気に飲むと、胃に負担がかかり胃痛を引き起こす原因となります。
できるだけ常温水や白湯などを飲みましょう。
対策3:飲むものに注意する
「炭酸水」「果汁100%のフレッシュジュース」などは、口の中や胃がスッキリして効果的だったという妊婦さんが多いです。
ただし炭酸水は、飲みすぎると逆に胃を圧迫してしまうほか、炭酸飲料やジュースには糖分が多く含まれます。
いずれも飲みすぎには注意しましょう。
対策4:消化によい食べ物をとる
胃に負担がかかりにくい食事をとることが大切です。
胃に負担がかかりにくい食べ物には、以下のようなものがあります。
・うどん
・鶏ささみなど脂身の少ない肉
・白身魚
・豆腐
・卵
・バナナ
・りんご
・ヨーグルト
つわりの症状があると、みかんやレモンなど柑橘系の食べものを取りたくなるときもありますが、胃酸の分泌を高め胃痛に繋がるリスクがあるため、おすすめできません。
果物を食べたくなったときは「桃」「リンゴ」などを小量ずつ取るとよいでしょう。
対策5:消化に悪い食べ物を避ける
消化に悪い食べ物には、以下のようなものがあげられます。
香辛料 |
・カレー |
繊維が多い食材 |
・きのこ類 |
油分が多い食材 |
・バター |
消化しにくい食材 |
・タコ |
上記のような消化の悪い食事を避けることで、つわりの不快な症状を軽減できるでしょう。
対策6:寝る姿勢に気をつける
妊娠後期に入って、「寝転ぶと気持ち悪い」「気持ち悪くて眠れない」と悩む妊婦さんも多いでしょう。
寝る姿勢によっても、胃痛が軽減できるといわれています。
「仰向け」になると重力によって胃が圧迫されやすく、胃酸も逆流しやすくなります。
上半身を少し起こして、半座位の姿勢で寝ると胃痛になりにくいです。
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターが公表している情報によると「食後2〜3時間」の間に横になると、胃酸が食道に逆流する「逆流性食道炎」になりやいともいわれています(※4)。
また妊婦さんに大切な睡眠の質を担保するため、食事は寝る2時間前までに済ませるようにしてくださいね(※5)。
(※4)出典:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「逆流性食道炎ってどんな病気?」
(※5)石川県ホームページ「間食・夜食がやめられなくて困っています(食に関する困り事・関心事)」
【食べられないを解消】妊娠後期のつわり対策におすすめの食事
「つわりで食欲がない」と悩んでいる妊婦さんにぴったりな食事を紹介します。
今回紹介するのは「豆腐と豚肉のすりおろしレンコン雑炊」。
管理栄養士がおすすめする胃にやさしいとっておきのレシピです。
材料
下記は1人前の材料です。
ごはん |
100g |
豚肉薄切り |
30g |
木綿豆腐 |
50g |
レンコン |
50g |
ほうれん草 |
20g |
卵 |
1/2個 |
だし汁 |
300ml |
醤油 |
お好みで |
作る手順
1.レンコンをすりおろす
2.ほうれん草をやわらかく茹でる
3.鍋に「だし汁」「すりおろしたレンコン」「豚肉」「木綿豆腐」を入れて煮る
4.豚肉に火が通ったら「ごはん」を入れ3分程さらに煮る
5.ごはんがやわらかくなったら「茹でたほうれん草」と「溶き卵」を入れる
6.「醤油」で味を整えて完成
作る際のポイント
豚肉は脂身の少ない「もも肉」を選ぶとよいでしょう。
鶏ささみもおすすめです。
繊維質の多いレンコンですが、すりおろすと消化が良くなります。
レンコンに含まれる成分は消化を助け、胃の粘膜を保護してくれる効果があるのです。
また抗ウイルス作用もあり、免疫力を高めます。
大根おろしのような特有の香りがないため、においに敏感な妊婦さんも食べやすいのがポイント。
体も心もぽかぽかになる、胃にやさしいレシピです。
ぜひ試してみてくださいね。
妊娠後期は食欲が止まらないこともある?
妊娠後期は、つわりによる吐き気・食欲低下に悩む人がいる一方、食欲が止まらず悩む人もいます。
食欲が止まらない場合、心配なのが体重増加ですよね。
国立研究開発法人国立成育医療研究センターが公表しているデータによると、妊娠期間中の体重増加は、標準体型(18.5 以上 25.0 未満)の場合「+10~12㎏」が目安といわれています(※6)。
標準体型以外の人は、以下の記事を参考に自身のBMIと体重増加の目安を確認してみてください。
妊娠中の体重や摂取カロリーの目安は?増えすぎ・痩せすぎに注意
また以下の記事では、体重管理のコツも紹介しています。
母子ともに健康な身体を維持するために必須の内容です。
妊娠後期に入って食欲が止まらないという人は、ぜひ参考にしてください。
妊婦さんの体重管理はむずかしい?理想の体重や管理のコツを紹介
(※6)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「10万人の妊婦健診情報から「妊娠中の体重増加曲線」を作成 妊娠中の体重管理の参考になることを期待」
後期つわりをやわらげるために薬を飲んでも大丈夫?
妊娠中は自己判断で市販薬を飲まず、かかりつけの産婦人科に相談して処方してもらいましょう。
胃痛が辛い場合には、合併症を起こしている可能性もあります。
無理せず、かかりつけの産婦人科に相談してみましょう。
私の後期つわり体験
私も第3子の長女を妊娠中、妊娠後期の胃痛に苦しみました。
長男と次男の妊娠時には、つわりや胃痛がほとんどなかったので、初めての本格的なつわりに苦しみました。
妊娠初期のつわりをやっと乗り越えたと思ったら、妊娠7カ月で突然やってきた謎の胃痛。
満腹でも空腹でも気持ちが悪く、いつも酸っぱいものが喉に上がってきている感じでした。
「後期つわり」という言葉もこのとき初めて知りました。
横になるとさらに胃が圧迫され夜も眠れない状態に…。
産婦人科で相談し、胃薬を処方してもらいました。
常に胃薬が手放せない状態で、習慣的に薬を服用し吐き気や痛みを防ぐようにしていました。
そして前述のような対処法を実践しながら、なんとか日々やり過ごしていました。
そのとき、病院で言われたのは「出産が近づいて赤ちゃんが下りてきたら胃の圧迫もなくなる」「出産すればなくなる一時的な胃痛」ということ。
「この胃痛は赤ちゃんが元気に育っている証拠で、もうすぐ赤ちゃんに会えるというサイン。あと少しの辛抱だ」と毎日自分に言い聞かせていました。
9カ月に入ると本当に胃の圧迫がなくなり、胃薬なしでも胃痛が起こらなくなりました。
こうして、長かった1カ月半の妊娠後期の胃痛はなくなり、無事出産を迎えることができました。
後期つわりに関するQ&A
ここでは後期つわりについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
土肥先生
土肥先生
土肥先生
まとめ
妊娠後期のつわりは、大きくなったお腹による子宮の圧迫や、黄体ホルモンの分泌が原因で起こると言われています。
臨月に入ると赤ちゃんが子宮口のほうへ下がり自然に収まることもありますが、症状が落ち着くタイミングは人それぞれです。
少しでも症状を和らげるために、食事内容や寝る姿勢を変更するなど、自分に合った方法を試してみましょう。
チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは
うまれてくる赤ちゃんやその家族のために、おなかに赤ちゃんがいる時しか準備できないことがあるのをご存知ですか?
それが「さい帯血保管」です。
さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。
この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。
このさい帯血は、長期にわたって保管することができ、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めています。
保管したさい帯血が、赤ちゃんやご家族の未来を変えるかもしれません。
しかし採取できるのは、出産直後のわずか数分間に限られています。
採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。
民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる
さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の白血病などの治療のために寄付することができます。
一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管できます。
現在治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所は、国内シェア約99%を誇る国内最大の民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所が選ばれる理由
・1999年の設立以来20年以上の保管・運営実績あり
・民間バンクのパイオニアで累計保管者数は7万名以上
・全国各地の産科施設とのネットワークがある
・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設を保有
・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得
・2021年6月東京証券取引所に株式を上場
詳しい資料やご契約書類のお取り寄せは資料請求フォームをご利用ください。
さい帯血を保管した人の声
■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)
■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)
※ほかの保管者の声はこちらから
▼さい帯血保管について、もっと詳しく
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー