2022年1月4日
臍帯血

知っていますか?さい帯とさい帯血の保管

みなさんはさい帯(へその緒)やさい帯血を保管できることをご存知でしょうか?中には、さい帯?さい帯血って何?と初めて耳にするという方もいるのではないでしょうか。
日本では、まだまだあまり知られていないさい帯・さい帯血の保管。ここでは、これから生まれてくる赤ちゃんのさい帯・さい帯血について考えてみたいと思います。

さい帯・さい帯血とは?

さい帯とはおなかの赤ちゃんとお母さんを繋ぐへその緒のことをいいます。そして、このへその緒と胎盤を流れる血液のことをさい帯血といいます。妊娠中はお母さんから赤ちゃんに必要な酸素や栄養を運ぶとても大切な役割を担っていますが、無事に赤ちゃんが生まれると、その役目を終え、このさい帯やさい帯血は捨てられてしまうことがほとんどです。

しかし、この中には人間の体をつくる元となる幹細胞という貴重な細胞が豊富に含まれているため、この幹細胞を血液疾患の治療や再生医療に役立てようという研究が進められています。再生医療や幹細胞という言葉は、あまり聞きなれない言葉ですよね。もしかしたら、テレビや新聞で目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
幹細胞は大人の血液の中にはほとんどないため、幹細胞が豊富に含まれているさい帯やさい帯血はとても貴重なものです。
さい帯もさい帯血も出産の時にしかとることができません。さい帯・さい帯血を保管する、しないに関わらず、これから出産を迎えるお母さん、お父さんには保管できることをぜひ知っておいてもらいたいです。

さい帯血の保管について

さい帯血の保管方法には2つの方法があります。公的バンクと民間バンクです。公的バンク、民間バンクの違いについて簡単に紹介したいと思います。
公的バンクは、さい帯血を無償で提供し、白血病などの血液疾患の治療に広く役立ててもらうことを目的としています。保管というよりも寄付という言葉の方がしっくりくるかもしれません。白血病などの病気で移植を必要としてる患者さん(第三者)の治療に役立ててもらうことができます。
一方、民間のさい帯血バンクは、これから生まれてくる赤ちゃんとそのご家族のために保管をしておくというものです。民間バンクにさい帯血を保管する場合、保管にかかる費用は個人の負担となりますが、万が一、さい帯血が必要になった時にいつでも取り出して利用することができます。お子さまご本人やご家族が再生医療の分野で使うことを想定して保管します。

今はまだ十分な治療法がない病気のために

さい帯血が再生医療に使われると聞いてもあまりピンと来ませんよね。具体的にはどのような病気の治療に使われる可能性があるのでしょうか。
現在、国内外において、さい帯血を使った臨床研究が行われている主な疾患をまとめてみました。現在、十分な治療法のない以下のような病気に対して、さい帯血を利用した新たな治療法の開発(研究)が進んでいます。

・脳性まひ:出産時2~3/1,000人の確率で発症
・自閉症:日本では1~2/100人の確率で発症
・小児難聴:日本では1~2/1,000人の確率で発症
・低酸素性虚血性脳症:出産時に仮死状態が長時間続くことなど、脳への血流量低下に伴う脳障害。脳性麻痺に移行する場合がある。

さい帯保管について

へその緒は妊娠期間中にお母さんとおなかの赤ちゃんをずっと繋げてくれていたものです。おなかに赤ちゃんがやって来てから、ずっとこの子とへその緒で繋がっていたのかと思うと、なかなか感慨深いものです。へその緒を出産の記念に採っておこうと考えるお母さんも多いのではないでしょうか。私も子供たちのへその緒を大切に手元に保管しています。

ですが、このへその緒を将来の医療に役立てるため、生きたまま凍結して保管しておくことができるのです。さい帯やさい帯血に幹細胞が豊富に含まれていることは先に少しお話しましたが、特にさい帯の中には、幹細胞の中でも間葉系細胞が多く含まれていることが分かってきました。

ますます聞き慣れない言葉だとは思いますが、この間葉系細胞は神経や筋肉、脂肪、骨など、さまざまな細胞に分化していきます。また、間葉系細胞は炎症が起きている場所に駆けつけて炎症を鎮めたり、傷ついた臓器を修復する力を持っています。
さい帯を保管しておくことで、将来の万が一に役立てることができる可能性があります。さい帯保管ができるようになったのは、実はつい最近のことです。さい帯保管については民間バンクでのみ可能となっています。

また、さい帯血の保管を希望しても何らかの事情により採取、保管できなかった場合に備えて、さい帯の保管を希望することもできるようです。現在、十分な治療法のない病気に対する新しい医療として研究が進んでいます。これからの医療の発展によっては、さい帯やさい帯血が今以上に活用されるようになるかもしれません。

赤ちゃんが生まれる前に

公的バンク、民間バンクともに希望すれば、全ての病院で採取してもらえるというわけではありません。また、さい帯・さい帯血の採取のチャンスは出産後のわずかな時間に限られていますし、高い技術も必要です。採取をしてもらえる病院でも、赤ちゃんやお母さんに命の危険がある場合など、出産の状況によっては採取できないこともあります。

さい帯血の保管をしたい!という方は、分娩を予定している病院がさい帯血バンク(公的バンクか民間バンク)と提携しているか、さい帯の採取をしてもらえるか、事前に確認しておく必要があります。一度、かかりつけの産婦人科で確認してみてくださいね。

さい帯・さい帯血を採取する時に痛くない?赤ちゃんに危険はない?と不安になってしまうお母さんもいらっしゃるかもしれませんが、採取する際は、赤ちゃんにもお母さんにも痛みや危険はありませんので、安心してくださいね。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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