2021年9月12日
高齢出産

気になる!高齢出産について

不妊治療の技術の進歩などから、最近は40代で出産をされる方も多くなってきました。

ただ、適齢期の出産とは違って、高齢出産に伴うリスクや注意点は少なからずあります。

妊活中の方、これからご出産の方、配慮することや心構えなども含め、気になる点をまとめてみましたので、高齢出産について、一緒に勉強してみませんか?

 

高齢出産とは?

高齢出産と聞くと、なんとなく30代後半くらいかな?という印象です。では、具体的に何歳から高齢出産といわれ、その割合はどのくらいになるのでしょうか?

・高齢出産とは、何歳から?

日本産婦人科学会によると、初めて出産する35歳以上の人を高齢初産婦とされ、一般的には35歳以上の妊婦が初めて出産することを高齢出産とし、初産婦35歳以上、経産婦40歳以上の妊娠を高齢妊娠としています。

一般的にいわれる高齢出産は、医学用語ではありません。

・高齢出産の割合は?

厚生労働省の調査によると、高齢出産は1990年代には出産数全体の数%でしたが、2010年には20%台、2019年には約30%になり、3~4人に1人は高齢出産となっています。

 

高齢妊娠・出産でのさまざまな心構えとは?

高齢出産となった場合に一番気になる点、それはリスクや注意点ですよね。また、年齢とともに体の変化もあり、いくつかのリスクは伴います。若いときに比べると、良い部分も悪い部分もあるでしょう。

①高齢出産だからできること

・豊かな人生経験を生かす。

より豊かな人生経験を重ねていらっしゃった上での妊娠、出産です。精神的な豊かさが、ご妊娠生活や出産を支えてくれるはずです。

また、社会人経験が豊富ですと、経済的な余裕も大きくなりますので、より選択肢や自由度のある妊娠、出産、育児生活が可能かと思います。

②リスクや注意点

20代の妊娠、出産に比べると、さまざまな先天的な障害や病気が起こりやすくなります。

例えば、以下のような疾患などです。

・ダウン症

母親の年齢が高くなると、卵子も老化し、染色体の異常が起こりやすくなるといわれています。

私たちの体をつくる細胞の中には、遺伝情報がつまった染色体があります。父親と母親からもらう染色体が対になり、全部で23対、46本の染色体を持つのが普通です。受精卵ができるときに、なんらかの異常が生じ、21番染色体が余分にある場合をダウン症といいます。

ただし、母体の年齢にかかわらず、先天性異常を持つ赤ちゃんは生まれます。その割合は、新生児全体のおよそ3~5%といわれています。障害や病気の程度や種類はさまざまですが、珍しいこととは言い切れません。

・心疾患

血液の流れがスムーズにいかず、呼吸機能や運動機能に問題が生じる、動脈管開存症、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症などの先天的な心臓病の可能性が増えるといわれています。

・流産の可能性が高くなる

高齢妊娠では、染色体の異常が起きやすくなるため、母親の年齢が高いほど流産の可能性が高くなるといわれています。妊娠初期に起きる流産の多くは、胎児(受精卵)の染色体異常といわれています。

③出生前診断、どんな検査がある?

・血清マーカー検査

妊娠15週からおよそ18週までに母体血液中の3つまたは4つの物質を測定し、胎児がダウン症、18トミソリー、神経管閉鎖不全に罹患している確率をそれぞれ数字で得られるものです。

・新型出生前診断NIPT

母体から採取した血液によって、胎児の染色体の数の異常を調べる検査です。この検査

は、妊娠初期に受けることができ、母体の血液を採取することだけで検査することができる点、偽陽性率が高くないことが特徴です。しかし、検査費用が高額です。

・羊水検査、絨毛検査

母体のおなかに針を刺す方法で行われ、胎児のDNAや染色体の変化を調べます。染色体異常の有無、異常がある場合には種類までほぼ正確に診断できます。ただし、流産をひきおこす危険性を伴います。

 

より安全な出産を迎えるために

では、高齢出産となったら、どんな点に配慮をしたら良いのでしょうか。

・妊婦健診を利用し、体調管理を行う

妊婦健診では、体重測定、血圧測定、尿検査など、ママの健康状態を確認します。また、高齢妊娠の場合は、妊娠高血圧症候群(※1)や、妊娠糖尿病(※2)などの合併症が起こりやすいといわれているので、きちんと状態を把握しておくことが必要です。

より安心して出産の日を迎えるために、妊婦健診でのさまざまな状態チェックが何より大切になってきます。

※1 妊娠高血圧症候群

妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧(140/90mmHg)がみられる場合、または高血圧に蛋白尿(1日300mg以上)を伴う場合をいう。

※2 妊娠糖尿病

血糖値が高くなってしまう状態で、食前血糖値100mg/dl以下、食後2時間血糖値120mg/dl以下を目標に、食事療法を中心に血糖コントロールを行う。

・妊娠前から持病がある場合の適切な対応

婦人科系の病気や(子宮筋腫等)、内科的な持病のある方は、産科的なリスクが複合的に高まるといわれています。先ほどの妊婦健診に加えて、主治医と産科の連携が大切になりますので、よく相談をされるのが良いでしょう。

 

さいごに

妊娠、出産はママの心や体に沢山の変化が起こりながら、おなかの中の赤ちゃんを育んでいきます。また、さまざまなリスクも伴います。これらは、どんな年齢においても変わらない事実と思いますが、高齢出産の場合は、より慎重な配慮やケアが求められます。

お体を大切になさって、素晴らしい出産の日をお迎えください。

赤ちゃんの産声を聞いた瞬間、すべての苦労を洗い流す幸せな時間が待っています。

 

 

◆参考

松峯寿美『やさしく知る 産前・産後ケア』高橋書店

中山攝子『35歳からの妊娠・出産』講談社

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

出産に備える
大切な情報