2020年11月13日
陣痛
#浣腸#無痛分娩

下痢と陣痛の向こうにいた神と奇跡

出産に向けて、人生初の浣腸体験

出産予定日は4月7日。当時主人は学生で、卒業を控えた2月後半、親族の反対をよそに「卒業研修旅行」で海外に行くことに。成田に向かう主人に向かって「陣痛が来たら立ち合いは間に合わないから一人で産んでおくね!」と送り出した私。立ち合いを望んで両親学級にも参加していた主人は「いやぁせっかくの初産だし立ち会いたいなぁ。破水するまではなんとか堪えてみて!」という両親学級で何を学んだのか疑わしい夫婦。

4月6日の健診で「降りてくる様子がないね。赤ちゃんは推定3400gね。。。自然分娩希望。そうねぇ。あなた、歳も歳だし、これ以上お腹の中で赤ちゃんが大きくなったら自然分娩は長時間の陣痛が辛いし、陣痛で疲れてしまう妊婦さんも多いのよ。産んだ後の後陣痛は個人差があるけれど、年齢的にも体力回復が大変よ。今からでも計画無痛分娩に変更できるからご主人と相談してみて」と私より少し若そうな女児の母でもある女医さんが助言。「無痛分娩は楽よぉ♪」の囁きが天使(同じ女性として)なのか悪魔(病院の収益)なのか決めないでおいた高齢妊婦。

その夜「ここまでたどり着けたのが奇跡。目的は出産方法ではなく無事に赤ちゃんをこの世に迎えること。計画無痛分娩にしよう。俺は入社したてだから、有給休暇はないけど、何日会社を休めばよい?」「とりあえず1日かな」

翌日病院で「日曜日に退院、逆算して火曜日に入院」にしてもらった。

入院当日バルーンの処置をし、おいしい夕食をいただきお腹の胎動は感じるが陣痛の予兆もおしるしもなく消灯。

出産当日6時集合。硬膜外麻酔に入る前の処置の説明。「人生初!浣腸」そう、わざと下痢を起こすもの。すぐにお腹が痛くなり「こんなに早く下痢になるなんて」と思ったが、看護師さんに「すぐに下痢のゴロゴロがくるけどぎりぎりまで我慢してね」と言われていたので我慢。してみたものの、何分我慢できただろうか「ソ・ソ・ウ・シ・ソ・ウ」と言い残し個室へ「こんな下痢は初めて!」。出産前に出し尽くしたと思うほどの下痢。「医学って凄い」と実感。これまでに出会った便秘に悩む人たちが語った「3日で薬。薬で出なかったら病院で浣腸。下痢をさせるとはいえ3日以上出なかった便だから、そこまで下痢で苦しまなかった」は参考にならず。

無痛分娩最高!そう思ったのもつかの間・・・

さて、分娩担当医はベテランの女医さん。

カテーテル挿入後、登場したのが「給食当番の白衣?」と思わしき衣装の主人。大柄だからか、袖は足りないし帽子のゴムもきつそう。1回目の爆笑。

「まだ痛くない?」と言う主人は心配してというより、初体験に興味津々の様子。そんな主人を私は「長丁場の暇つぶし、話し相手」と思っていた。

一緒に入ってきた助産師さんが「初産でしたよね、緊張しますか?」と優しく聞かれた時「緊張?緊張は浣腸の時に断腸の思いと共に流れていきました」とは言わずに苦笑。

分娩監視装置を時々助産師さんがチェックしにくるが、「順調ですね」としか言われない。時計を外していて時間の確認ができないまま、ひたすら主人とお喋りをしてお腹の変化を待った。全然陣痛は感じなかった。

待っている間に何度も「バースプラン」の確認をした。「ビデオ撮影禁止だからデジカメの確認」「胎盤を食べたいと書いたけど、何か言われた?凄い楽しみなんだけど」赤ちゃんと会えた直後のお楽しみは胎盤を食すことのようだ。実は私も楽しみにしていた。「あとさ、やっぱりテレビで見た出産シーンになるのかな。Sex and the Cityでミランダが嫌がっていた助産師なのにまるでチアガールっているのかな」「いないでしょ」共通事項に2回目の爆笑。やはり陣痛は感じなかった。「もし、赤ちゃんが出てこられなくて緊急帝王切開になるなら俺は躊躇しないし、出血が多くても俺は倒れないからな」励ましてくれているのか、自分の初体験を楽しんでいるのか分からなかった。ただ主人はデータを見るのが好きで、分娩監視装置から出てくる折れ線グラフの心拍の部分が「時々切れるのはなぜ?」と助産師さんに聞いていた。生まれてから判ったが陣痛がない証拠ではなかった。そして、わざと破水させていたから早く出してあげたいとも思った。

私の子宮口が急に開いて「いよいよ!」となった頃、再び女医さんが登場。そのくらいから腰が痛い、骨盤を押し広げられている気がする痛みが2分置きくらいにあって「それが陣痛ですよ。そこから先は、麻酔は効かないのですよ」と看護師さんが教えてくれた。「これぞ陣痛なのね。いきむ力に変えないと」とまだその時は「無痛分娩最高!陣痛がこんなに楽だなんて」とタカをくくっていた。

すると女医さん「あら、うまく押し出せる力が出ないわね。ちょっと切って吸引しましょう」とタイミングを合わせて吸引。分娩室内に掃除機のような音が響く。骨盤が広がるようなゴリゴリという感覚と痛みが走った。

下痢と陣痛の向こうにいた神と奇跡

「私では力が足りないわ、男の先生呼んできて!それと・・」少し分娩室が慌ただしくなったのを感じた。やがて男性医師登場。「いきますよ。ひっひっふ~」キュイーン音が響く。出てこない。私の隣にいた看護師さんが「ご主人、奥さんの背中を支えてあげて」と言ったのと同時に私の上半身が持ち上がった。膝の向こうがちらりと見えて驚愕。吸引機の周りが血だらけ。見えてきたのは「下痢の残骸?聞いてはいたけれど、赤ちゃんは下痢便、尿、血液まみれで生まれてくるってまさにこのこと?!膝の向こうの先生たちは、いつもこんな汚いものと向き合ってくれているの?!下痢便って臭くないのかしら、神だわ神!」朦朧としながら考えていた私。

「ん?赤ちゃん大きそうだね。ここも切ってもう1度いきますよ。ひっひっふ~」出てこない。

「用意して」と男性医師が指示を出す。「え?2か所切っても切腹?」急に分娩台の周りに看護師さん助産師さんが集結。出た!チアガール。(この時点で主人は笑いを堪えるのに必死だったそう。3回目の爆笑)

次の指示が出る前に私は声を絞り「も、もう一回お願いします」ホワイトアウト寸前。背中を抑える主人の手がかすかに震えている。「なんとしてもこのまま産み終えないと!」よくわからない使命感。すると男性医師が「あと1回だからね。じゃぁ、一人上に乗ってご主人はそのまま支えて、いきますよ。ひっひっふ~」「ヴガ~(結局陣痛ぅ~)」という雄たけびと同時にお腹をかかとで踏まれて押され、お尻もおまたもバラバラに砕けたかもしれないが、物体がびちゃびちゃ音と共にぬるっと出てきた。「やっと会えた」と思った赤ちゃんだったが真っ黒に見えた。汚物まみれだったのか全身チアノーゼだったのか、すぐに分娩台の向こうに連れていかれて処置を受けた様子。そして「あれ?泣かない」と思ったときは主人の手は私の背中から離れ、立ちすくしていた。パン!パン!というお尻を叩く音がして分娩室は静かになった。何分も待たされた気がした。「え?」と不安がよぎり意識が遠くなった頃、おぎゃ~が聞こえた。3724g54㎝のビッグベイビーだった。どうやら太くて長いへその緒が首に2巻絡まって出てこられなかったようだ。出てきた瞬間主人は「冬のソナタのヨン様かと思ったぞ」4回目の爆笑。

胎盤は一口サイズに4枚スライスで登場。私は出血多量の寒さで震えが止まらず手もしびれていたので、主人が全て食した。「わさび醤油があったら最高かも」5回目の爆笑。

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