2021年10月24日
高齢出産

メリットはない?!高齢出産の初産

ひと昔前の1980年代、平均初産年齢は約26歳で初めての出産が30歳以上であると高齢出産といわれていました。
それから40年、女性の社会進出、晩婚化や不妊治療など、ライフスタイルは大きく変化しました。
現在、厚生労働省では初産で35歳以上、2人目以降で40歳以上が高齢出産としています。

2018年の平均初産年齢は約30歳と発表されていますので、決して高齢出産が珍しいことではない時代になりました。初産が35歳以上の高齢出産になる理由はさまざまあるでしょうし、赤ちゃんを迎えるということはとても素晴らしいことです。
しかし、高齢出産がお母さんと赤ちゃんにリスクをもたらすのは事実です。これから赤ちゃんを望むご夫婦と現在35歳以上の初妊婦さんは、ぜひ高齢出産のリスクを正しく知って元気な赤ちゃんを迎える準備をしましょう。

妊娠に至るまでのリスク

・卵の老化
女性は胎児の時にすでに卵(らん)の元となる卵母細胞を全て用意しています。その数は約700万個といわれています。
卵母細胞はいったん分裂をやめて、排卵が始まる時を待っています。初潮を迎えると月に一度、約1,000個の卵が目覚めて成熟した卵になろうとします。そのうちの一つが成熟した卵となり、排出されるのが排卵です。
つまり、毎月多量の卵母細胞がなくなっていくのです。
卵母細胞は胎児の時に約700万個、生まれた時点で約200万個に減り、初潮を迎える頃には約20〜30万個、そして37歳頃を過ぎるとその減少は加速していき、残りが1,000個以下になると閉経します。
おなかの中に用意されている卵母細胞は、あなたと同い年というわけなので、年齢が上がるにつれて「老化」していくことは避けられません。

・ダウン症
卵母細胞が目覚めて成熟するまでには細胞分裂をして、細胞内の染色体が2つずつに分かれるのですが、高齢になり目覚めるまで時間のかかったものはそこでもエラーが起こりやすくなります。
さらに排卵されるまで時間がかかったものは上手く分かれず、本来なら2本ずつになるはずの染色体が1本や3本になってしまうことがあります。その多くは流産してしまうことが多いですが、21番目の染色体が3本になっている状態で生まれてくるのがダウン症です。
ダウン症は母親の年齢が30歳で952分の1、35歳で385分の1、40歳で106分の1という割合で産まれます。
若いお母さんからも産まれますが、やはり高齢出産で割合が増えることは事実です。

妊娠中のリスク

もともと肥満傾向の人、塩分やカロリーの多い食生活の人は発症しやすいですが、高齢出産となるとさらに以下のようなリスクが高まります。
ちなみに初産で発症せず、第2子以降の妊娠でなってしまう人もいます。

・妊娠糖尿病
妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなります。すると血糖値が高くなりやすくなり、妊婦健診で発見されることとなります。
今まで糖尿病でなかったのに、妊娠したことで糖尿病になってしまった場合を「妊娠糖尿病」といいます。
お母さんが妊娠糖尿病になると、赤ちゃんは流産早産のリスクが高まり、巨大児や低血糖、心臓の肥大などが起こりやすくなります。
またお母さん自身の体に対しては妊娠高血圧症候群を合併したり、適切な治療が行われず、血糖のコントロールが悪いと、網膜症や腎症を引き起こしたり、羊水の過多や巨大児のため難産のリスクも高まったりします。

・妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降、もともと高血圧の症状がなかった方の血圧が上がってしまうことを「妊娠高血圧症候群」といいます。
高血圧のほか、お母さんの肝臓や腎臓の機能不全や脳出血、胎盤早期剥離、胎盤の機能低下による赤ちゃんの発育不全などが起こることがあります。
血管が傷つけられることが原因と考えられているので、高齢出産ではリスクが高まるといえます。

出産時のリスク

初産は、そもそも子宮口が開くまでに時間がかかり、陣痛が始まってから出産に至るまで12〜14時間ほどかかります。高齢出産の初産では特に産道や子宮口が固くなっていて、子宮口が全開になり、赤ちゃんが産まれるまでに時間がかかってしまいます。
出産に時間がかかると、お母さん自身の疲労によって陣痛が弱まってしまい、自力での出産が困難になるため、帝王切開になる確率も高まります。
初産ならば、初めての育児に予想以上の体力を使いますから、周りのサポートを手厚くする必要があるでしょう。

最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ただでさえ初産のお母さんにとって妊娠中は不安なことも多いはずです。
それに加えて高齢出産の初産となれば、いろいろ気にしてしまうのは無理がありません。
ご自身の体調や不安は毎回の妊婦健診でしっかりと担当の医師に確認することをお勧めします。
そして、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの合併症を考えると、妊娠中はバランスの良い食生活に気をつけたいところです。
今回ご紹介したようなリスクがあるので、気をつけなければいけませんが、ご夫婦が赤ちゃんを迎えようとしていることは、とても素晴らしいことです。
赤ちゃんは授かり物です。「案ずるより産むが易し」という言葉もあります。
お母さんが健康で出産を終え、かわいい赤ちゃんに会えることを応援しています。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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