2024年6月21日

PMSとは?生理前の不調の原因や7つの改善方法を解説

伊沢博美

記事監修者:伊沢博美

医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医

「生理前の不調がつらい」「もしかしてPMSなのだろうか」と心配になっていませんか。

PMSとは生理前に現れる身体的・精神的な不調をさします。

原因はさまざまですが、自身の力で改善することも可能です。

この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・PMSとは?
・PMSの症状と発生原因
・7つの改善方法

この記事を読むと、自身がPMSなのか判断しやすくなり、生理前の不調を解消できるようになりますよ。

PMSとは?

PMSとはPremenstrual Syndromeの略称で「月経前症候群」と呼ばれています。

症状として、月経前になると頭痛やめまいなどの身体的な不調や、怒りっぽくなったり不安になったりなど精神的な不調があげられます。

PMSは月経を有する人の「70〜80%」に起こっているといわれているため、多くの人が悩んでいる症状だといえるでしょう(※1)。

PMSは月経前の3〜10日間続くという特徴があります(※2)。

なかでも重度の抑うつ状態や攻撃性などの精神状態が強く出る場合を、PMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。

PMDDは、月経のある女性の3〜8%に発症している可能性があるといわれているのです(※3)。

正確な診断は、精神科で診断基準に沿って判断されています。

出典:

(※1)J-STAGE|大阪大学大学院医学系研究科 白石 三恵「月経前症候群を有する女性における睡眠覚醒リズムの調整が月経周期各期の自律神経活動に及ぼす影響」ストレス科学研究 2020, 35, 53-58

(※2)J-STAGE|白土なほ子「PMS,PMDDの診断と治療」昭和大学医学部産婦人科学講座

(※3)厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」

PMSの代表的な症状を一覧で紹介

PMSでは身体的・精神的な不調が起こり、現れる症状としては以下のようなものがあげられます。

身体的な症状 精神的な症状
・腹部や乳房の痛みや張り
・頭痛
・倦怠感
・疲労感
・肌荒れ
・便秘や下痢
・腰や背中の痛み
・手足や顔のむくみ
・体重の増加
・吐き気や嘔吐
・めまいや立ちくらみ
・動悸や胸の不快感
・湿疹やかゆみ
・発熱
・不眠
・日中の眠気が強い
・些細なことで怒りっぽくなる
・悲しみや絶望を感じる
・涙もろくなる
・漠然とした不安を感じる
・緊張しやすくなる
・感情の起伏が激しくなる
・目の前のことに集中できなくなる
・やる気が起きない
・ストレスを感じやすくなる
・孤独を感じる
・自信がなくなる
・自己嫌悪や罪悪感を覚える
・生きている意味を感じなくなる
・人との交流が億劫になる
・落ち着きがなくなる
・食欲がなくなる

これらの症状がみられる場合、PMSの可能性があるといえるでしょう。

ただし、上記はあくまでも症状の一部であり、個々によって症状の現れ方や程度は異なります。

複数の症状が組み合わさることもあれば、一部の症状のみが現れる場合もあるのです。

これらの症状に当てはまらない場合でも、PMSである可能性はあります。

PMSが起こる原因とは?

排卵から月経までの期間に「エストロゲン」「プロゲステロン」と呼ばれる2つの女性ホルモン量が急激に変動し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすと考えられています。

ほかにも外因として、聖徳大学と和洋女子大学が行った共同研究によると、ストレスや睡眠、食事、喫煙がPMSの症状悪化に影響しているといわれています。

なかでも食事においては「脂質」の摂取量が高い場合、PMSの症状に悪影響を与えたという研究結果も(※4)。

また一般社団法人 日本女性心身医学会が出産経験のない20〜30歳の人を対象にした研究によると、加齢とともにPMS症状は軽減し発症者も減少したとも報告されています(※5)。

出典:

(※4)J-STAGE|小林 仁美ほか「女子大学生における月経前症状と食生活習慣の関連」栄養学雑誌,Vol.77 No.4 77-84(2019)

(※5)J-STAGE|関 信二ほか「20~30歳代の主に就業女性を対象にした月経前症候群(PMS)に関する調査」女性心身医学5 巻 (2000) 2 号PMSは不妊にもつながるリスクがある

PMSが直接不妊につながるわけではありません。

しかしPMSが長引いたり、症状が重い場合は間接的に不妊につながるリスクがあります。

たとえばPMSの症状によってストレスが蓄積されたり、睡眠不足や食習慣が乱れたりするとホルモンバランスに影響を与え、妊娠しづらくなる可能性も。

「PMSかもしれない」と感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。

PMSの症状を改善する7つの方法

ここからはPMSを改善する方法を7つ紹介していきます。

いますぐ実践できるものもあるので、ぜひ試してみてくださいね。

・アルコールの過剰摂取を控える
・睡眠の質を高める
・定期的な運動
・アロマセラピー
・食習慣を見直す
・漢方薬
・低用量ピル

順番に解説していきます。

方法1:アルコールの過剰摂取を控える

PMSの発生を抑制する対策として、アルコールの摂取を控えるとよいでしょう。

実際、スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学などによるメタ分析の結果、飲酒はPMSのリスクを高めると報告されています。

また「大量飲酒」ではPMSのリスクがさらに高まったことがわかりました(※6)。

研究結果からアルコールの過剰摂取は避けたほうがよいといえるでしょう。

出典(※6)リンク・デ・ダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース「[女性]  アルコール摂取は月経前症候群と関連?!」

方法2:睡眠の質を高める

PMSの改善には睡眠の質向上も欠かせません。

東京労災病院治療就労両立支援センターが公表している資料によると、睡眠に問題を抱えている人はPMSになりやすいといわれているのです。

具体的には、睡眠中の途中で目を覚ましやすい人は、そうでない人に比べて「約2倍」もPMSになりやすいという結果が出ています(※7)。

睡眠の質を高めるためには、

・禁煙する
・寝る直前の食事を控える
・寝る前のスマホ、PC操作を控える
・夕方以降のカフェイン摂取を控える

を徹底しましょう。

出典(※7)独立行政法人 労働者健康安全機構 東京労災病院 治療就労両立支援センター「働く女性のためのPMSレッスン 生活習慣からのアプローチ」

方法:3定期的な運動

運動はPMS改善にも効果的です。

日本体育大学の資料によると、週3回、40分/回の定期的な運動を行うとPMSの症状は改善していくと公表されています(※8)。

具体的には以下のような運動を行うとよいでしょう(※9、10)。

・ヨガ
・ジョギング
・階段の昇降
など

ここで紹介した運動以外でも、自身に合ったものを取り入れて習慣化していくとよいでしょう。

出典:

(※8、9)⽇本体育⼤学「運動が⼼⾝の健康を守るー⼥性の⾝体的特性をふまえて-」

(※10)J-STAGE|島 香織ほか「女子大学生における月経前症候群と部活の有無による身体活動量の関連について」Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)

方法:4アロマセラピー

アロマセラピーとは、植物から採取される精油(エッセンシャルオイル)を使った「芳香療法」で、蒸気吸入やマッサージなどさまざまな方法で取り入れられます。

神戸女学院大学が行った研究によって、アロマセラピーはPMSの精神・身体的症状に対して有効な可能性があるとわかりました(※11)。

研究のなかで行われたアロマセラピーの方法は、以下のとおりです。

使用した精油 方法
・ゼラニウム
・ミルラ
・イランイラン
精油を含む水蒸気を20分間吸引

使用した精油や個人によって効果が変わるため、自身がリラックスできると感じた精油を使うとよいでしょう。

出典(※11)J-STAGE|松田香,白石三恵「月経前症候群の症状を有する女性へのアロマセラピーの効果に関する系統的レビュー―精神症状・身体症状・自律神経活動に着目して―」日本助産学会誌2022 年 36 巻 1 号

方法5:食習慣を見直す

食事をする際は調味料やドレッシングの使用を控えめにして、塩分の摂取を抑えるとよいでしょう。

独立行政法人 労働者健康安全機構 東京労災病院 治療就労両立支援センターが行った調査では、食事の際に薄味を意識している人ほど、PMSの症状が低い傾向があったと報告されています(※12)。

またよくいわれることですが、食事はバランスのとれたものを取りましょう。

バランスのとれた食事の例は以下のとおりです。

種類 品目
主食 米類、麺類、パン
主菜 肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)
副菜 野菜、きのこ、海藻類
そのほか 汁物、果物、乳製品など

PMSで悩んでいる人は上記を参考に、いつもの食習慣を見直してみましょう。

出典(※12)独立行政法人 労働者健康安全機構 東京労災病院 治療就労両立支援センター「働く女性のためのPMSレッスン 生活習慣からのアプローチ」

方法:6漢方薬

PMSの症状改善として、漢方も有効であるといわれています。

近畿大学医学部内近畿大学東洋医学研究所によると、漢方薬の投与開始から12週の時点で、以下の症状の改善がみられました(※13)。

・気分のおちこみ
・不安・緊張
・怒り・イライラ
・涙もろさ
・気力低下
・過食・偏食
・不眠・過眠
・身体症状
・仕事・家事の能率
・対人関係

さらに東京医科大学病院の資料によると、以下3種類の漢方薬がPMSに効果的であると公表されています(※14)。

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

ただし漢方薬は自己判断ではなく、かかりつけ医などに相談してから使用するのが無難です。

出典:

(※13)近畿大学東洋医学研究所「月経前症候群(PMS)月経前不快気分障害(PMDD)と漢方」

(※14)東京医科大学病院「⽉経痛と漢⽅」

方法7:低用量ピル

ピルとは「プロゲステロン(黄体ホルモン)」「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と呼ばれる2つのホルモンを配合した薬をさします。

PMSの改善には、ホルモンの配合量が少ない「低用量ピル」が効果的です。

実際に、群馬大学大学院や佐久間総合病院などが共同で発表した論文で、その効果が証明されています。

50歳以下の女性229名にアンケート調査を実施したところ、低用量ピルを使用した人は31人(13.5%)にとどまりましたが、使用したすべての人が効果ありと答えたのです(※15)。

しかし日本での低用量ピルの使用率は「2.9%」とあまり普及していない状況です(2019年時点)(※16)。

これから正しい知識や理解が進めば、より多くの人に利用されるでしょう。

自身で使用する際は、かかりつけ医などへ相談してくださいね。

出典:

(※15)J-STAGE|日本母性看護学会誌 Vol.21 No.1 2020「看護職の月経随伴症状に対するセルフケア実施に関連する要因」

(※16)参議院「質問主意書」

まとめ

PMSは月経前症候群と呼ばれ、月経前の3〜10日間に身体的・精神的な不調がみられる症状です。

なかでも精神的症状が重いものはPMDDと呼ばれています。

個人によって症状は異なるため「この症状があればPMS」と断定はできませんが、身体的な不調でいうと、

・腹部や乳房の痛みや張り
・頭痛
・倦怠感

精神的な不調の場合、

・些細なことで怒りっぽくなる
・悲しみや絶望を感じる
・涙もろくなる

などの症状が現れるでしょう。

PMSの症状を改善する方法は大きく7つあります。

・アルコールの過剰摂取を控える
・睡眠の質を高める
・定期的な運動
・アロマセラピー
・食習慣を見直す
・漢方薬
・低用量ピル

自分に合ったPMS改善方法を探し、毎月の不調を少しでも和らげましょう。

PMSの症状は、間接的に不妊へつながるリスクがあります。

「PMSかな」と感じたら、迷わず病院で受診するようにしてくださいね。

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この記事の監修者

伊沢博美

経歴

神宮外苑Woman Life Clinic 院長

獨協医科大学医学部卒業、医学博士。
日本再生医療学会再生医療認定医、日本抗加齢医学会専門医。順天堂医院、婦人科・内科健診施設、再生医療等提供機関に勤務。
2020年に『神宮外苑Woman Life Clinic』を開設。女性内科・不妊・更年期障害など女性特有の健康課題に対し、一人ひとりに合わせた医療ソリューションを提供。

資格

医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医

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