帝王切開とは?痛み・費用・入院期間など気になるポイントを解説

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

妊娠中に、帝王切開とはどんな出産方法なのだろうかと気になっていませんか。

帝王切開とは、おなかと子宮を切開して赤ちゃんを取り出す分娩方法です。

日本の帝王切開の割合は約20%であり、5人に1人が帝王切開による出産を行っています。

経膣分娩で産むと決めていても、妊娠やお産の経過によっては誰でも帝王切開になる可能性があるのです。

この記事では主に、以下のような内容を解説していきます。

・帝王切開とはどのような出産方法なのか

・帝王切開が適応されるケース

・費用の目安

この記事を読むと帝王切開に関する疑問がなくなり、帝王切開をすることになった際も安心して出産を迎えられるようになりますよ。

帝王切開とは?外科手術によって分娩する方法

帝王切開とは、膣から出産するには危険が伴う場合や、母体もしくは赤ちゃんに危険が迫った場合に脊椎麻酔や全身麻酔を使い手術により出産することです。

開腹方法には「縦切開」「横切開」があります。腹部の腱は縦に走っているので、縦で切る場合は自然な方向なので傷が早く治るというメリットがありますが傷跡が目立ちやすい、横で切る場合は下着で隠れるので傷跡が目立ちにくいというメリットがありますが術後の癒着が起こりやすいです。

【種類別】帝王切開が適応されるケース

帝王切開は手術のため、医療的に必要と認められた場合のみ適応されます。

「陣痛が怖いから帝王切開にしたい…」と思われる妊婦さんもいるかとは思いますが、そういった理由で帝王切開はおこなわれません。

また帝王切開には、「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」の2つがあるため、それぞれの違いについて詳しく解説していきます。

予定帝王切開

予定帝王切開とは、妊婦健診の際にあらかじめ手術日と入院日を決めて手術に臨む手術です。

予定帝王切開は、以下のような状況で適応されます。

・逆子(骨盤位)

・多胎児(双子や三つ子などのこと)

・前置胎盤

・帝王切開歴がある経産婦

・子宮の手術歴がある

・母体に持病がある、高齢出産など分娩リスクが高い

緊急帝王切開

緊急帝王切開とはお産が始まってから母体や赤ちゃんに危険が迫っている場合に行われるものです。
緊急帝王切開は、以下のような状況で適応されます。

・分娩中の胎児異常(心拍低下や呼吸が弱くなるなど)

・分娩中の母体異常(血圧が異常に高くなる、胎盤剥離など)

・巨大児、骨盤位などでお産が進まない

・破水後48時間以上が経過してもお産が進まない

・そのほか緊急を要する場合

【知っておきたい】帝王切開のリスク

帝王切開は母体や胎児に対してのリスクもあります。
母体にメスを入れる手術の為、一番は出血量の多さや子宮周辺の臓器の損傷のリスクがあります。さらに手術に必要な薬に対するアレルギーや、麻酔による神経損傷や血種のリスクもあります。
ただしこれらは帝王切開だけでなく一般的な手術にも生じるリスクです。

一方胎児に対しては、子宮の切開の際に擦り傷や切り傷がついてしまうリスクや、いきなり子宮から出されるため肺の液体が排出されず一過性多呼吸になるリスクが生じます。

その他手術後の母体には長官麻痺、腹腔内感染、創部離開、血栓塞栓症などのリスクもあります。

【比較】帝王切開と経膣分娩に要する時間の目安

経膣分娩と帝王切開では、出産までにかかる時間が異なります。それぞれに要する時間を比較してみましょう。

経膣分娩

出産というと経膣分娩を想像する人方が多いのではないでしょうか。 経膣分娩とは赤ちゃんが、子宮からつながる産道を通って膣から出てくる分娩のことです。
経膣分娩では、個人差があるものの陣痛開始から赤ちゃんの誕生まで初産婦で「12~16時間」、経産婦でも「5~8時間」かかるといわれています。

帝王切開

帝王切開の手術時間は処置内容にもよりますが「1時間程度」で終わることが多いようです。

経膣分娩の場合は、陣痛開始から誕生までの時間を出産時間とするため大きな時間差があるようにみえます。

しかし、子宮口が全開になってから赤ちゃんが誕生するまでの時間で考えてみると初産婦で「2~3時間」、経産婦では「30分~1時間半程」です。

帝王切開の場合、手術時間と別に麻酔をかけるのに必要な時間もあります。個人差や体感の違いもあり、どちらが長い・短いとは一概にはいえません。

帝王切開の流れを4ステップで紹介

帝王切開はどのように進めていくのでしょうか。

気になる手術の流れを4ステップで紹介していきます。

・手術前日

まずは前日準備です。事前に帝王切開で出産することが決まっている予定帝王切開では、手術の前日に入院となることが多いです。

入院後は以下の準備を行います。

  • NST(ノンストレステスト)などによる胎児の健康チェック
  • 手術の説明
  • シャワーによる身体の洗浄
  • 手術部位の剃毛

また、前日の夜から飲食の制限が始まる場合も。病院によっては胃腸に負担のかからない術前食が用意されるケースもあります。手術当日も飲食できないことがあるため、前日の夕食はしっかりと食べておきましょう。

予定帝王切開の場合、前日の行動制限はほとんどないため、翌日の手術に備えて自由にリラックスして過ごせます。

手術当日

⑴起床後、NSTなど胎児の健康チェック。

⑵検温や血圧測定などお母さんの健康チェック

⑶手術の準備

例:浣腸、弾性ストッキングを履く、点滴、尿管カテーテルを入れるなど。

(準備の内容やタイミングは病院ごとに異なり、点滴や尿管カテーテルは手術室で挿入する場合もあります。)

⑷手術室へ移動

術後は体を自由に動かせなくなるため、貴重品の管理は済ませておきましょう。

手術室に入室

手術室ではまず、血圧計や心電図モニターが装着され、麻酔の注入が行われます。

予定帝王切開の場合は局所麻酔(脊椎麻酔または硬膜外麻酔)が使われます。

脊椎麻酔では背中に針を刺して薬を注射で注入。麻酔薬を注入してからすぐに効果があり、麻酔の持続時間は2~3時間程度です。術後3~5時間もすれば、麻酔は切れて感覚が戻ります。

一方、硬膜外麻酔では背骨にある硬膜外腔という場所に、直径1mmぐらいの細くて柔らかい管を入れて薬を注入し、硬膜外の管を入れる処置にかかる目安時間が5~10分程度。硬膜外の管から薬を注入し、鎮痛効果が現れるまでに15~30分程度かかります。脊椎麻酔との違いは、手術中も薬を持続的に注入できることです。

どちらの麻酔も局所麻酔なので意識はあります。そのため、麻酔注入後に麻酔が効いているかの確認が行われます。緊急帝王切開の場合は帝王切開分娩を安全に早く終わらせるため、全身麻酔で対応することもあります。

いよいよ出産

お腹を切開してから、胎児が取り出されるまでの時間はわずか数分です。出産時は赤ちゃんの産声を聞いたり、実際に赤ちゃんを見たり、生まれたての赤ちゃんと一緒に写真を撮ったりすることもできますよ

その後胎盤が取り出され、糸や医療用ステープラー(ホッチキスのような器具)で切開部を縫合します。帝王切開の手術時間はおよそ1時間といわれていますが、処置内容や他の手術とあわせて行う場合など、状況によって手術の流れや時間は前後するでしょう。

予定帝王切開、緊急帝王切開、既往帝王切開(2回目以上の帝王切開)、いずれの場合も手術の所要時間は状況によって異なります。

帝王切開に痛みはあるのか?

帝王切開の手術中は下半身に麻酔が効いているため痛みはありませんが、触られたり押されたりする感覚は残っています。もしも途中で麻酔が切れるようなことがあれば下半身の麻酔を追加したり全身麻酔に切り替えたりすることもあります。
手術後は傷口の痛みに加えて、経膣分娩でも出産後に感じる子宮収縮の痛みいわゆる後陣痛を感じることがあります。

帝王切開後の痛みや傷跡が治まるまでに要する時間は?

帝王切開の傷口の痛みは術後から「3日目頃」までがピークで、退院する頃には治まってくる場合が多いです。

傷口自体は3日程でふさがりますが、その後も傷口の下では炎症が続いており、約1カ月の間新しい細胞が傷を埋めていきます。

傷口が赤く盛り上がり(ケロイド化)かゆみが出てくることも。

約1年かけて、目立たない肌色に近づいていくのです。

傷口を溶ける糸で縫合していない場合は、術後5~8日後頃に抜糸や縫合した医療ステープラーの針を外します。

抜糸するまでシャワーは禁止の場合もありますが、術後の経過が良く歩けるようになったら、傷口に防水シートをつけた状態でのシャワーが許可されることもあります。

帝王切開後の病院での生活

帝王切開後は、以下のような流れで徐々に母体の回復を行います。

「手術の翌日から2週間」を目安に、医師の判断で飲水が許可されます。

食事は翌日から開始されるケースが多いです。重湯など消化の良い術後食から始まる場合もありますが、すぐに普通食になります。赤ちゃんへの授乳は早ければ当日から始まります。尿管カテーテルは翌日まで挿入したままになりトイレには行けません。点滴が抜けるタイミングは病院によってさまざまです

帝王切開から退院するまでの時間は?

帝王切開の入院日数は「7日~10日」。経膣分娩に比べて1~3日入院日数が長くなるでしょう。

退院前日には退院診察があります。母体の容態は4~8週間程で回復するでしょう

帝王切開に保険は適用されるのか?

自然分娩での出産は出産一時金はもらえますが、病気の治療ではないため保険適用外となります。一方、帝王切開では出産一時金は自然分娩と同様にもらえるのに加え、医療行為にあたるため保険適用となります。

保険適用ということは3割自己負担であると同時に高額医療費制度の対象でもあります。

また、個人で加入している民間保険の対象もなります。

【種類別】帝王切開にかかる費用の目安

帝王切開の費用は厚生労働省により決められていて「予定帝王切開」の場合が201,400円、「緊急帝王切開」の場合が222,000円です。

厚生労働省の診療報酬の算定に基づくと、予定帝王切開も緊急帝王切開も自己負担額は約6万円になります。

ただし、医療行為の際に別の処置が必要な場合には手術費の上乗せがある場合や、入院日数が自然分娩よりも長いため病院によっては入院費用がかさむ場合もあります。

入院予定の病院に事前に確認しておきましょう。

帝王切開のバースプランを考えよう

バースプランとはなにか

帝王切開であっても、産院に以下のようなバースプランを伝えることができます。
・立ち会いの有無
・麻酔方法の希望(全身麻酔、部分麻酔など)
・リラックス方法の希望(アロマや音楽など)
・出産時の写真や動画撮影の希望
・産後のカンガルーケアの希望、胎盤を見たい

バースプランは帝王切開の不安をやわらげ、希望通りのお産を叶えるために大事な計画です。

産院によってできることは違うため、すべての希望が叶うわけではありませんが、帝王切開も経膣分娩と同じく大切な赤ちゃんとの出会いの瞬間なので予定帝王切開の場合はバースプランを考えておくのがおすすめです。

まとめ

初めての帝王切開であればその安全性や手術の過程、身体の痛み、金額などについて不安になるのは当然です。しかし、帝王切開は赤ちゃんが安全に産まれてくるために必要な手術です。縦切開と横切開の手術方法や術後の生活などは病院によって異なることがあるので気になることについては必ず出産前に病院に相談しておきましょう。

チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは

うまれてくる赤ちゃんのために、赤ちゃんがおなかにいる今しか準備できないことがあるのをご存知ですか?

それが「さい帯血保管」です。

さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。赤ちゃんはおなかの中で、このさい帯血を介してお母さんから栄養や酸素をもらっています。

そんな大切な役割をしているさい帯血ですが、実は産後に保管しておくことで、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めているのです。

この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。元気に誕生した赤ちゃんでも、将来さい帯血で治療できうる病気にかかる可能性は誰にでもあり、その際に赤ちゃん自身のさい帯血が保存されていれば、治療により未来を変えられるかもしれません。

しかし採取できるのは、出産直後の数分間のみ。採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。

民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる

さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の治療のために寄付・保管されます。

一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管します。治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。

ステムセル研究所は、さい帯血保管ができる国内最大の民間バンクです。

ステムセルが選ばれる理由

・1999年の設立以来20年以上の保管・運営実績あり

・民間さい帯血バンクのパイオニアで国内シェア約99%

・累計保管者数は7万名以上

・全国各地の産科施設とのネットワークがある

・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設を保有

・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得

・2021年6月東京証券取引所に株式を上場

 

詳しい資料やご契約書類のお取り寄せは資料請求フォームをご利用ください。

さい帯血を保管した人の声

■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)

■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)

※ほかの保管者からの声はこちら

 

さい帯血保管は、赤ちゃんへの「愛」のプレゼント。

心も体も出産に向けた準備をしながら、赤ちゃんに会えるまでのもう少しの期間、ぜひ幸せな気持ちで過ごしてくださいね。

▼さい帯血保管について、もっと詳しく


この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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