2022年1月31日
切迫早産

予期せぬ早産!!妊娠週数によって赤ちゃんへのリスクは!?

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

【予定日は絶対ではない】

妊娠がわかり心拍を確認できた時に教えてもらえる予定日。
計画的に出産時期を考えていた人は安堵し、いろいろなスケジュールを考えたり準備を始めたりする人も多いでしょう。
妊娠が突然わかった人も心拍を確認し予定日を教えてもらうことで実感が湧き『暖かい季節に生まれるのかぁ』や『真冬に生まれるから風邪ひかないようにしなきゃ』など夫婦でもいろいろな会話が増えることでしょう。

しかし、『予定日』は最終月経の開始日から計算された日にち(妊娠初期の成長によって数日の変更はある)または、超音波検査で赤ちゃんの大きさを測定し割り出すものです。
90%の人は予定日前後の正期産(37週0日~41週6日)に自然分娩や計画分娩をされますが、37週未満に出産される早産や42週以降の過期産に出産となる場合もあります。

【胎児の成長】

胎児はとても目まぐるしく日々成長していきます。

・妊娠1ヶ月(最終月経開始日0週0日~3週6日)

月経開始から2週間後に排卵が起こり受精卵となれば3週頃に着床し胎芽になります。
(この時期には薬やアルコールの影響は少ないです)

・妊娠2ヶ月(4週0日~7週6日)

脊椎、脳、神経系、心臓が形成され心拍が確認できるようになります。
(妊娠に気がつく頃でしょう。薬の影響を受けやすいので気付かず飲んでしまっていた時は医師に相談しましょう)

・妊娠3ヶ月(8週0日~11週6日)

手足、耳、目が形成され超音波検査では頭と胴がわかるようになります。内臓も形成され血液を作り始めます。
(薬の影響を受けやすい時期です)

・妊娠4ヶ月(12週0日~15週6日)

器官の形成はほぼ終わり、性器も形成されます。脳神経も発達し始め手足を動かす姿も確認できるようになります。
(この時期までにとても重要な器官の形成が行われます。形成中に薬を服用されると胎児の臓器、組織は影響を受けやすくなりますので、自己判断による服用は控え必ず医師に相談しましょう)

・妊娠5ヶ月(16週0日~19週6日)

前頭葉の発達により活発に手足を動かすようになります。
(胎動を感じられるようになります。超音波で性別がわかるようになります)

・妊娠6ヶ月(20週0日~23週6日)

聴覚などの感覚神経が発達し音が聞こえるようになります。まつげ、眉毛、髪の毛も生え始めます。肺胞が潰れるのを防ぎ膨らませる物質(肺サーファクタント)が分泌され始め肺呼吸の練習を始めます。
(22週未満の出産を流産、22週以降の出産を早産と言います)

・妊娠7ヶ月(24週0日~27週6日)

血液を作る場所が肝臓から骨髄に変わります。まぶたができ瞬きをするようになります。味覚や嗅覚、記憶や感情が生まれるようになります。
(胎児の大きさは身長30cmほど、体重は600gほどになり、もしも母体や胎児の状態により早産になってしまっても新生児集中治療室でのケアにより体外でも成長することが可能になります)

・妊娠8ヶ月(28週0日~31週6日)

ほぼ全ての臓器が大人と同じように機能するようになります。網膜が完成するので光も感じるようになります。
(28週以降の早産では生存率が95%と医療の力と赤ちゃん自身の生命力で体外での成長が可能になります。しかし肺や脳、筋肉や目など成長途中の臓器に影響が現れることもあります)

・妊娠9ヶ月(32週0日~35週6日)

皮下脂肪も付きより赤ちゃんらしい体つきになります。肺サーファクタントが十分な量分泌されるようになるので体外でも呼吸ができるようになります。
(肺機能は34週が目安と言われています)

・妊娠10ヶ月(36週0日~39週6日)

お待たせいたしました!!いよいよ誕生です。

【早産による赤ちゃんへのリスク】

上記のように出産週数により胎児の成長はかなり異なります。

体重が1000gを超える28週からは生存率も上がりますが、28週未満では『精神発達遅延』や『脳性麻痺』になる可能性もあります。
また、網膜が未発達のため『未熟児網膜症』を起こす確率が高くなります。

34週が目安と言われる肺機能は34未満の出生では『新生児呼吸窮迫症候群』を起こしやすくなります。また、28週未満の場合は90%の赤ちゃんが『未熟児無呼吸発作』を起こすと言われています。

【早産になりやすい人・早産になる原因】

・多胎妊娠をされている人。
・円錐切除手術、子宮頸管手術をされた人。
・糖尿病、妊娠糖尿病を患っている人。
・高血圧、妊娠高血圧症候群を患っている人。
・頚管、子宮、胎盤に疾患のある人。
・胎児に先天性異常がある時。
・羊水過多、羊水過少になってしまった時。
・細菌、ウイルス感染をした時。
このように早産になってしまう原因はさまざまですが、上記以外に妊婦さんのストレスや喫煙、体型が痩せすぎていても肥満でもリスクはあります。

【今しかないマタニティーライフ&育児を後悔なく】

現在全妊婦さんのうち早産になる割合は5%ほどです。
また正産期であっても低出生体重児(2500g未満)の出生は先進国の中でも日本はとても高く10%ほどとなっています。

最近では妊娠中の体重増加管理は重要ですが、無理のない程度の制限にしてストレスの少ない日々を送っていただければと思います。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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