退院後、へその緒はどうしてる?

私自身のへその緒は、多分今も実家にあると思います。幼い頃はふと思い出す度に、戸棚の奥深くから引っ張り出してよく眺めていたものでした。かさぶたのようなあの色、いびつな形、全てが不思議でしたが、それが自分と母親を繋いでいたものだということに当時も何かを感じていたように思います。そんなちょっとしたおもちゃ感覚で眺めていたへその緒が今では先端医療に繋がるものになっているなんて、医療の発展は大変素晴らしく驚かされることばかりです。今回はそのへその緒についてのお話です。

「へその緒が取れるのはいつ頃?」

へその緒は分娩後すぐにカットされますが、その一部は赤ちゃんのへそにくっついたまま残ります。日数が経過して乾いていくとだいたい小豆1粒程度の大きさになります。へその緒が取れるまでの期間には個人差がありますが、だいたい生後1週間~2週間経つと取れることが多いようです。へその緒は、基本的には退院してから毎日消毒をするように助産師さんから指導があるかと思いますが、取れてからもしばらくは消毒を続けた方が良いです。特にへその緒が取れた直後はじゅくじゅくしていることもあるので、へそが乾くまでは消毒を続けましょう。いつまで続けたら良いのか判断に困る場合には、1カ月健診の時などに医師に相談してみると良いでしょう。

「へその緒の消毒の仕方」

産院でへそのケアセットをもらえることもあるようですが、ない場合や使いきってしまった場合には市販の消毒薬と綿棒を使用して問題ありません。タイミングとしては1日1回の沐浴のあとが良いです。へその緒がまだしっかりとついている場合には、へその緒をやさしく持ち上げたり根本のへその皮膚を指で広げたりしながら、消毒薬を含ませた綿棒をへその緒の根本まで入れて消毒します。へその表面だけでなく根元部分をぐるりと一周するように行います。へその緒が取れかかっているときには根元から茶色い液が出たり血がにじんだりする場合もありますが、細菌感染を防ぐためにもしっかりと消毒してあげてください。へその緒が取れたあとも同様、へそがしっかり乾燥するまで消毒を続けましょう。このときに気を付けていきたいのは、怖がらないこと。引っ張ったら痛いんじゃない?と躊躇してしまい、表面をなでるだけの消毒になってしまっては意味がありません。多少持ち上げる分には痛くないので、しっかりと根元まで消毒をしてあげてください。ただし、取れかかっているからといって無理に引っ張ったりしてはいけません。根元から徐々に取れていきますので、焦らずにケアを続けましょう。また、へその緒が取れてから、しばらくじゅくじゅくが治らない、へその臭いが強くなる、血や膿が出る、へその周囲が赤く腫れてくるなどの異変があれば、早めに産院や小児科にかかるようにしてくださいね。

「取れたあとはどうしてる?」

産後から丁寧にケアを続けてきたへその緒が取れる瞬間は、とても感慨深いものです。しかし、いざ取れたへその緒は、皆さん一体どのようにしているのでしょうか。友人何名かに聞いてみたところ、アンケートにご協力いただいた皆さん全員きちんと保管しているとのことでした。私の友人が全員とても几帳面ということではありませんよ。やはり、それだけ自分と赤ちゃんを繋いでいたへその緒に思い入れがあり、大切な気持ちを持つものだということです。それでは保管方法について軽くご紹介します。まずは、産院でもらった桐箱にしまっているというもの。私の記憶の中のものも桐箱でした。桐の箱は湿度を一定に保とうとする性質があるため、反りや歪みが生じにくくカビが生えにくいです。また虫もつきにくいことから、昔から大切なものや貴重なものは桐の箱にしまう習慣がありました。産院でもらえなかったという友人はネット通販で購入したそうです。他にも、エコー写真と一緒にまとめているという友人もおりました。妊娠の頃からの思い出がひとつになっていて素敵ですよね。

「へその緒を保管してきた先人たち」

ところで、なぜ昔からへその緒は大切に保管されてきたのでしょう。改めて調べてみると、幼い頃、母に言われたことが鮮明に思い起こされました。それは、日本の各地にある古くからの言い伝えでした。あるところでは、へその緒を紛失するとその子の運命が弱くなる、病弱になる、物覚えが悪くなると言われ、生命力とは切っても切れないものとして伝承しています。自分のものではなく、兄弟姉妹のへその緒を持つことによって、魔除けやお守りになると言われている地域もあるそうです。そしてこれが私も母から聞いていた話なのですが、その子の九死に一生という場面でへその緒を削って飲ませると、一度は必ず治るという言い伝えです。私の母は信心深いわけでもなく、そういった伝承や言い伝えの類を鵜呑みにするタイプでは決してないのですが、この話だけは聞いた覚えがありました。その話を聞いた当時、少年漫画やテレビゲームの影響もあってか「ピンチの時にこれを削って飲むなんて格好良い!いつ飲めるかな?!」と思っていた過去も同時に思い出しました。今となっては少々恥ずかしい記憶ですが、いつの時代も母親の愛というのは全てを超えて大きく温かいものなのだなと感じました。そして、この言い伝えがいつの時代からのものなのかはわかりませんが、へその緒に治癒や治療の力があることを先人たちも感じ取っていたということに、今とても興奮しています。

ママのおなかの中にいる時には酸素や栄養をもらうための大切な役割を果たしているへその緒。赤ちゃんが産まれ、産声を上げ呼吸を始めた瞬間にその役目を終えます。ママと赤ちゃんとを繋いでくれていたへその緒、どうぞ大切に保管してあげてくださいね。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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