2022年1月4日
へその緒

赤ちゃんの命綱「さい帯」役割から保管まで

さい帯と聞いて、どんなものか、皆さんパッと思い浮かぶでしょうか。
さい帯とは、赤ちゃんのおへそとお母さんの胎盤を繋ぐ組織で、へその緒のことをいいます。
基本的には胎盤ごと医療廃棄物として処分されますが、病院によっては、へその緒の一部をプレゼントしてくださることもありますので、桐の箱に大切に入れられたご自身のへその緒を見たという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、このさい帯について、構造や役割、驚くべき新しい保管方法まで、ご紹介していきます。

さい帯の構造と役割

さい帯には細いさい帯動脈2本と太いさい帯静脈1本の計3本の血管が螺旋状にグルグルと絡み合って収納されています。血管の周囲にはゼリー状の物質が取り巻いていて、血管が絡まったり、狭まって血液の流れが悪くなったりしないように保護しています。
個人差がありますが、太さは直径1~2cmほど、長さは25~70cmほどあります。引っ張ると伸びる形状になっていて伸縮性があります。

さい帯は羊水の中で赤ちゃんが自由に動き回ったり、手足を動かしたりして引っ張っても、切れないような頑丈な作りになっています。さい帯静脈は母体から胎児へと流れる血液が通っていて、胎児に必要な栄養や酸素を胎盤から運んでくる役割をしています。

一方、さい帯動脈は胎児から母体へと流れる血液が通っていて、胎児から出た老廃物や二酸化炭素を母体へ送る役割をしています。この3本の血管を流れる血液は、いずれも胎児の血液になります。
さい帯は胎児が呼吸をするための呼吸器、栄養を摂取するための消化器、老廃物を排出する泌尿器の3つの役割があります。

さい帯は赤ちゃんの命綱です。ほんの少しの異常が大きな危険に繋がる恐れもあります。そのため、妊婦健診では超音波を使って、さい帯内の血液が無事に流れているかの検査も行われます。

出産後、さい帯はいつ切るの?

日本では出産後に赤ちゃんの呼吸を確認したら、すぐにさい帯を切ります。出産後すぐにへその緒を切らないと赤ちゃんに血液が行き過ぎて黄疸になりやすいという考えがあるからだといわれています。

産院によっては赤ちゃんのさい帯の拍動が自然に止まるのを待ってから切るというところもあります。この場合は、さい帯を通じて血液がお母さんから赤ちゃんに送り終えるのを待つためで、赤ちゃんによって、さい帯を切るまでの時間は異なります。
欧米ではさい帯を切らずに一緒に出てきた胎盤と繋がったままにしておくロータスバースと呼ばれる出産方法があります。自然に乾燥して取れるのを待つそうです。

さい帯を切る時は血流を専用のクリップなどで止め、臍帯剪刀と呼ばれる医療用のハサミで赤ちゃんのおへそから数cm〜5cmあたりのところを切ります。さい帯には神経が通っていないため、切るときに痛みを感じることはありません。

さい帯の保管について

さい帯は胎盤とくっついているため、出産後、胎盤と一緒に体外に排出されます。赤ちゃんのおへそに残ったさい帯は生後1~2週間前後で自然にポロリと取れます。取れたてのさい帯には水分が含まれています。水分が残っているまま保管するとカビが生えたり虫がわいたりすることがあるため、しっかり乾燥させましょう。

乾燥させるときは、清潔なガーゼなどを用意し、その上にさい帯を置いて湿気の少ない場所で乾燥させます。触ってみて、カラカラに干からびていれば大丈夫です。乾燥させたさい帯は、ケースに入れて保管しましょう。ケースには、脱脂綿などを敷き、その上にさい帯を置きます。カビが心配であれば、乾燥剤も一緒に入れておきましょう。

保管する場所は、湿気の少ない場所が良いでしょう。さい帯のケースは小さいので、しまった場所を忘れないようにしましょう。

さい帯の新しい保管方法

これまでにも、さい帯を流れる血液であるさい帯血の中に多く含まれる幹細胞が脳性麻痺、自閉症などに対する再生医療分野での治療に役立てられる可能性があると注目を集めてきましたが、近年、さい帯にも免疫調整作用、抗炎症作用、組織修復作用のある間葉系細胞が多く含まれていることがわかってきました。

この間葉系細胞は、現在は十分な治療法がない病気の治療に役立てることができると期待されており、再生医療の分野で盛んに臨床試験が行われています。実際に神経性の疾患、呼吸器疾患、細胞治療後の合併症など、多岐にわたる治療での利用の可能性が注目されています。

さい帯血保管を行う民間さい帯血バンクでは、これまで赤ちゃんの万が一の病気に備え、さい帯血を保管するサービスが行われておりましたが、さい帯を将来の医療に役立てるために生きたまま凍結保管するというサービスも行われるようになりました。これは、さい帯の新しい保管方法として今後注目を集めることになるかもしれません。

まとめ

いかがでしたか。赤ちゃんの命綱であるさい帯についておわかりいただけたでしょうか。

近年、さい帯やその中を流れるさい帯血は赤ちゃんがおなかの中にいる時だけでなく、出産後も保管しておくことで赤ちゃんにとって大切な役割をする可能性があるということがわかってきました。さい帯やさい帯血は出産時の一度きりしかとることのできない大変貴重なものです。

お子さんへの一生に一度のプレゼントとして、保管しておくのも良いかもしれませんね。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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