2022年1月31日
切迫早産

知っておきたい早産のこと 早産を避けるためにはどうしたらいいの?

<早産とは>

妊娠の経過が順調で、妊娠37週0日から妊娠41週6日までのいわゆる出産予定日(妊娠10カ月頃)の出産のことを正期産といいます。早産とは正期産よりも前の出産のことで、日本では妊娠22週0日から妊娠36週6日まで(妊娠6ヶ月~9か月頃)の出産をさします。これは赤ちゃんがお母さんのおなかの外に出ても生きていけるぎりぎりのところです。妊娠22週未満の出産は流産といい、早産とは区別されます。

日本の早産の割合は全妊娠の約5%で、その原因は感染や体質によることが多いといわれています。この割合は世界的に見ても少なく、日本の周産期医療が進んでいるということがわかります。また日本では早産による新生児の死亡リスクも低くなっています。

<人工早産と自然早産>

早産は人為的に行なう人工早産と自然に早産になる自然早産に分けられます。
妊娠高血圧症候群、前置胎盤(胎盤が子宮の出口をふさいでいる状態)、常位胎盤早期剥離(出産の前に胎盤が子宮の壁からはがれてしまう状態)、胎児機能不全(赤ちゃんの元気がなくなってくる状態)などが原因で妊娠継続が困難となり、赤ちゃんや妊婦さんの命を守るために人為的に出産させる方法を人工早産といいます。
一方、何らかの理由により、通常より早いタイミングで自然に陣痛がきてしまい出産する場合を自然早産といいます。早産のうち、約75%は自然早産です。

<早産は赤ちゃんの生存率や予後に影響する>

厚生労働省の低出生体重児保健指導マニュアルによると、早産で産まれた赤ちゃんを出産週数からの定義で早産児(在胎週数 37 週未満で出生)、後期早産児(在胎週数 34 週から 37 週未満で出生)、出生体重からの定義で低出生体重児(2500g未満)、極低出生体重児(1500g未満)、超低出生体重児(1000g未満)と呼びます。

早産は赤ちゃんの生存率や予後にも大きく影響します。出産週数で見ると22~23週で生まれた赤ちゃんの生存率が約66%なのに対し、26週以降に生まれた赤ちゃんの生存率は約94%、30週以降に生まれた赤ちゃんの生存率は約98%とお腹の中にいる期間が長いほど赤ちゃんの生存率が高くなることがわかります。赤ちゃんの体重で見ても体重500g未満で生まれた赤ちゃんの生存率が約60%なのに対し、体重1000g以上で生まれた赤ちゃんの生存率は約97%と高くなります。

また、早産は赤ちゃんのその後の発達にも大きな影響を与えます。在胎週数が短いほど(早く生まれるほど)身体の発達が未熟なため、後で重篤な障害が出現する可能性が高くなります。妊娠22週で生まれた場合、赤ちゃんの体重は500 g前後で長期間の新生児医療(新生児集中治療室での治療)が必要となります。最近では、妊娠34週以降の正期産に近い時期の早産であっても、呼吸障害など長期に障害を残すことが報告されています。

<早産を避けるためにはどうしたらいいの?>

早産を避けるための完璧な予防法はありません。健康的な生活習慣を心がけ、早産のリスクが上がる要因を出来る限り取り除くことが大切です。タバコを吸わない、無理なダイエットをしない、疲れやストレスをためない、体を冷やさない、健康的な食生活を送り妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群を予防する、感染症にかからないように性行為にはコンドームを使うといったことに気をつけてみましょう。

そして何よりも定期的に妊婦健診で産婦人科医に診てもらい、切迫早産の段階で対処することが重要です。切迫早産の兆候(おなかの張りや出血等)や破水の疑いがあるときは、次の健診を待たずにすぐ産院に相談しましょう。すぐに入院して治療を受ける場合もあります。

対応が遅れると早産となり、赤ちゃんに影響が出てしまう恐れがあるので、妊婦さんはいつでも入院できるよう、家族も理解を深め万が一に備えて準備をしておきましょう。

<早産になりかけてしまったらどうすればいいの?>

早産になりかけている状態、すなわち切迫早産の状態では出来る限り赤ちゃんがお母さんのおなかの中で成長できる期間を延ばすことが大切です。切迫早産の治療は第一に安静にすることで、状況に応じて投薬を行ないます。

軽症の場合は自宅で安静に過ごします。おなかに力を入れたり圧力がかかったりしないように過ごします。重いものを持つことや長時間の移動は避けましょう。家事も必要最小限にとどめ休憩しながら行いましょう。張り止めの薬を処方されることもあります。感染症で炎症を起こしている場合は抗生剤も併用します。

症状が重い場合は入院が必要です。安静を保ちつつ子宮収縮抑制薬などによる処置を行ないますが、早産が避けられないと判断した場合は、新生児集中治療室(NICU)がある専門の設備が整った病院へ救急搬送されることもあります。

<まとめ>

早産になったお母さんは、気持ちの整理がつかず時には自分を責めてしまうこともあるかもしれません。赤ちゃんは出来る限り長くお母さんのおなかの中で育てることが理想的ですが、赤ちゃんとお母さんの命を優先するためにやむを得ず早産になるケースもあります。

早産で産まれた赤ちゃんの成長は、正期産に生まれた赤ちゃんに比べてゆっくりの傾向がありますが、成長するにつれて差が小さくなることも多いものです。もし早産になった場合でもご自身を責めず、可愛い我が子の成長をゆっくり見守ってあげましょう。

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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