帝王切開にかかる費用平均と内訳は?適用される保険やもらえる給付金も紹介

妊娠後期で帝王切開をひかえているが、費用はどれくらいかかるのだろうと心配になっていませんか。

帝王切開にかかる費用平均は「約50万円」といわれています。

しかし保険や助成金など制度を利用すると、帝王切開にかかる費用を減らせるのです。

この記事では主に、以下のような内容を解説していきます。

・ 帝王切開にかかる費用平均と内訳
・ 帝王切開による出産で適用される保険や給付金
・ 帝王切開にかかる費用についての体験談

この記事を読むと、帝王切開にかかる費用についての心配がなくなり、安心して出産に臨めるようになりますよ。

帝王切開ににかかる費用平均は約50万円

2022年に公表された厚生労働省のデータによると、2020年の帝王切開や吸引分娩など異常分娩の出産費用平均は約50万円でした(注1)。

「こんなに支払えない」と思う人もいると思いますが、全額が自己負担ではありません。

助成金や給付金などの各種制度の利用により、出産にかかる自己負担額の軽減が可能です。

出産のパターンは人それぞれ違うため、出産方法、出産する場所、入院日数などで実際の負担費用は大きく異なります。

出典
注1 出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について|厚生労働省

帝王切開にかかる費用の内訳

帝王切開にかかる費用の中でも、健康保険が適用される保険診療と健康保険が適用されない自由診療があります。

手術、入院、検査、処置、投薬に関わる費用は保険診療部分にあたり、自己負担は3割です。

しかし入院中の食事、差額ベッド代、分娩介助、新生児の保育、検査に関わる費用は自己自由診療部分にあたり、全額自己負担となります。

下表に帝王切開にかかる費用の内訳を示しました。

入院費 約20万円
分娩費(医療保険の対象) 約6万円(自己負担額)
新生児管理保育料 約10万円
産科医療補償制度 1万6千円
赤ちゃんの検査費用 約5万円
合計 約42万6千円

順番にくわしく見ていきましょう。

内訳1:入院費

入院費は、病室の利用料と食事代のことで、一般的な病院で相部屋にした場合「2万円/日」程度が目安です。

帝王切開の場合、入院日数が10日1週間前後になることが多いため20万円前後かかります。

自身の希望で個室にした場合は、別途個室利用費がかかります。

内訳2:分娩費

分娩費は、分娩にかかる費用のことで、正常分娩の場合で約25万円かかります。

帝王切開は公的医療保険の対象になり、自己負担額は3割となるため、金額は「約6万円」です。

内訳3:新生児管理保育料

新生児管理保育料は、検査などの管理や保育など新生児の健康管理にかかる費用のこと。

「1万円」程度が目安です。

内訳4:産科医療補償制度

産科医療補償制度は、出産において予期せぬ出来事で「重度脳性まひ」となった赤ちゃんとご家族の経済的負担を補償し、再発防止と原因分析に役立てるための制度です。

出産を扱う分娩機関が入る民間の保険制度です。

掛け金は「12,000円」です(注2)。

出典
注2 産科医療補償制度について|厚生労働省

内訳5:そのほかの費用

赤ちゃんの検査費用(約5万円)のほかに帝王切開では術前、術後にお母さんの健康状態を調べる検査費用、抜糸(抜釘)などの処置費用、鎮痛薬の投薬費用などがかかります。

知っておきたい!帝王切開による出産で適用される保険や給付金【6種】

帝王切開で出産した場合に利用できる保険制度や補助金制度には、以下のようなものがあげられます。

・ 出産育児一時金
・ 高額療養費制度
・ 限度額適用認定証
・ 医療保険
・ 医療控除
・ そのほか助成金や補助金制度

医療保険に入っていれば給付金が支払われるため、場合によってはトータルで黒字になることもあるのです。

順番に内容をくわしく解説していきます。

1:出産育児一時金

国民健康保険、または社会保険に加入している方(扶養も含む)は、出産費用の補助として赤ちゃん1人につき50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は48.8万円)の出産育児一時金が支給されます(注3)。

出産育児一時金には直接支払制度があり、医療機関が健康保険組合に対し、出産育児一時金の支払いを直接請求できます。

被保険者は出産費用で超過した分のみを医療機関に支払うというものです。

出産予定の医療機関で事前に申請すると利用できます。

ただし直接支払制度を運用していない医療機関もあるため、事前確認が必要です。

出典
注3 出産育児一時金の支給額・支払方法について|厚生労働省

2:高額療養費制度

高額療養費とは、1日から月末までの1カ月間に支払った医療費が一定の金額(自己負担限度額)を超えたとき、その超過分を払い戻してもらえるという制度です。

加入している健康保険から支給されるもので、帝王切開での医療費も給付対象になります。

・ 支給申請方法

加入している公的医療保険(健康保険組合など)に、高額療養費の支給申請書を提出、または郵送で支給される。医療機関の領収書添付を求められる場合もあるため、保管が必要。

・ 支給までの期間

申請後に審査があり、受診した月から少なくとも3カ月程度かかる。

※参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

自己負担限度額の計算方法

実際に例を用いて、高額療養費の自己負担額を計算してみます。

計算の手順は以下のとおりです。

1. 自身の年収を把握
2. 自身の年収があてはまる計算式を確認
3. 医療費を代入
4. 自身が支払った医療費から3で求めた数値を引く

順番に見ていきましょう。

1. 自身の年収

ここでは年収を「400万円」とする

2. 自身の年収があてはまる計算式を確認
年収は400万円なので、最下段の式を使用

年収範囲 計算式
約1160万円以上 252,600円+(医療費-842,000)×1%
約770~1160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
約370~770万円

(今回使用する式)

80,100円+(医療費-267,000)×1%

3. 医療費を代入

医療費は仮に「60万円」とする。ここでの医療費は、窓口で支払った額ではなく、保険適用になる前の費用をいう。

計算すると「83,430円」

4. 自身が支払った医療費から3で求めた数値を引く

自身が窓口で支払った医療費を「18万円」として「3」で求めた数値を引くと「96,570円」

つまり今回の例でいうと「96,570円」が払い戻されることになるのです。

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

3:限度額適用認定証

帝王切開になることが事前に分かっている場合「限度額適用認定証」を発行しておけば、退院日の会計時に窓口での支払いが自己負担限度額までで済みます。

限度額適用認定証は、自身が加入している保険によって申請方法が「郵送」もしくは「窓口」と異なるため、利用の際は確認しておきましょう。

4:医療保険の給付金

妊娠する前に医療保険に入っていた場合、帝王切開で手術、入院をすると給付金の支払い対象となります。

給付金額は医療保険の契約内容によって異なるため、自身の加入している保険の確認が必要です。

新たに医療保険へ入ろうとしても、妊娠中だと条件付きの契約になる可能性があるため、帝王切開の費用を医療保険で備えるなら、妊娠を考えた時点で保険に入っておきましょう。

5:医療費控除の還付金

医療費控除とは、1年間に自分と家族が支払った医療費が10万円を超えた場合(所得が200万未満の場合はその5%を超えた場合)に税金面で優遇してくれる制度です。

帝王切開に限らず、妊娠・出産にかかった費用は医療費控除の対象となり、払い過ぎた税金が還付金として受け取れます。

ただし医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。

6:その他助成金、給付金

帝王切開による出産に限らず、出産する本人が会社勤めをしている場合は、育児休業給付金(育休手当)、傷病手当金、出産手当金などが利用できる場合もあります。

また子育て世代に手厚い福利厚生制度を設けている企業もあるため、事前に確認しておきましょう。

帝王切開で3人出産した私の体験談

私は帝王切開で3人の子供を出産していますが、やはり多くの費用がかかりました。

祝日での出産で思わぬ休日加算

第一子は祝日の出産となり、休日加算がかかってしまいました。

医療保険未加入だったことが後悔

一番失敗だったのは帝王切開による入院が医療保険の対象とは知らず、妊娠前に医療保険に入っていなかったことです。
手術の一時金や入院給付金のことを考えると医療保険に入っておけばよかったと後悔しています。

事前準備で窓口での高額支払いを回避

高額療養費の限度額適用認定証は事前に発行しておいたので、退院時に窓口での支払いが高額にならずに済みました。

費用負担がかかっても入院中の個室利用はおすすめ

産後は帝王切開の傷の痛みと後陣痛の痛みで、心身ともに負担がかかりましたが、個室だったので安心して体を回復させることができました。

出産すると入院中から赤ちゃんのお世話と2~3時間おきの授乳が始まります。

個室であれば同室の方へ気を遣うことも、またほかの赤ちゃんの泣き声を気にすることもなく、合間にしっかり休息をとることができます。

個室利用には費用がかかりますが、病院によっては術後1~2日の短期間だけ利用できる場合もあるので事前にチェックしておくとよいかもしれません。

帝王切開の出費に備えて医療保険に入っておいた方がよいか?

現在、赤ちゃん約5人のうち、1人が帝王切開で産まれています(注4)。

「いまから出産」というときに、分娩方法が急に変わると、お金の予定も変わってしまいますよね。

帝王切開で出産した場合には、民間の医療保険の給付対象となる可能性があります。

ぜひ、これを機会に保険の加入やプランの見直しを行いましょう。

ただし、妊娠週数によっては加入ができず、妊娠後では加入に条件がつく場合があります。

ご自身に合ったプランを選択しましょう。

医療保険に加入しておくと、予定をオーバーしてしまった場合の備えになり、お金の心配も減るため安心ですよね。

出典
注4 診療等の状況|厚生労働省

まとめ

帝王切開による出産では費用が高額になることがあります。

余裕を持って準備しておくことが大切です。

また出産育児一時金や高額療養費制度などを活用することで、自己負担額を減らせます。

自分が利用できるものを事前に調べ、必要な手続きがあれば早めに済ませておきましょう。

チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは

うまれてくる赤ちゃんのために、おなかに赤ちゃんがいる今しか準備できないことがあるのをご存知ですか?

それが「さい帯血保管」です。

さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。

このさい帯血は、長期にわたって保管することができ、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めています。保管したさい帯血が、赤ちゃんやご家族の未来を変えるかもしれません。

しかし採取できるのは、出産直後のわずか数分間に限られています。採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。

民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる

さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の白血病などの治療のために寄付することができます。

一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管できます。現在治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。

ステムセル研究所は、国内シェア約99%を誇る国内最大の民間さい帯血バンクです。

ステムセル研究所が選ばれる理由

・1999年の設立以来20年以上の保管・運営実績あり

・民間バンクのパイオニアで累計保管者数は7万名以上

・全国各地の産科施設とのネットワークがある

・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設を保有

・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得

・2021年6月東京証券取引所に株式を上場

 

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さい帯血を保管した人の声

■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)

■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)

※ほかの保管者からの声はこちら

さい帯血保管は、赤ちゃんへの「愛」のプレゼント。

赤ちゃんに会えるまでのもう少しの期間、ぜひ少しでも快適に、幸せな気持ちで過ごしてくださいね。

 

▼さい帯血保管について、もっと詳しく

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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