無痛分娩にも種類があるの!? 計画無痛分娩って何?

無痛分娩とは、麻酔を用いて陣痛の痛みを和らげる分娩方法です。痛みを和らげることで出産への恐怖と痛みによるストレスが緩和され、お母さんが落ち着いて出産に臨めるというメリットがあります。また、陣痛中の体力を温存することができ産後の回復が早くなると言われています。

<日本でも認知され始めている無痛分娩>

欧米では既に無痛分娩が主流となっている国が少なくありませんが、日本ではまだあまり普及していないのが現状です。しかし、出産に占める無痛分娩の割合は2008年の2.6%(厚生労働省研究班)から2016年は5.3%(日本産婦人科医会)と2倍に増加しており、無痛分娩という出産方法が少しずつ認知されてきています。無痛分娩という言葉だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

ところで、この無痛分娩には「通常の無痛分娩」と「計画無痛分娩」というものがあるのをご存じでしょうか。今回は「計画無痛分娩」とはどのようなものなのか、メリットや出産の流れをご説明していきたいと思います。

<予定日を決められる計画無痛分娩>

「計画無痛分娩」とは、あらかじめ分娩する日を決めておいて、その日に陣痛促進剤を使って陣痛を起こし、人工的にお産を始める無痛分娩の方法です。日本では多くの病院でこの計画無痛分娩の方法がとられています。同じ無痛分娩でも計画無痛分娩と通常の無痛分娩とでは誘発陣痛か自然陣痛かというところに違いがあります。

計画無痛分娩のメリットは予定日を決めることができるということです。上に兄姉がいて預け先を決めなければならない場合や、里帰り出産などで旦那さんの立会を希望している場合は、予定日が決まっていると安心です。また、麻酔投与のタイミングを逃さないことも計画無痛分娩のメリットです。自然に陣痛が起こってから対応する通常の無痛分娩ではお産が進みすぎて麻酔が間に合わなかったり麻酔前にいきみすぎて背中に針が入らず麻酔が使えなかったりする場合があります。計画無痛分娩ではこのような麻酔投与のタイミングを逃すという事態を避けることが出来ます。さらに、計画無痛分娩の場合、陣痛を起こす前に麻酔の準備が整えてあるため、妊婦さんの希望にあったお産をすることが出来ます。なるべく痛みを経験したくない方は、早い段階で麻酔を投与することができます。逆に自然分娩に近づけたい方は、最後の分娩時のみ麻酔を使うことも可能です。

しかし、計画無痛分娩でも必ずしも予定通りに分娩を進めることが出来る訳ではありません。計画無痛分娩では陣痛促進剤を使って陣痛を起こし分娩を促しますが、促進剤を使っても陣痛が起こらない、陣痛が起こったが治まってしまった、なかなか子宮口が開かない、母体に問題が発生し緊急帝王切開になった等、お産は何が起こるか分かりません。予定日を決めていても、その日に産まれない可能性があることもきちんと頭に入れておかなければなりません。

<計画無痛分娩の流れとは>

 次に、計画無痛分娩の具体的な流れをご説明いたします。

①医師と相談し分娩予定日を決定する

一般的に、計画無痛分娩の予定は、妊娠37週以降の正期産の時期に入ってから医師が決めます。妊婦さん本人の希望を聞き、母体と赤ちゃんの状態を総合的に判断して、出産の準備が整う時期を予測します。緊急性がある場合は、妊婦さんの希望に関わらず、安全性を考慮した予定日に実施されます。

②事前準備をする

計画無痛分娩の場合、予定している日の前日または当日の朝から入院します。心電図、血圧計、胎児心拍数陣痛計装着等の準備が行われます。また、必要に応じてバルーンと呼ばれる水風船のような器具を子宮口挿入し、子宮口を広げます。

③麻酔の準備をする

無痛分娩では多くの場合、硬膜外麻酔が用いられます。硬膜外麻酔というのは背骨にある硬膜外腔という場所に直径1mm程の細くて柔らかい管を入れ、そこから薬を投与する麻酔方法です。硬膜外の管を入れる処置にかかる時間が5~10分程度、硬膜外の管から薬を注入し鎮痛効果が現れるまでにかかる時間が15~30分程度です。背中に針を刺して薬を注射で投与する脊椎麻酔を併用する場合もあります。この場合、まず脊髄くも膜下腔に薬を投与し、その直後に硬膜外腔に管を入れます。硬膜外麻酔のみで行う鎮痛法に比べて効果が早く現れ、数分後にはある程度の鎮痛効果が感じられます。計画無痛分娩の場合は麻酔テストを済ませ、予め麻酔投与開始の準備をしておくことができます。この点が通常の無痛分娩との違いであり、メリットです。

④陣痛促進剤を投与する

計画無痛分娩の場合、人工的に子宮収縮を起こして陣痛を促進させるために陣痛促進剤を点滴で投与します。その後は分娩が進むのを待ちます。出産までの時間は自然分娩と変わらず、初産婦で12~16時間程度、経産婦でも5~8時間程度かかります。陣痛促進剤の効きめが弱ければ投与量を増やしたり、陣痛促進剤の種類を変えたりして対処します。どうしても促進剤の効きめがない場合には一度退院し後日改めて分娩に臨むというケースもあります。

⑤自分のタイミングで麻酔を注入する

陣痛が強まって、子宮口がだいたい4~5cm近くなってきたら、硬膜外の管に麻酔薬を注入して痛みを和らげます。なるべく痛みを経験したくない方は麻酔が完全に切れる前に痛くなってきたなと思ったら薬を追加してもらったほうが良いそうです。しかし赤ちゃんが大きい場合や、赤ちゃんの頭の向きがずれている場合には、麻酔薬を追加できないこともあります。麻酔薬が赤ちゃんを押し出す力を弱めてしまう可能性があるためです。また麻酔の効き目には個人差があり、無痛分娩だったのに痛みを感じたという方もいるようです。

⑥出産

麻酔が効いていると痛みの感覚がないので、いきむタイミングが難しいそうです。無痛分娩の場合、普通分娩よりも吸引分娩になる可能性が高くなります。おなかの張りと助産師さんの合図を頼りにいきんでみましょう。痛みはなくても赤ちゃんが出た瞬間がわかったという方もいます。赤ちゃんが誕生した時の感動は自然分娩と変わりません!!すぐに赤ちゃんを抱くこともできます。分娩から縫合まで全て麻酔が効いた状態で行うので会陰切開の痛みもありません。

⑦産後

出産後2時間程で麻酔が切れます。無痛分娩は分娩時の精神的な疲労感が少ない分、産後の回復が早いと言われています。

<まとめ>

計画無痛分娩は陣痛促進剤を使って陣痛を誘発するという点が通常の無痛分娩と大きく違います。あらかじめ分娩日を決めることが出来るメリットがありますが、促進剤を使って陣痛を起こすので計画通りにいかないこともあります。これらを踏まえた上でご自分の希望に合った出産を考えていきましょう。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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