2022年1月28日
赤ちゃん・子育て

水疱瘡とは?赤ちゃんは特に感染に注意して。

◯水疱瘡とは

水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで起こる発疹性の病気で、発症は9歳以下の子供に多く、12月〜7月にかけて広く感染の可能性があります。
風疹やおたふくかぜよりも感染力が非常に強く、同じ室内にいるだけで感染してしまいます。
感染した人の唾液や鼻水、水ぶくれの中にウイルスが存在し、くしゃみなどの飛沫(飛沫感染)、おもちゃや皮膚についたウイルス(接触感染)、空気中を漂っているウイルス(空気感染)を吸い込んだり目などの粘膜についたりすることで感染します。

感染から2週間程度の潜伏期間があり、発疹が出る2日前から周囲に感染させる可能性があります。まれに脳炎や肺炎、かきむしった皮膚からの細菌感染症などの合併症を起こし重症化、最悪の場合死にいたることが知られています。
お母さんが一度も水疱瘡にかかったことがなく、免疫のない赤ちゃんが水疱瘡にかかると重症化しやすいです。お母さんが水疱瘡の免疫を持っていたとすると、赤ちゃんに一時的に引き継がれますが、免疫を引き継いでいる赤ちゃんでも生後7ヶ月ほどでお母さんからの免疫は消えてしまうので特に1歳未満の赤ちゃんはなるべく感染を避けたいですね。

このように感染力が強く怖い病気のように思えますが、2014年から水痘ワクチン(生ワクチン)の定期接種が始まり子供の患者数は減少しています。
1歳を迎えた赤ちゃんは間隔をあけて2回の予防接種を受けましょう。

◯症状と受診の目安

発熱することが多く、だるさや頭痛がおきることもあります。
頭や顔、口の中をはじめとする全身に虫刺されのような赤い斑点ができ、後に水ぶくれになって強い痒みが出ます。数日すると熱は下がりますが、全身の水ぶくれがかさぶたになるまでに1週間ほどかかります。
発熱(発熱しないこともあります)、体に出始めた赤い斑点や水ぶくれを確認したらすぐに受診しましょう。ただし、感染力が強いので、水疱瘡が疑われる時には事前に病院に伝えて受診するといいでしょう。発疹が出てから2日以内ならば抗ウイルス薬の投与で症状の軽減が期待できます。

◯気をつけるべきこと

水疱瘡は自然に治癒するのを待つ病気なのでかさぶたになるまでの約1週間は家の中で様子をみながら過ごしますが、その時の注意点をまとめます。

水疱瘡の水ぶくれは大変かゆいので何もわからない赤ちゃんはかき壊してしまうことがあります。皮膚からの細菌感染を防ぐためにも爪は短く切っておきましょう。赤ちゃんの爪は薄くてカミソリの歯のようになってしまうこともあるので、爪切りよりもヤスリで削る方が良いかもしれません。

あまりにも手が伸びてしまう時はミトン(手袋)をつけるのも良いでしょう。
また、発熱が続いていたり水ぶくれが増えていたりする時は湯船につかることは控えます。体が温まるとかゆみも増してしまうし、家族への感染の可能性もあります。

ただし体を清潔に保つことは皮膚の合併症を防ぐことにもなりますので、体調が落ち着いてきたら水ぶくれを潰さないよう軽くシャワーをし、やさしくタオルで拭いてあげましょう。

◯ワクチン

水疱瘡の人と接触感染しても予防接種をして免疫をつけていれば感染しません。
1回のワクチン接種で80〜85%、2回の接種で90%以上、水疱瘡にかかるのを減らすことができます。
また、まれに起こってしまう重症化をほぼ100%防ぐことができると言われています。過去に水疱瘡にかかっているもしくは予防接種を受けると抗体ができるので、ほとんどの大人は抗体を持っていると言われています。
しかし実は予防接種で得た抗体が体内に残るのは20年程度とされていて、20年以降は感染の可能性が高くなります。特に妊婦さんが感染すると妊娠初期では流産になることが多く、出産直前直後に水疱瘡の症状が出ると赤ちゃんはお母さんが抗体を作る前に生まれてしまうので母子ともに重症化するリスクが高くなってしまいます。

妊娠を希望している方は予防接種をあらかじめ受けることも検討してみてください。
ちなみに接種後2ヶ月は避妊する必要があるのでご注意ください。
また、もしも赤ちゃんや家族が感染してしまってお母さんが免疫を持っていなかった場合には、発症前に予防接種を受けることで症状が軽くすむことが期待できますのでかかりつけ医に相談しましょう。
感染力が強いためなかなか防ぐことは難しいかもしれませんが、1歳未満の赤ちゃんはなるべく感染しないように過ごし、1歳を迎えたらお誕生日のプレゼントと一緒に予防接種を忘れないようにしましょう。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

出産に備える
大切な情報