2022年1月28日
赤ちゃん・子育て

赤ちゃんのインフルエンザ対策

【インフルエンザについて】

毎年秋になると『そろそろインフルエンザの予防接種予約をしないといけないなぁ』と思う人が多いと思います。インフルエンザは一度かかっても原因となるウイルスの種類が多いため何度でも感染してしまう可能性があり、予防接種や感染予防対策を毎年しなければいけません。

日本では寒いと感じるようになる11月から徐々に感染者が増え始め1月から3月にかけてピークをむかえます。そして暖かくなる4月頃には感染者の人数が急激に減少します。
毎年約1,000万人が感染し、多い年では10人に1人が感染しています。そのうち入院を必要とする方は20,000人程で死亡者数は10,000人程となっています。

年齢別では

0歳から15歳までが40%、16歳から59歳までが40%、60歳以上が20%
となっていますが、重症化し入院を必要とする方は60歳以上が6割と多く次いで多いのは1歳から5歳となっています。これは、60歳以上の方はインフルエンザの症状が悪化して肺炎を起こしてしまうことがあるからです。
そして1歳から5歳のお子さんはインフルエンザのウイルスが脳に侵入してしまったり、ウイルスに対して過剰に免疫反応が起きてしまったりすることで『インフルエンザ脳炎・脳症』を起こしてしまうことがあるからです。

【赤ちゃんはインフルエンザにかかるの?かからないの?】

答えは、赤ちゃんもインフルエンザにかかります!
しかし上記で重症化年齢に0歳児が入っていないのには理由があります。赤ちゃんは生後6ヶ月頃までお母さんから譲り受けた免疫によって守ってもらえているため重症化はしにくいと言われています。
だからといって感染しないわけではありません。
また6ヶ月を過ぎるとお母さんからの免疫力は減少していくので重症化リスクも徐々に上がっていきます。

実際に娘が4ヶ月の頃に私と主人がインフルエンザに感染してしまいましたが娘は無症状でした。
病院の先生は、「たぶん娘さんも感染しているだろうけど、何も症状がないのにつらい検査をする必要はないから同じ期間ゆっくりみんなで休んで下さいね」とおっしゃっていました。

【授乳していてもインフルエンザ治療薬を服用してもいいの?】

現在インフルエンザの治療薬として処方されている抗インフルエンザ治療薬は使用しても母乳にはごく少量しか移行しないため授乳をしても問題ないとされています。

しかし授乳の際にお母さんからの飛沫感染や接触感染の可能性がありますから、不織布マスクを着用するなど、清潔な状態で授乳してあげるように気をつけてください。搾乳して他の家族が哺乳瓶で与えることができるのであればそれも良いと思います。

【インフルエンザを予防しよう】

インフルエンザワクチンは生後6ヶ月から接種することができます。
生後6ヶ月から12歳までは2回の接種が必要になりますので感染のピークを迎える前に接種が終えられるように10月頃から予定を立てると良いでしょう。(効果は5ヶ月程です。)
また、家族からの感染も多いので、お母さんやお父さんもインフルエンザワクチンを接種し、手洗いやうがいなどを徹底しましょう。

お出かけの際はマスクの着用や、人の多い場所は避けるようにしましょう。インフルエンザウイルスにはアルコール消毒も効果がありますので、どこでも触ってしまう赤ちゃんの予防のためにも除菌は大切です。帰宅後には手洗いうがいも行いましょう。

インフルエンザウイルスは寒くて乾燥している場所を好みます。温度を上げるために暖房だけを使用しているとさらに乾燥しウイルスが空気中に浮遊しやすくなってしまいます。同時に加湿もする事で浮遊を抑え感染リスクを下げることができます。
(温度目安は20度、湿度目安は50~60%と言われています。)

バランスのとれた食事や十分な休息もとても大切です。
免疫力の低下はウイルスに感染しやすくなりますから、日頃から無理をしないことも予防対策の一つだと思います。赤ちゃんとの生活はお母さんお父さんにとって休息のない時間と感じることもあると思います。
しかしご両親が寝込んでしまっては大変なので、一緒にお昼寝をしたり家事を分担したりしてできるだけストレスのない生活を送れると良いと思います。

【さいごに】

どれだけ感染予防をしていても感染してしまう時はあります。
赤ちゃんは体の不調をうまく伝えることができないので、できるだけ早く変化に気づいてあげることが大切です。インフルエンザは急激に症状が悪化しますので、日頃と比べて少しでもおかしいなと思ったらよく見ていてあげることも大切です。

2020年から2021年にかけては三密を避けたり、マスク着用の徹底によりインフルエンザの感染者数は10,000人程と過去の感染者数の1000分の1となったようです。
今後も予防対策をすることで大切な赤ちゃん、ご家族を守っていきましょう

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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