帝王切開にかかる費用は?助成金や給付金についても紹介

出産にかかる費用

出産にはお金がかかると言われています。出産を考えている人や出産予定がある人の中には出産費用がどのくらいになるのか分からず不安を感じる方も少なくありません。

厚生労働省保険局の集計データによると令和元年度(速報値)の出産費用の平均は460,217円(正常分娩に係る直接支払制度専用請求書を集計)でした。しかし、この金額を全額自己負担するということではありません。助成金や給付金などの各種制度を利用することにより、出産時にかかる自己負担額を軽減することが可能です。

出産は人それぞれ違うため、出産方法、出産する場所、入院日数などにより費用は大きく異なります。

 

経腟分娩と帝王切開、費用に違いは?

経腟分娩の場合

経腟分娩による出産の場合、病気や怪我ではないため、健康保険に加入していても保険が適用されず、分娩費用は全額自己負担となります。

・帝王切開の場合

一方、帝王切開による出産の場合、手術の扱いとなるため保険が適用され自己負担は3割となります。分娩費用だけを考えると帝王切開の方が出産費用はかからないように見えます。しかし、経腟分娩の入院日数が5日前後なのに対し、帝王切開の入院日数は10日前後と長いため、帝王切開の方が入院費用は多くかかります。

また帝王切開で出産すると経腟分娩ではかからない検査、処置、投薬などの費用が発生します。結果、帝王切開の方が経腟分娩よりも費用が高額になる場合があります。

 

帝王切開にかかる費用の内訳

帝王切開にかかる費用の中でも、健康保険が適用される保険診療と健康保険が適用されない自己診療があります。手術、入院、検査、処置、投薬に関わる費用は保険診療部分にあたり、自己負担は3割になりますが、入院中の食事、差額ベッド代、分娩介助、新生児の保育、検査に関わる費用は自己診療部分にあたり、全額自己負担となります。

・入院費

入院費は、病室の利用料と食事代のことで、一般的な病院で相部屋にした場合、1日2万円程度が目安です。帝王切開の場合、入院日数が10日前後になることが多いので、20万円前後かかります。また、妊婦さん自身が希望して個室にした場合は、別途個室利用のための費用がかかります。

・分娩費

分娩費は、分娩にかかる費用のことで、正常分娩の場合で約25万円かかります。帝王切開は公的医療保険の対象になり、自己負担額は3割となるため、金額は約6万円です。

・新生児管理保育料

新生児管理保育料は、検査などの管理や保育など新生児の健康管理にかかる費用のことです。1日1万円程度が目安です。

・産科医療補償制度

産科医療補償制度は、出産において予期せぬ出来事で重度脳性まひとなった赤ちゃんとご家族の経済的負担を補償し、再発防止と原因分析に役立てるための制度です。出産を扱う分娩機関が入る民間の保険制度です。掛け金は16,000円(2021年12月31日までに出生/Webシステム利用)です。

・その他の費用

経腟分娩でも行われる赤ちゃんの検査費用(約5万円)の他に帝王切開では術前、術後にお母さんの健康状態を調べる検査費用、抜糸(抜釘)などの処置費用、鎮痛薬の投薬費用などがかかります。

・合計の費用

<正常分娩の場合>

入院費 約12万円

分娩費 約25万円

新生児管理保育料 約6万円

産科医療補償制度 1万6千円

赤ちゃんの検査費用 約5万円

地域や医療機関により異なり、差はありますが、合計約49万6千円程度になります。

<帝王切開の場合>

入院費 約20万円

分娩費 約6万円(医療保険の対象/自己負担額)

新生児管理保育料 約10万円

産科医療補償制度 1万6千円

赤ちゃんの検査費用 約5万円

地域や医療機関により異なり、差はありますが、合計約42万6千円程度になります。

 

知っておきたい出産費用の助成金や給付金

帝王切開でかかる費用は、医療機関によって異なりますが、数十万単位で見積もっておく必要があります。高額ではありますが、健康保険からは出産育児一時金や高額療養費がもらえ、仕事を続けているなら、出産手当金の支給対象になります。医療保険に入っていれば給付金が支払われるので、場合によってはトータルで黒字になることもあります。

・出産育児一時金

国民健康保険、または社会保険に加入している方(扶養も含む)は、出産費用の補助として赤ちゃん1人につき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は40.4万円)の出産育児一時金が支給されます。出産育児一時金には、直接支払制度があります。これは医療機関が健康保険組合に対し、出産育児一時金の支払いを直接請求する制度で、被保険者は出産費用で超過した分のみを医療機関に支払うというものです。妊婦さんが手続きをしなくて済むので便利な制度です。

・高額療養費

高額療養費とは、1日から月末までの1カ月間に支払った医療費が一定の金額(自己負担限度額)を超えたとき、その超過分を払い戻してもらえるという制度です。加入している健康保険から支給されるもので、帝王切開での医療費も給付対象になります。自己負担限度額は所得によって異なります。帝王切開になることが事前に分かっている場合、限度額適用認定証を発行しておけば、退院日の会計時に窓口での支払いが自己負担限度額までで済みます。

<毎月の上限額の例>

例1)年収約370~約770万円の場合

ひと月の上限額(世帯ごと)は80,100円+(医療費-267,000)×1%

例2)年収~約370万円の場合

57,600円

<支給申請方法>

加入している公的医療保険(健康保険組合など)に、高額療養費の支給申請書を提出、または郵送することで支給が受けられます。

医療機関の領収書添付を求められる場合もありますので、保管しておきましょう。

<支給までの期間>

申請後、審査があり、受診した月から少なくとも3カ月程度かかります。

※参考:厚生労働省保険局/高額療養費制度を利用される皆さまへ

 

・医療保険の給付金

妊娠する前に医療保険に入っていた場合、帝王切開で手術、入院をすると給付金の支払い対象となります。給付金額は医療保険の契約内容によって異なります。新たに医療保険へ入ろうとしても、妊娠中だと条件付きの契約になる可能性があるので、帝王切開の費用を医療保険で備えるなら、妊娠を考えた時点で保険に入っておきましょう。

・医療費控除の還付金

医療費控除とは、1年間に自分と家族が支払った医療費が10万円を超えた場合(所得が200万未満の場合はその5%を超えた場合)に税金面で優遇してくれる制度です。国税庁によると、帝王切開に限らず、妊娠・出産にかかった費用は医療費控除の対象となり、払い過ぎた税金が還付金として受け取れます。医療費控除を受けるには確定申告をする必要があります。

・その他助成金、給付金

帝王切開による出産に限らず、出産する本人が会社勤めをしている場合は、育児休業給付金(育休手当)、傷病手当金、出産手当金などが利用できる場合もあります。また、子育て世代に手厚い福利厚生制度のある会社もあります。

帝王切開で3人出産した私の体験談

私は帝王切開で3人の子供を出産していますが、やはり多くの費用がかかりました。第一子は祝日の出産となり、休日加算がかかってしまいました。一番失敗だったのは帝王切開による入院が医療保険の対象とは知らず、妊娠前に医療保険に入っていなかったことです。手術の一時金や入院給付金のことを考えると医療保険に入っておけば良かったと後悔しています。限度額適用認定証は事前に発行しておいたので、退院時に窓口での支払いが高額にならずに済みました。

他にやって良かったことは個室利用です。産後は帝王切開の傷の痛みと後陣痛の痛みで、心身ともに負担がかかりましたが、個室だったので安心して体を回復させることができました。出産すると入院中から赤ちゃんのお世話と2~3時間おきの授乳が始まります。個室であれば同室の方へ気を遣うことも、また他の赤ちゃんの泣き声を気にすることもなく、合間にしっかり休息をとることができます。個室利用には費用がかかりますが、病院によっては術後1~2日の短期間だけ利用できる場合もあるので事前にチェックしておくのも良いかもしれません。

医療保険に入っておいた方がいい?

現在、赤ちゃん約5人のうち、1人が帝王切開で産まれています。いざ出産!というときに、分娩方法が急に変わる場合もあり、そうなると、お金の予定も変わってしまいますよね。

帝王切開で出産した場合には、民間の医療保険の給付対象となる可能性があります。ぜひ、これを機会に保険の加入やプランの見直しを行いましょう。

ただし、妊娠週数によっては加入ができなかったり、妊娠後では加入に条件がつく場合があります。ご自身に合ったプランを選択しましょう。

医療保険に加入しておくことで、予定をオーバーしてしまった場合の備えになり、その支払いに充てられ、お金の心配も減るため、安心ですよね。

まとめ

帝王切開による出産では費用が高額になることがあります。余裕を持って準備しておくことが大切です。出産育児一時金や高額療養費制度などを活用することで、自己負担額を減らすことができますので、自分が利用できるものを事前に調べ、必要な手続きがあれば早めに済ませておきましょう。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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