妊婦さんも仕事を持つということは

関東在住2児の母

少子化問題はますます深刻になる昨今。女性たちは「産めよ、育てよ、働けよ」と家庭でも社会でも忙しく、ストレスフルな日々を送っている人が多いのではないでしょうか。

いざ妊婦さんになっても、産休育休の期限があるので、おなかが目立つ妊婦さんが仕事のために満員電車に揺られている姿を見るたび「どうにかならないのだろうか」と妊婦だった頃のわが身を振り返りつつ、近ければ席を譲り、遠ければ「安産を祈っています視線」を送ってしまいます。

1970年代初頭生まれの私が社会人になった頃は、まだまだ男尊女卑やジェンダーハラスメントが当たり前で、一生懸命仕事に取り組んでいても、男性上司からは鼻で笑われ「どうせ腰掛けだろう」と言われたこともありました。かと思えば、29歳で主任になった女性の先輩は「行き遅れ」や「お局」と呼ばれる有様で、悶々としたものです。

20代前半で結婚した同級生や同僚は、結婚を機に退職し、20代後半で結婚した友人たちは妊娠を機に退職する、といった流れが普通でした。

私はと言うと、10代で親が離婚し、2歳上の兄ができちゃった婚をした後、離婚していて、「我が家は結婚に向かない家系?」と思い続けていたので、長年付き合っていた彼とは友人の結婚式に参列しても、自分たちの結婚の話はしませんでした。

それでも二人で長期間話し合い、29歳で結婚したのですが、その頃は仕事が楽しくて仕方がなくて、主人も「やめなくて良いよ。俺の給料で生活して、君の給料をそのまま貯金に回して将来に備えよう」と。そんな計画もあり、もしかして働き過ぎで妊娠しなかったのかしら?と思うほど、妊娠まで6年かかってしまいました。

晴れて妊婦になってからというもの、つわりがひどく長く続き「仕事なんて休みたい!いや休んで周りに迷惑をかけるなら辞めてしまいたい!」と何度となく思っていましたが、実家の自営業を手伝っていたことと、主人が私の妊娠発覚直後にリストラにあってしまったこともあり、辞められませんでした。

つらく厳しい妊婦生活も後半になってようやく落ち着き、胎動を感じるたびに語り掛け、妊婦生活そのものを楽しめるようになってきたので、なんと出産予定日の1週間前まで働いていました。

 

妊婦さんが仕事を持つということ

私自身が妊娠中にも出産後にも、妊婦で仕事をしている女性たちに話を聞く機会があったので、記憶にあることを綴ってみたいと思います。

なぜ妊婦さんになっても仕事を続けたのか?

「仕事が好きで辞めたくなかった。産休育休制度を利用して産後も働き続けたかった」「仕事をしないと生活できなかった」

衝撃でした。「子供と24時間一緒にはいられない、仕事がなかったら私自身を維持できない」という、とっても自分に正直なママもいましたが、前者より後者が多かったのです。私と同じ境遇のママとは出会いませんでしたが、のちに保育園で一緒になったママから「夫の給料が少ないので働き続けるしかないの」と聞いていました。

同じく保育園で出会ったママたちの話で「仕事は大好きなの。出産前は産んだらまた働くと思っていたし。だけど赤ちゃんの顔を見たら、考えや価値観が変わったの。本当は夫に稼ぎがあったなら、子育てに専念したいって」

「0~2歳の間は浪費さえしなければ、夫の稼ぎだけで暮らそうと思えば暮らせるの。だけど、その先のことを考えたら、子供の成長と共に教育資金は必要だし、余暇を過ごす時の予算も必要。1、2年に1度は旅行にも行きたいしね」

「好きな仕事だったとしても、社会生活はストレスフルだしね。夫の会社が未来永劫続くとも限らない。それまでは夫は大黒柱と言ったけれど、実は現代の大黒柱の全てが太いとは限らなくて、先行き不安でしかないから、収入の柱は複数あった方が良いと思うの。だから保育園を利用させてもらって、私も仕事を持ち続けるしかないの」

実は、保育園利用をしていた当初の私は、ママの中で最長老だったこともあり、3カ月に1度のママ会の幹事をしていたこともあり、妊産婦さんとの話題が豊富なのです。

働くママ=ワーママ

日本の景気が良くなったとは言っても、私が住む町のご近所さんも、利用する保育園のご家族も「そこまで景気が良くなったとは感じない」と言います。

働きたい妊産婦さんよりも、働かざるを得ない妊産婦さんが私の周りには多いので、妊娠中に仕事を続けることでストレスを抱え、出産前後のトラブルに発展しないことを切に願います。

産後は待ったなしで育児が続きますので、仕事と育児のバランスも難しいと悩むワーママも少なくありません。

ワーママが仕事のストレスが溜まり、そのストレスを発散する場所がないことで、イライラして子供に当たってしまう例も少なくありません。

そんなワーママは、子供に当たってしまった日の夜はひどく落ち込み、子供の寝顔を見ながら泣いています。

マンスプレイニングという言葉はありますが、ワーパパという言葉は聞いたことがありません。男性は「仕事の付き合いだから」と家に帰る前にストレス発散ができる大義名分があります。

お家に帰ったら、全力でワーママを頑張る奥様の話を聞いてあげましょう。育児は手伝うではなく、一緒に楽しむスタンスで。ママとパパが仲良く我が子と遊ぶことで、子供たちの心の栄養となるのではないでしょうか。

仕事を持つ妊婦さんは、こういった先輩ママやパパたちの実態を踏まえ、出産前までにご主人としっかりたっぷり話し合っておくことをお勧めします。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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