妊娠後期の下痢 その原因と対処法について

  妊娠中の腸のトラブルと言えば便秘というイメージが強く、下痢になることは意外に思われる方も多いのではないでしょうか。妊娠後期にもなるとおなかも大きくなり、普段の生活を送るだけでも一苦労です。さらに下痢に悩まされているママはより辛い思いをされていることでしょう。  

 そこで今日は特に妊娠後期における下痢について、原因と対策について少しお話したいと思います。

■下痢の原因

1.ホルモンバランスの変化によるもの

 妊娠後期に入るとママの身体は出産に向けて本格的に準備を始め、女性ホルモンを増やしていきます。このホルモンの中には腸の働きを良くするものがあり、これが下痢を引き起こす一つの原因になっています。

多くの場合は急性のもので、短期間、軽度のものはまず妊娠に影響を与えることはありません。このような場合は、治療をすることも必要なく、自然に治まっていくことが多いでしょう。ただし、消化の良い食事や、脱水を防ぐためにこまめな水分補給は心がけましょう。

2.ウイルスや細菌による感染症

 妊娠期間中は抵抗力が低下しており、妊娠していない時よりも感染症にかかりやすい状態になっています。食中毒や胃腸炎などもその例外ではありません。

 頻度は非常に稀ですが、カンピロバクターやリステリアに感染すると新生児髄膜炎や胎児敗血症の原因となることもあります。

 これらが必ずしも妊娠に影響を及ぼすわけではありませんが、1日に10回以上下痢をしてしまったり、下痢が長期間続くような場合は早めに受診するようにしましょう。

3.抗生物質や鉄剤の服用によるもの

 妊婦さんに限ったことではありませんが、抗生物質や鉄剤を服用すると副作用として下痢を引き起こしてしまうことがあります。

特に妊娠中は貧血になるママも多く、産婦人科で鉄剤を処方されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

下痢の症状がどうしても辛い時は病院の先生や助産師さんに相談してみてもいいかもしれませんね。

その他にもストレスが原因になっている場合や、妊娠後期に入り、大きくなってきた子宮や赤ちゃんにママのおなかが圧迫されることによって、胃腸の働きが停滞してしまい、消化がうまくできず、下痢を引き起こしてしまうケースもあります。

では、対策としてどのようなことに気をつけて生活をすればよいのでしょうか。

■下痢を予防するための対策

 対策として、まず第一に身体を冷やさないこと、特におなかは暖めて過ごしましょう。また、冷たい食べ物や消化の悪い物、火の通りが不十分な物にも注意したいところです。味の濃い物や辛い物も胃腸にはあまりやさしくありません。

 妊娠後期になってもつわりが続いているママ、つわりがぶり返してしまったママは思うように食事が摂れず、辛い思いをされていることでしょう。私も第一子妊娠中がまさにそうでした。少しでもすっきりしたくて、また空腹を満たすために清涼飲料水や飴やガムなどを口にされることもあるでしょう。意外に思われるかもしれませんが、実はこれらに含まれる人口甘味料は腸に吸収されづらい性質を持ち、時には腸の働きを活発にし、下痢を引き起こすこともあります。下痢で辛い時はこれらの摂取もなるべく控えた方が良さそうですね。

そして、なかなか難しいことですが、ゆったりとした気持ちで過ごすことが何よりも大事です。

■受診した方が良い場合

・1日に10回以上下痢をしてしまう、嘔吐など他の症状を伴う場合。

・下痢症状がひどく、1日様子を見ても治まる気配がない。

・便に血が混ざっている。

ひどい下痢の場合、下痢が長く続く場合は、原因をはっきり突き止めてから治療を必要とする場合があります。特に便に血が混ざっているような場合は他の病気の可能性も考えられます。

ママがいつもと違うと思ったら、早めに受診するようにしましょう。

もし、内科や胃腸科、消化器科を受診する場合は妊娠していることを必ず伝えてくださいね。

ここで注意したいのが、自己判断で市販の下痢止めを服用しないようにすることです。普段でしたら簡単に薬局で手に入り、下痢も比較的早く治まるので服用したいところですが、妊娠中の薬の服用はどんな時もどんな種類の薬でも、病院の先生もしくは薬剤師さんに相談してからにしてくださいね。

■こんなに下痢をしておなかの赤ちゃんに影響はないの?

 中には妊娠中の下痢が原因で早産など赤ちゃんに何か悪い影響があるのではと心配になるママも多いのではないでしょうか。

私も妊娠中の腸のトラブルに悩まされた一人です。妊娠初期に便秘で苦しみ、まさか後期になって今度は下痢で悩むことになるとは思ってもいませんでした。

大袈裟な話に聞こえるかもしれませんが、妊娠後期に入り妊婦検診の度に切迫気味だと先生に言われ続けた私は、こんなに長時間トイレで踏ん張ってしまったら、赤ちゃんが下がってきてしまうのではないか、早産になってしまうのではないかとトイレの中でいつも心配になっていました。

妊娠中はどんな些細なことでも心配になってしまうものです。しかし、心配しすぎるのはママにとってはあまり良いことではありません。  たかが下痢と思われるかもしれませんが、下痢も長く続くとママの体力を消耗してしまいます。そして、何より一番大切なのはママが穏やかな気持ちで過ごせることだと思います。ママがおなかの赤ちゃんと穏やかに過ごすためにも、どんな些細なことでも病院の先生や助産師さんに相談してみてくださいね。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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