妊娠初期 流産の原因。この命は守れる?気をつけることは?

「流産するかもしれない」

そんな考えは、妊娠の喜びと共に、口に出せない不安として妊娠初期の妊婦さんの心に影を落とします。

気が重くなるような話題ですが、妊娠したら誰にとっても心配な「流産」

悲しいことですが、妊娠の約15%が流産になるといわれています。そして、その大半が妊娠初期に集中しているのです。

私が経験した妊娠初期の流産と、その兆候

 

私は妊娠初期のある日、不安な腹痛と共に目が覚めました。

前日に軽い出血があり、念のため病院を受診して「安静」を言い渡された後でした。

でも前日はまだ赤ちゃんに異常はなく、安静にしていればきっと大丈夫だと思っていたのです。

その腹痛に「ダメかもしれない」と直感しました。全身から血の気が引いたことを今でも思い出します。

 

 

その後、すぐ病院を受診。

診察結果を聞くために部屋に入ると、先生がテーブルの上にティッシュの箱を出しているのが見えました。

そして、流産であることが伝えられました。

正確には流産が進行している途中で、まだおなかの中に赤ちゃんがいる状態でした。

「この時期の流産はお母さんのせいではありません。赤ちゃんの方の問題なのです」そのように先生からは説明されましたが、深い絶望と悲しみ・・・

何がいけなかったのだろう、自分の何かに原因があったのではないだろうか、と考えずにはいられませんでした。

 

妊娠初期の流産の原因とは?

 

妊娠初期の流産の原因は、胎児の染色体異常がほとんどです。すなわち、防ぎようもない運命を持った受精卵だったということです。

そのため、母体側の努力ではどうすることもできません。

例え体外受精などで受精卵の状態を確認できていたとしても、可能性は否定できません。不妊治療をされていた方ならご存知のことと思います。

受精卵は1日経つごとに細胞分裂をしていきます。正常に育っていく卵もあれば、途中で分裂しなくなる卵、正常な形で分裂していかない卵と、1つ1つが異なっていきます。

例え体外受精で胚盤胞まで正常だったとしても、その後のことは確認することはできません。

自然妊娠ならなおさら、全くわからない状態です。

例えば、お母さん自身が妊娠前に努力して卵の質を上げることができるなら、妊娠初期の流産対策にはなるのかもしれません。

しかし、すでにおなかの中にいる赤ちゃんの運命を変えることはできないのです。

受精してすぐにそれだけの変化がある中で、ちゃんと成長し続け、何も問題なく外に出てくることができるのはもう「奇跡」でしかない、と私は思っています。

 

妊娠初期の流産の確率と心音確認

 

私が流産したのは心音確認の前でした。

妊娠が確認されると、最初の関門になるのが心音確認です。妊娠初期の流産の多くが心音確認の前に発生しています。

心音が確認されれば、ひとまず順調に成長している証拠であり、流産のリスクも激減します。

大体のお母さんが妊娠5~6週で心音を確認できています。

また1度心拍が確認された後、8週頃の検査で正常な心拍が確認できれば、高い確率で妊娠が継続することがわかっています。

しかし、この週数にも多少の誤差は発生します。それは排卵、着床のタイミングが正確にはわからないからです。

そのため、多少の誤差はあるものとして、週数がカウントされています。

 

妊娠初期の流産に手術は必要?

 

流産には、その進行状況に応じていくつかの種類があり、

・化学流産

・進行流産(完全流産・不全流産)

・稽留流産

の大きく3つが挙げられます。

化学流産とは、妊娠検査薬で陽性であったにも関わらず、超音波検査で妊娠が確認できるより前の早い段階で妊娠が止まってしまった状態のことをいいます。この場合、生理との違いもわかりづらく、妊娠・流産に気付かないこともあります。

進行流産とは、子宮が収縮し腹痛を伴いながら子宮内容物が出血とともに体外に排出されることをいいます。子宮内容物の残留状態でさらに完全流産と自然流産に分かれます。

完全流産は子宮内容物がほとんど排出された状態で、手術の必要はなく、経過観察または場合によって子宮を収縮させる内服薬の服用で対処できることが多いです。

一方の不全流産は、子宮内容物の排出が始まってはいるものの、まだ一部が子宮内に残っている状態で、症状として腹痛や出血が続いていることが多いです。

また稽留流産は、おなかの中で赤ちゃんがある程度成長したものの、心拍が確認できず、子宮内で胎児附属物とともに留まっている状態をいいます。稽留流産の場合は、出血や腹痛などが起こらないため、妊婦さんは流産に気づけないことが多いです。

流産後の処置は、自然排出によって経過観察のみで済む場合もありますが、子宮内に内容物が残る不全流産や稽留流産の場合は、手術が必要になることもあります。

 

本当に安静にしなくて良いの?変えられない流産の運命

 

すでに赤ちゃんには定められた運命があるといっても、本当に安静にしていなくて良いのでしょうか。

仕事や家事、スポーツなど、日常生活の多くの動きが心配になりますね。ゆっくり休めない場合、その事柄に対して嫌気が差すこともあるかもしれません。

安静にしなくて良い根拠として、胎盤がまだできていないことが挙げられます。

胎盤は妊娠15週頃に完成するといわれており、胎盤が完成するとお母さんの栄養素などがダイレクトに赤ちゃんに届くようになります。

すなわち、母体の影響を受けやすくなる、ということです。そのため、妊娠初期に関しては思ったほど胎児への影響がなく、つわりで全然ご飯が食べられない時期があっても、問題なく胎児が成長できるわけです。

妊娠初期の流産が胎児側の原因によるもので、胎盤ができていないため、母体からの影響も少ないとなれば「赤ちゃんのために」安静に過ごす必要はあまりない、といって良いのではないでしょうか。

むしろ、つわりを含むお母さん自身の問題で安静にするかどうかだと思います。

心音確認ができれば、次に目指すのは安定期。一般的には16週を超えれば安定期といわれています。

安定期に入るまでは、周囲の方に妊娠の発表を控えておられる方も多いことと思います。私もそうでした。早く安心して、周囲の方に伝えられると良いですね。

さいごに。流産経験者の私から伝えたいこと

 

不安ですよね。

この命は、生まれてくる運命を持っているのか。

妊娠初期の流産は染色体異常で防ぐことができないとわかっていても、ご自分のことを責めてしまう方もおられます。

その矛先が自分以外に向くこともあるかもしれません。

でも、仮にご自身にそのような日が来ても、どうぞご自分も周囲も責めることなく、ご自身のお子さんと短い時間でも一緒にいられたことを誇りに思ってください。

そして、起こるかわからない未来を不安に思って今を過ごすより、新しい命が宿ったことに感謝して、マタニティライフを楽しんでください。

お母さんが明るく幸せな気持ちでいることが、おなかの赤ちゃんにとっては一番です!

今、この瞬間を大事に、幸せな気持ちで過ごしていきましょう。

赤ちゃんの未来の命を救うかもしれない「さい帯血バンク」について

 

赤ちゃんがおなかに宿った瞬間から、その命を守ることに思いを馳せるお母さん。そのお母さんと赤ちゃんを、今この瞬間もつないでいるへその緒に流れる血液「さい帯血」が、生まれた赤ちゃんの未来の命を救うことになるかもしれないのをご存知ですか?

さい帯血とは、出産後のへその緒から採取できる赤ちゃん自身の血液のことです。この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれています。

この幹細胞には、現在十分な治療法のない病気の治療に役立つ可能性のある細胞が含まれていて、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管しておくことができます。元気に誕生した赤ちゃんでも、将来さい帯血で治療できうる病気にかかる可能性は誰にでもあり、その際に赤ちゃん自身のさい帯血が保存されていれば、治療により未来を変えられるかもしれません。

しかし採取できるのは、出産直後の数分間のみ。採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みや危険はありません。

民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる

ステムセル研究所は、さい帯血保管ができる民間バンクです。さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の治療のために寄付・保管されます。一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管します。治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。

ステムセル研究所では、1999年の設立以来、20年の保管・運営実績があり、民間さい帯血バンクとしての国内マーケットシェアは約99%です。これまでに累計7万名以上もの方々にご利用いただいています。

<ステムセルが選ばれる理由>

・全国各地の産科施設とのネットワークで採取から運搬そして保管まで高品質を維持した体制を実現

・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設

・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得

・ISO9001認証とプライバシーマークを取得

・2021年6月東京証券取引所に株式を上場

詳しい資料やご契約書類のお取り寄せは資料請求フォームをご利用ください。

 

さい帯血を保管した人の声

■さい帯血の限りない可能性に期待(埼玉県 佐藤 香奈江様)

「初めて妊娠がわかったとき、この命を守ってあげたいと思いました。彼女にはじめて会ったとき、この子を守らなければならないと思いました。さい帯血はまだまだ未知数の宝箱です。

私が彼女に与えた初めての財産であると同時に彼女の持ち物でもあります。何に使うのか私だけで決めるのではなく、彼女と話し合って決めたいと思いました。彼女が使い道を決められるまで、大切に保管してあげたいと思い、ステムセル研究所にお願いしました。将来、公的と民間の区切りなくいろいろな形で使えると良いなと思っています。」

 

■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)

「私の子どもはウィルス性の病気から脳の一部が機能障害となりました。万が一に備えて保管しておいたさい帯血。

治療に効果があると知り、現在は移植治療に向けて準備をしているところです。まさか使うことになるとは思わなかったし、使わない方が良かったのですが、一生に一度きりのさい帯血を保管しておいて良かったと心から思います。」

 

※ほかの保管者のから声はこちら

 

妊娠初期は、赤ちゃんの存在をおなかに感じる機会も少なく、儚く思えるその命が無事に成長してくれることを祈る日々ですよね。つわりなどでお母さんの体調も安定しづらい時期なので、生まれた後の「もしも」のことまで心配するのは難しいと思います。ただ、さい帯血が採取・保管できるチャンスは、出産後すぐの一度きり。さい帯血保管という制度があることだけ、ぜひ知っていただきたいと思います。赤ちゃんの無事と健康を願う妊婦さんの、健やかな妊婦生活をお祈りしています。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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