妊娠初期は流産しやすいと聞き、不安になっていませんか。
事実、厚生労働省の調査によると妊娠者全体に対する妊娠初期の流産・死産割合は高いという結果が公表されています。
しかし、妊娠初期に注意すべきポイントをおさえておけば、妊娠初期に流産する確率は下げられる可能性があります。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠初期の流産率
・妊娠初期に流産しないためにやめるべき行動
・流産の体験談
この記事を読むと、妊娠初期での流産に対する不安がやわらぎますよ。
【統計結果】妊娠初期は流産しやすい
・日本産科婦人科学会によると、妊娠のうち15%前後が流産になるといわれています。
また、妊娠した女性の約40%が流産しているとの報告もあり、流産は多くの女性が経験しています。(※1)
・厚生労働省の調査によると、流産・死産のうち85.7%が妊娠初期(妊娠13週まで)に起こっています。(※2)
・妊娠初期に流産が多い理由
妊娠初期に流産が多いのは、そのほとんどが受精卵の染色体に異常があるためです。
卵と精子の染色体にある遺伝子情報を元に胎児の体を作り上げるのですが、受精の際に染色体の数が違ってしまうなどの異常が見られた場合には生命を維持することができません。
染色体に異常があったものはそのほとんどが初期で妊娠の継続ができないため、妊娠初期での流産が多くなります。
染色体は細胞が分裂するときに正しくコピーされるのですが、それがうまくいかないことがあります。
コピーがうまくいかないというのはどうしても起こりうることなのです。
出典元
(※1)日本産科婦人科学会|流産・切迫流産
(※2)厚生労働省「令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 流産や死産等を経験した女性に対する心理社会的支援に関する調査研究 事業報告書」
妊娠初期の流産率は?【加齢とともに増加】
妊娠初期に流産する確率は以下の表の通り、妊娠した時の年齢が上がるほど上昇しています。
妊娠時の年齢 | 流産・死産率 |
21~22歳 | 8.4% |
23~24歳 | 10.2% |
25~26歳 | 8.9% |
27~28歳 | 9.9% |
29~30歳 | 11.6% |
31~32歳 | 14.4% |
33~34歳 | 21.8% |
出典:国立社会保障・人口問題研究所|妊娠企図の延期と子ども数(2011年)より一部抜粋して表作成
妊娠初期で流産しないためにやめるべき行動【5選】
妊娠12週までの流産は染色体の異常であることが多く防ぐことは難しいですが、それ以降の流産になる原因をできるだけ遠ざけることで流産の可能性を低くしていきましょう。
1、喫煙
2、アルコール摂取
3、コンドームを付けない性交渉
4、身体に負荷をかける行動
行動1:喫煙
たばこ煙草に含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり血流量が減少します。
また、一酸化炭素は酸素を体中に運ぶヘモグロビンの量を減少させます。
このことによってお腹の中の赤ちゃんが低酸素状態に陥ったり、 胎盤の機能低下が起きたりすると発育不全による流産や早産の可能性が高まります。
行動2:アルコール摂取
妊娠に気づくか気づかないか、4週ごろの妊娠超初期であればアルコール摂取の影響はほぼないといわれています。
その後の妊娠初期は胎児の器官形成が行われる時期であり、胎盤を通じてアルコールが赤ちゃんの体内に届くので、赤ちゃんは肝臓でアルコール成分を分解しなければなりません。
摂取したアルコールが赤ちゃんに影響し流産や死産、器官の発育に異常が現れることがあります。
少量であれば影響が少ないといわれてもいますが、この量なら絶対に大丈夫というデータもないため、妊娠に気づいた後の飲酒はしないようにしましょう。
行動3:コンドームを付けない性交渉
妊娠期間中もパートナーとの性交渉は可能ですが、お腹の赤ちゃんの為に気を付けて欲しいのが感染症対策です。
コンドームの使用は細菌の感染予防にもなります。
子宮に細菌感染による炎症が広がることは流産につながりますので、必ずパートナーと理解し合ってコンドームを使用するようにしましょう。
行動4:身体に負荷をかける行動
例えば妊娠前から続けていたジョギングのような運動はすぐにやめる必要はありません。
しかし妊娠に気づいたら、転倒したり体をぶつけるような運動や重いものを持ち上げたり踏ん張ったりする運動を続けていくのはよくありません。
ハードな運動は流産へつながる可能性がありますので、子宮のある腹部に力が加わる運動は避けるようにしましょう。
ですが、基礎体力向上のためには適度な有酸素運動は有効ですので、日ごろから激しい運動をしていた人は運動の種類を変えて楽しむようにしましょう。
【体験談】妊娠初期の流産と兆候
私は妊娠初期のある日、不安な腹痛と共に目が覚めました。
前日に軽い出血があり、念のため病院を受診して「安静」を言い渡された後でした。
でも前日はまだ赤ちゃんに異常はなく、安静にしていればきっと大丈夫だと思っていたのです。
しかし、あまりの腹痛に「ダメかもしれない」と直感しました。全身から血の気が引いたことを今でも思い出します。
その後、すぐ病院を受診。
診察結果を聞くために部屋に入ると、先生がテーブルの上にティッシュの箱を出しているのが見えました。
そして、流産であることが伝えられました。
正確には流産が進行している途中で、まだおなかの中に赤ちゃんがいる状態でした。
「この時期の流産はお母さんのせいではありません。赤ちゃんの方の問題なのです」
そのように先生からは説明されましたが、深い絶望と悲しみ・・・
何がいけなかったのだろう、自分の何かに原因があったのではないだろうか、と考えずにはいられませんでした。
産経験者の私から伝えたいこと
この命は、生まれてくる運命を持っているのか。
妊娠初期の流産は染色体異常で防ぐことができないとわかっていても、ご自分のことを責めてしまう方もおられます。
その矛先が自分以外に向くこともあるかもしれません。
でも、仮にご自身にそのような日が来ても、どうぞご自分も周囲も責めることなく、ご自身のお子さんと短い時間でも一緒にいられたことを誇りに思ってください。
そして、起こるかわからない未来を不安に思っていまを過ごすより、新しい命が宿ったことに感謝して、マタニティライフを楽しんでください。
お母さんが明るく幸せな気持ちでいることが、おなかの赤ちゃんにとっては一番です。
いま、この瞬間を大事に、幸せな気持ちで過ごしていきましょう。
まとめ
妊娠初期のうち12週までの流産は染色体の異常など赤ちゃん側に問題があるため防ぎようがないものです。
もし起こってしまってもお母さんができることは無かったはずです。
しかしその後については、体に気を付ける知識を知っていれば流産のリスクを少し下げることも可能です。
絶対に気を付けたいアルコールや喫煙、性交渉の際のコンドームの使用や過度な運動を避けることで赤ちゃんを大切に守ってあげましょう。
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この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー