赤ちゃんができた喜びも束の間、妊娠初期は様々なマイナートラブルが起き始めますよね。
その中でも、妊娠と関係があるのかどうか、意外と悩むのが「頭痛」
実は、妊婦さんの約6人に1人が「妊娠初期の頭痛」を経験しているといわれており、これもつわりの一種なのです。つわりには吐き気や眠気など、様々な症状がありますが、その症状の1つに頭痛もあるということは、意外と知られていないようです。
つわりとしての頭痛の他に脱水症状や貧血によって頭痛が起きる場合もあります。これらについては、それぞれの症状が改善すれば頭痛も落ち着きます。
いずれにしても、赤ちゃんに影響が出るような心配は少なく、改善できるものがほとんどです。
それでは、妊娠初期に起こりがちな頭痛や対処法について、少し掘り下げていきたいと思います。
主な頭痛の原因と対処法
①片頭痛
妊娠初期は、プロゲステロンというホルモンが多く分泌されます。そのため、妊娠前とは大きくホルモンバランスが異なることによって、片頭痛が起きやすくなります。
片頭痛の場合、片側のこめかみ付近が脈打つようにズキンズキンと痛みます。
対処法としては、痛む部位を保冷剤や冷却シートで冷やすと即効性があり、楽になるでしょう。しかし根本的な解決には繋がらないため、睡眠不足や温度差、光の刺激など、片頭痛を引き起こしやすい生活リズムの改善や光の刺激を避けて過ごすことをお勧めします。血流が良くなると痛み出すことも多いため、できるだけ安静にしておくのが良いでしょう。
②緊張型頭痛
こちらは妊娠初期だけではなく、妊娠中、そして産後も継続的に起こりやすい頭痛です。眼精疲労や同じ姿勢をとり続けて肩こりがある場合など、頭が痛くなってくることはありませんか?それは、この緊張型頭痛である場合がほとんどです。
妊娠初期はママも赤ちゃんも、まだ不安定なため、運動ができず、妊娠前よりも運動量が減ってしまいます。こうした運動不足から筋肉がこわばることも、頭痛に繋がります。
この場合、頭の表面を圧迫されるような痛みや、目の奥からくるような痛みがあります。
対処法としては、筋肉のコリをほぐすようにストレッチをしたり温めたりして、血流を良くすることをお勧めします。
頭痛に伴って発熱がある場合
頭痛と一緒に発熱の症状が出た場合、不安になってしまいますね。発熱の原因や対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。
・風邪
妊娠中は免疫力が落ちて風邪をひきやすくなります。温かくして、しっかり休養しましょう。水分補給も忘れずに。自己判断で市販薬を飲むのはやめましょう。
・つわり
妊娠初期は基礎体温の高い状態が続きます。自然に治まっていきますが、16週くらいまで、つわりの症状は続きます。
発熱の症状は自己判断が難しい場合もあります。感染症などによる発熱の場合、おなかの赤ちゃんに影響があることもありますので、普段と違う症状を感じた場合には、早めに受診しましょう。
どちらの頭痛にも出てくるキーワード「血流」
お気づきの方も多いと思いますが、どちらの頭痛の場合も「血流」のコントロールが重要です。しかし、片頭痛の場合は血流が良くならないように安静にし、緊張型頭痛の場合は血流を良くするという真逆の対処法になるので、注意が必要です。
自分の症状がどちらに当てはまるのかをよく確認してから、対処法を試してみましょう。
・生理痛の時のような頭痛で、片側のこめかみ付近が脈打つようにズキンズキンと痛むときは「片頭痛」を疑い、あまり血流が良くならないように活動をやめて、暗めの部屋で安静にするのが効果的。
・首や背中のこわばりがあったり、頭の表面を圧迫されるような痛みや目の奥からくるような痛みがあるときは「緊張型頭痛」を疑い、入浴やストレッチで血流を良くするのが効果的。
(運動は安定期といわれる妊娠中期に入ってから、主治医に確認した上で行いましょう)
この頭痛はいつまで続く?
妊娠初期に頭痛に悩む方は多いようです。
妊娠するとからだにさまざまな変化が現れ、不安になりますが、この頭痛はいつ頃まで続くのでしょうか。
この頃の頭痛のほとんどは生理的なもので、妊娠初期に起こる症状のひとつですので、つわりの症状とともに自然と治まっていきます。
つわりが終わる時期は人それぞれ。つわりのピークは7~9週といわれていますが、12~17週ごろに落ち着くことがほとんどのようです。
また1人目と2人目以降の妊娠では、つわりの症状が違ったという声も。毎回同じように症状があるわけではないのですね。
頭痛で仕事や家事もできないこともあるでしょう。妊婦さんにとってはつらい時期ですが、無理をせず、終わりはありますので、この時期を乗り越えましょう。
気軽に相談をして、心も軽やかに
紹介した2つの症状に当てはまらない場合や症状が悪くなっていくなど、不安がある場合は、健診時などに相談してみることをお勧めします。症状によっては、妊娠中でも使用できる頭痛薬を処方してもらえることがあります。
市販の頭痛薬は病院で処方される薬よりも弱い成分であることが多いです。しかし、妊娠初期は赤ちゃんの重要な器官が作られる時期であるため、自己判断での服用は避け、必ず添付の文書で妊娠中の服用について確認しましょう。
また、妊娠初期であることに気づかず、市販の頭痛薬を服用してしまった場合、とても心配になりますよね。そんな時は、飲んだ薬の種類、量、期間(回数)などをメモしておき、主治医に相談してみると良いでしょう。用法や用量を守った上で、数回の使用であれば、それほど大きな心配はいりませんが、主治医からの正しい情報や指示をもらった方が安心かと思います。
中には、妊娠前から片頭痛で通院していたという妊婦さんもいると思います。この場合、エルゴタミンなどの片頭痛治療薬を処方されていた可能性もありますが、この薬はおなかの赤ちゃんへ影響が出る可能性が高いため、妊娠がわかった時点で服用は止めて、主治医に相談しましょう。
「頭が痛いけれど、つわりの頭痛なのかどうかわからない」「片頭痛で通院歴があって、今は大丈夫だけど、頭痛が起きたらどうしよう」など、気軽に相談をしてみましょう。
きっと対処法が見つかり、心も軽やかになるはずです。
まとめ
期待と不安の入り混じる妊娠初期。妊娠前でさえ、つらい頭痛が起きるのは、気持ちも少し落ち込みますよね。
でも、応急処置や対処法もあれば、主治医に相談することで薬の処方も受けられます。1人で悩んで我慢することなく、対処法を試したり、気軽に相談をしてみましょう。
片頭痛は安静に、緊張性頭痛は血流を良く。あとは気軽に主治医に相談をして、不安を解消しましょう。
この妊娠期間を過ぎれば、いよいよ赤ちゃんファーストの生活が始まります。
でも、それはママの健康があってこその生活。前向きに自分の体の不調や変化を受け止めて対処していくことは、妊娠中も産後もとても大切なことです。
不調を少しでも改善していけるベストな対処法を見つけながら、マイナートラブルを乗り越えていけると良いですね!
この記事の監修者

坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー