妊娠に伴う様々な出血とその見分け方

妊娠中の出血。それは、流産するのではないか、胎児になにか影響があるのではないかなど、妊娠している女性にとって出血はとても気になる不安材料のひとつです。

出血が妊娠初期なのか、中期なのかなど、妊娠の時期によってその出血がどのような可能性があるのかが異なってきます。また、色や量によっても様々ですので、その違いについて紹介していきます。

出血の種類について

出血と言っても色々ありますが大きく分けると出血の「色」と「量」になります。
たまひよのサイト「【コロナで病院に行けない】妊娠中の出血!NG&危険な色、量を公開」によると、まず「色」は出血したばかりの血液は真っ赤(鮮血)やピンクで、時間がたつほど赤褐色、茶色、薄茶色へと変化します。赤・ピンク色は今出たばかりの血。胎盤がはがれている可能性もあるので、すぐに病院に連絡をとあります。
次に、「量」ですが緊急度が高い順にサラサラとした血が流れている→血のかたまりが出る→生理2日目くらいの量→ショーツに500円玉くらいの量→少量の出血が一度で止まる→ショーツに血が少しつくくらい→おりものに血が混じるとあります。
「サラサラした鮮血が流れてくる」、「ゴルフボール大の血のかたまりが出てくる」、「ナプキンからしみ出すくらいの出血」などは超緊急、救急車を呼ぶレベルの緊急事態とも書いてあります。

出血があったときの行動マニュアル

1 出血の色と量をチェック

まずは落ち着いて、出血の色と量をチェックします。産院に正確に伝えられるよう、状態を覚えておきましょう。出たばかりの鮮血だった場合は、緊急度が高くなります。

2 産院に連絡

必ず出血の状況を把握している本人が電話しましょう。出血の色、量、出血の様子、いつ、どこで何をしていたときに出血したのか、出血以外の症状はないかを明確に伝えましょう。

3 安静、または受診

すぐに受診するか、自宅安静をして様子を見るのかは産院の指示に従います。母体や胎児の命にかかわる危険のある「常位胎盤早期剝離(じょういたいばんそうきはくり)」の可能性がある場合は、緊急手術や入院になることがほとんどです。
出血があったときは、とにかく落ち着いて産院に電話を。自分で判断せずに、医師の指示に従いましょう。
出典:【コロナで病院に行けない】妊娠中の出血!NG&危険な色、量を公開|たまひよ (benesse.ne.jp)

妊娠初期の出血について

妊娠初期の出血は特に気になるところです。日本産科婦人科学会によりますと「妊娠初期に、少量の出血や軽い腹痛を感じることがあります。正常の経過の妊娠中でもこのような症状が起こる場合がありますし、流産や切迫流産で起きる場合もあります。

しかし、上記のように流産や切迫流産で、少量の出血等が始まった時点ですぐに医療機関を受診したとしても有効な対処法がないのが現状です。このため、夜間、休日等に少量の出血や軽度の腹痛があっても、すぐに救急外来を受診する必要はなく、翌日あるいは予定された健診の受診で充分と考えられています。

ただし、生理の時より出血量が多い場合や、腹痛がひどい場合には異所性妊娠(以前は「子宮外妊娠」と呼ばれていました)や進行流産の可能性がありますので、そのような場合には夜間・時間外であっても医療機関を受診しましょう」とあります。

引用:公益社団法人 日本産科婦人科学会「流産、切迫流産:妊娠初期に少量の出血があったときは?」より
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4

妊娠中期から後期の出血について

妊娠中期から後期にかけて出血の原因によくあげられる症状として切迫早産、常位胎盤早期剥離、前置胎盤などが挙げられるようです。

【切迫早産】

妊娠22週以降で妊娠37週より前の出産を「早産」といい、早産の一歩手前である状態を「切迫早産」といいます。子宮収縮が頻回に起こり、子宮の出口が開いてしまって赤ちゃんが出てきそうな状態や赤ちゃんを包む膜が破れて羊水が漏れている状態(破水)のことです。

治療としては、子宮口が開かないように子宮収縮抑制剤を投与します。また切迫早産の原因となる腟内の細菌感染を除去するため抗生剤投与することもあります。また、子宮収縮が軽くて子宮口が開いていない場合には外来通院による治療が可能ですが、症状が増悪した場合には入院管理にて治療を行います。

妊娠32週より前に破水した場合には、赤ちゃんが自分で呼吸ができる状態になるまで抗生剤を投与して細菌感染を抑え、できるだけ胎内で成長できるようにします。妊娠34週以降であれば、赤ちゃんは自分で呼吸できる可能性が高いので、抗生剤を使用しながら感染する前に出産し、生まれた後に治療室で赤ちゃんの治療を行います。

なお、子宮口が開きやすい体質(頸管無力症)の場合には、状況により子宮の出口を縛る手術(子宮頸管縫縮術)を行うことがあります。

【常位胎盤早期剥離】

赤ちゃんがまだ子宮内にいるうちに、胎盤が子宮から剥がれてしまう状態です。お母さん・赤ちゃんともに生命が危険な状態に陥るため緊急性の高い病態です。

原因としては、妊娠高血圧症候群、子宮内感染、外傷(交通事故)などが挙げられます。
はっきりとした症状がないことも多いのですが、性器出血・強い下腹部痛・胎動減少を認めた場合には救急外来を受診していただき、超音波検査・胎児心拍陣痛図・血液検査等にて詳しく調べる必要があります。

治療としては、常位胎盤早期剥離と診断された場合には早期に赤ちゃんを娩出する必要があるため、緊急帝王切開術を行います。なお、大量出血による播種性血管内凝固症候群(DIC)に陥った場合には、さらに出血が止まらなくなるため、速やかにDICに対する薬物療法・輸血を開始します。

【前置胎盤】

前置胎盤は、妊娠中期から後期に出血を起こす代表的な異常で、子宮の出口(内子宮口)の全部または一部を胎盤がおおう状態を指します。全分娩の約0.5%にみられ、帝王切開分娩となります。出血が多量になれば、緊急帝王切開になりますが、妊娠週数や出血の程度によっては、保存的に経過を見てから、帝王切開となることもあります。

以上のように、出血の原因は様々です。出血があったときは、とにかく落ち着いて産院に電話で確認をとり、自分で判断せずに、医師の指示に従いましょう。

不安な時間を長く過ごすよりも、少しでも妊娠に伴う不安材料を取り除いて、マタニティライフを楽しみましょう。

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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