分娩とは、赤ちゃんがお母さんの子宮から出て産道を通り、生まれてくることです。
ここでは、
・分娩の種類
・分娩の所要時間
・分娩の流れ
・分娩にかかる費用
・分娩時のリスク
など、分娩についての知識をいくつかにまとめて紹介します。
分娩や出産後のイメージを具体的に思い描くことは、未知の不安や恐怖心に対する、心の準備を早くから可能にします。
万全の準備をして、理想の出産に臨むことができるよう、分娩時の流れをイメージしておくと安心ですね。
分娩とは
分娩とは、赤ちゃんが母体から完全に娩出されて妊娠を終了することをいいます。
「分娩」は「お産」や「出産」と同じような意味で使われる言葉で、英語では”Birth”と表現されます。
1、赤ちゃんの出てくる場所による分娩の種類
・経腟分娩
産道を通って赤ちゃんが出てくる分娩方法です。経腟分娩の中でも、自然に陣痛をまつ「自然分娩」と、陣痛促進剤などを使って陣痛を誘発する「計画分娩」などがあります。経腟分娩は痛みを伴い、体力が必要となるため、妊娠の経過や持病によっては、医師の判断で帝王切開となることもあります。
・帝王切開
手術でおなかを切開して、子宮から赤ちゃんを直接取り出す方法です。
希望で行われることはほとんどなく、経腟分娩では、母体や赤ちゃんに危険が及ぶと判断された場合に行われます。
妊婦健診の段階で決定し、計画的に行われる予定帝王切開と、妊娠中や分娩時の緊急事態に行われる緊急帝王切開の2種類があります。
2、姿勢の違いによる分娩の種類
・普通分娩
病院や産院などの分娩室で、一般的な分娩台に寝た状態でする出産です。
・座位分娩
特別な分娩台を使用し、座った状態で出産する方法です。自然に力が入りやすく、赤ちゃんが産道を通りやすいスタイルといわれています。
・フリースタイル分娩
ママ自身が痛みや負担が少ないと感じる姿勢で産む方法です。 四つん這いや、立て膝をしてパパの首に掴まるなど、いきみやすい方法を自由に取ることができます。助産院や自宅出産では多く取り入れられます
・水中分娩
小さなプールのような場所でする出産方法です。30度ほどの温水を使用し、陣痛の痛みを和らげる効果があります。水中出産の可能な産院でのみ対応しています。

3、場所の違いによる分娩の種類
・自宅出産
自宅に助産師が来て、家族に囲まれながらリラックスして挑める出産方法です。妊娠の経過に問題がない場合のみ可能で、助産師と提携する医療機関などとの入念な準備が必要となります。
・LDR出産
まだ一般的ではないですが、陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、分娩後の回復(Recovery)の流れを1つの部屋で行う方法です。陣痛室から分娩室への移動などをせずにすむため、ママに負担の少ないスタイルといえるでしょう
4、その他の分娩
・無痛・和痛分娩
欧米では一般的な、陣痛を緩和するための麻酔を使用した分娩方法です。心臓疾患のある方や、痛みに強い恐怖心を持つ方に効果的な方法です。体質や既往症に配慮が必要なため、医師との相談が必要となります。
・誘発分娩
出産予定日を大幅に過ぎた場合などに、医師の判断で行われる方法です。陣痛がなかったり弱かったりして、母体と赤ちゃんに危険があると判断された場合などに取られます。
希望の分娩方法は、病院や産院の分娩予約時に、自宅出産の場合は助産師さんの手配などをする際に選択しましょう。
ただし、病院や助産師によっては対応できないものもあるため、あらかじめ確認することが大切です。
また、母体や赤ちゃんにリスクが伴うと判断された場合も、希望通りの分娩ができるとは限りません。
分娩の流れ
経腟分娩の流れ
経腟分娩は、分娩第一期・第二期・第三期と3つの時期に分けられます。分娩第一期は、子宮口が全開大になるまでの時期をいいます。陣痛が来て段々と間隔が短くなり、痛みも大きくなるにつれて、子宮口が徐々に開いていきます。初めは生理痛のような痛みから始まり、陣痛が強くなると腰やお尻に痛みが出てきます。
陣痛には個人差が大きく、数時間の方もいれば、丸二日間かかった、という方もいます。そうして子宮口が全開大になると、分娩第二期に入ります。赤ちゃんが産道を通るため会陰やお尻への圧迫感が強くなり、お母さんは陣痛が来るタイミングでいきみます。
この分娩第二期についても、30分〜2時間ほどと個人差があります。赤ちゃんが産まれると、いよいよ最後の分娩第三期となります。ここでは後陣痛と呼ばれる、5分間隔ほどの子宮収縮があり、赤ちゃんが生まれてから約10〜30分後に胎盤が娩出され、ようやく出産が終了となります。
帝王切開の流れ
帝王切開には「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」の2種類があるとお話しましたが、ここでは陣痛が始まる前に計画して行う「予定帝王切開」の流れをご説明します。手術予定日が決定すると、手術の2週間前あたりに手術前検査(血液検査、心電図、胸部X線など)を受けます。病院にもよりますが、基本的には手術の前日に入院し、赤ちゃんの状態の確認や、剃毛などの手術の準備を行います。食事は手術の6時間前まで、お水も2時間前までに制限されるため、注意が必要です。
手術当日は点滴や尿道カテーテルの挿入を行い、麻酔をします。麻酔の方法は背中から行う脊椎麻酔が主流で、麻酔が効いているかを十分に確認したのちに手術が始まります。切開は恥骨上部のパンティラインに沿って10㎝ほどの傷となることがほとんどで、手術が始まって数分で赤ちゃんが誕生します。脊椎麻酔の場合はお母さんも意識があるので、赤ちゃんの状態が良ければその場でお顔を見たり抱っこができる病院もありますよ。
分娩の所要時間の目安
分娩の所要時間は、分娩種類・初産婦か経産婦かなど、さまざまな要因によって異なります。
ただし分娩の所要時間はあくまで目安で、人によって・その時の分娩状況によって大きく異なるのが一般的です。
経腟分娩の所要時間
初産婦 |
12~15時間 |
経産婦 |
5~8時間 |
経産婦の方が一般的に産道が広く柔らかくなっており、初産婦より分娩の所要時間は短い傾向にあります。
帝王切開の所要時間
・1~2時間(麻酔から手術までの全体時間)
分娩にかかる費用
分娩にかかる費用は、すべてが自己負担となるわけではありません。健康保険に加入していれば、出産一時金として42万円を受け取ることができます。入院料や分娩料、入院中の食費などを含めたトータルの分娩費用から、42万円を差し引いた部分が自己負担となります。また働いている場合には、勤務先の健康保険から「出産手当金」も支給される場合があるので、確認しておきましょう。
自然分娩の費用相場 |
40~50万円 |
帝王切開の費用相場 |
60~100万円 |
ただし帝王切開は医療処置なので、麻酔・手術費用・入院費などが保険適用となります。そのため自治体や病院によっても異なりますが、出産一時金を差し引いた実際の自己負担額は0~10万円前後が相場となることが多いです。
分娩のリスク
母体のリスク
・出血多量
経腟分娩では500ml以上、帝王切開では1000ml以上で出血多量と言われています。子宮収縮不良による弛緩出血や、頸管裂傷、癒着胎盤、子宮破裂など、分娩時の出血には様々な原因があります。出血多量の場合、必要に応じて輸血を行ったり、子宮そのものを摘出することもあります。
・子宮内感染
陣痛が始まる前に破水することを前期破水といいますが、破水をしてから長時間陣痛が来ずに時間が経過してしまうと、子宮内に細菌が入ってしまい子宮内感染を起こすリスクが高まります。感染を起こすと炎症が起き、母体にも赤ちゃんにも影響がでるため、促進剤を使用して分娩を進めたり緊急帝王切開になることもあります。
・羊水塞栓
羊水が胎盤や子宮の血管から母体の血液中に入り込み、血栓が詰まったり血液が止まらなくなり大出血を起こすのが、この羊水塞栓です。発症する確率は数万人に1人とまれな疾患です。
赤ちゃんのリスク
・胎児機能不全
おなかの赤ちゃんの状態が悪化してしまうことを言い、多くは赤ちゃんの酸素不足によるものです。その原因は、常位胎盤早期剥離やさい帯の圧迫、胎児発育不全、妊娠高血圧症候群など様々なものがあります。状態が悪化する前に急速に出産するために、分娩の状況によって鉗子分娩や吸引分娩、緊急帝王切開がされることがあります。
・分娩停止
分娩停止とは、陣痛があっても分娩が進まない状態が続くことをいいます。原因としては、赤ちゃんの大きさに対して産道が狭い児頭骨盤不均衡や、赤ちゃんの頭の向きが正しい方向に向いていない回旋異常などがあります。陣痛促進を行ったり、お母さんが体勢を変えたりしても進まない場合には、吸引分娩・鉗子分娩や帝王切開が行われることもあります。
まとめ
心待ちにしていた出産は、もうすぐです。頑張りすぎてストレスが溜まらないよう、残りの妊娠期間は自分に合ったリフレッシュ法を見つけてリラックスする時間も大切です。おなかの赤ちゃんの気持ちや、一緒に過ごした時間を考えながら、リラックスして分娩を乗り切りましょう。
チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは
もうすぐ出産。産まれてくる赤ちゃんのために、赤ちゃんがおなかにいる今しか準備できないことがあるのをご存知ですか?
それが「さい帯血保管」です。
さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。このさい帯血は、長期にわたって保管することができ、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めています。
保管したさい帯血が、赤ちゃんやご家族の未来を変えるかもしれません。しかし採取できるのは、出産直後のわずか数分間に限られています。採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。
民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる
さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の白血病などの治療のために寄付することができます。
一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管できます。現在治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所は、国内シェア約99%を誇る国内最大の民間さい帯血バンクです。
<ステムセル研究所が選ばれる理由>
・1999年の設立以来20年以上の保管・運営実績あり
・民間バンクのパイオニアで累計保管者数は7万名以上
・全国各地の産科施設とのネットワークがある
・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設を保有
・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得
・2021年6月東京証券取引所に株式を上場
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さい帯血を保管した人の声
■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)
「さい帯血を保管しようと決めたのは、妊娠8ケ月の時でした。最初の病院では、民間バンクは確証がないということで断られました。でも、そんな考えであきらめていいのかと思い、他院への転院を決意。3軒目の病院で婦長さんが話を聴いてくださり、先生と相談した結果、無事採取保管となりました。
採取できるチャンスはたった1回だけ。将来、医療技術が進歩した時に後悔しないためにも、採取保管できて本当に良かったと思います。今後、さい帯血が多くの人に理解され、官民問わず必要とする人々が有効に利用できるようなシステムになっていくことを望みます。」
■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)
「私の子どもはウィルス性の病気から脳の一部が機能障害となりました。万が一に備えて保管しておいたさい帯血。
治療に効果があると知り、現在は移植治療に向けて準備をしているところです。まさか使うことになるとは思わなかったし、使わない方が良かったのですが、一生に一度きりのさい帯血を保管しておいて良かったと心から思います。」
※ほかの保管者のから声はこちら
さい帯血保管は、赤ちゃんへの「愛」のプレゼント。
心も体も出産に向けた準備をしながら、赤ちゃんに会えるまでのもう少しの期間、ぜひ幸せな気持ちで過ごしてくださいね。
▼さい帯血保管について、もっと詳しく
この記事の監修者

坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー