坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

今年の5月、私の兄の元に女の子が誕生しました。あと1日で妊娠36週になるところで破水が起きてしまい慌ただしい出産入院となってしまいましたが、産後1カ月の間赤ちゃんは入院することとなったものの、今は母子ともにとても元気に過ごしています。 そんな兄夫婦に聞いてみた、赤ちゃんの誕生前後に必要なもののお話です。

 のんびり屋で品質にこだわりたい兄夫婦は、実は赤ちゃんが誕生するまでに揃えていたものはほとんどなかったそうです。あれもいいなこれもいいなと悩んでいるうちに妊娠後期に突入し、あれよあれよという間に赤ちゃんが産まれてきたのです。実際に用意していたものはいうと、布団一式、おくるみ、ガーゼ類、抱っこ紐、肌着、セレモニードレス、入院持ち物リスト、陣痛タクシー、以上。そう、ベビーベッドやベビーバスなんかはまだ揃えていなかったそうです。事前準備をパーフェクトにしておきたい性格の私からしたら冷や汗ものです。それでも本人曰く「なんとかなった」そうですが。

出産後すぐに必要な物は、思ったより息が長い

ではひとつひとつ見ていきましょう。布団一式、おくるみ、ガーゼ類、抱っこ紐、これらは新生児期はもちろん、1歳2歳になっても出番はたくさんあります。ベビー布団は、7、8カ月にもなると寝室では使わなくなるご家庭も多いでしょうが、リビングでお昼寝をするときの布団や遊ぶときのマット代わりにもなります。おくるみはお昼寝のときの肌掛けとして、ベビーカーでお出掛けするときのひざ掛けとしても重宝します。ガーゼ類は離乳食の時期はもちろん、なにかと使い勝手が良いです。抱っこ紐も、だいたいの方がお子さんが2歳頃までは使用されていると思います。歩き始めるまでの間は移動手段として、歩くようになってからはあちこち動き回る子どもの強制的なおんぶ抱っことして私はだいぶお世話になりました。次に肌着、セレモニードレス。肌着は毎日のお着替えに必要なものですが、いわゆる雑誌に載っているような短肌着や長肌着の出番は首がすわる頃までなのかなと思います。それ以降は季節や赤ちゃんの汗っかき具合や動きのダイナミックさなんかに合わせて検討していくのも良いかと思います。それでもやはり赤ちゃんは一日のお着替えが多いですから、洗い替えも含めてそれなりの数を揃えておかないと一日中洗濯機と乾燥機が動きっぱなしなんてことになりかねません。そしてセレモニードレス。正直私は、これは用意したことがありません。でも調べていくととてもかわいいものばかりですよね。退院時にレースのあしらわれた真っ白なセレモニードレスを着た姪っ子を見た時には、そこにいた誰もが笑顔に包まれていました。

産院の方からも念を押されるものは

入院持ち物リスト。これは産院からも口酸っぱく言われることなのでしょうが、陣痛や破水はなんの前触れもなく訪れます。そのときに旦那さんや他のご家族が一緒にいるとは限りません。入院時必要なものやその置き場所は、ご家族皆さんで情報共有しておくことをおすすめします。外出時に破水した場合も、ご家族のどなたかに「入院セットが〇〇に置いてあるから病院まで持ってきて」と連絡をすることで、本人は少しでも早く産院に向かうことができます。しかし兄の場合は「入院持ち物リスト」は用意していたものの「入院セット」までは用意していなかったらしく…まあそれも「なんとかなった」とは言っていますが、決しておすすめはしません。 最後に陣痛タクシーについて。これは本当にありがたいシステムです。事前登録が必要で登録には2週間程度かかる場合もありますが、登録可能圏内にお住まいであればぜひ登録しておいた方が良いと思います。陣痛時の送迎講習を受けたドライバーさんも多く、ほとんどのタクシー会社が24時間体制で受け付けています。また自宅住所や入院先の病院も事前登録しておくため道案内をする必要はありません。破水時にもシートを用意してくれますし、万が一汚れてしまった場合でもクリーニング代を請求しない会社が多いです。私は2人目を妊娠した時に陣痛タクシーの存在を知り、ぜひとも登録したい!と思い数社調べてみました。ところが我が家は対応圏外ということでどこも断られてしまったのです。ほんの10m先が区界で、そちらの区なら登録可能ということ。状況を説明してなおも食い下がったのですが結果は変わらず、目の前の10mがこれほど遠く感じたことはありませんでした。妊娠中の買い物の送迎や産後の検診に利用できる会社もあるとのことなので、ぜひ一度調べてみてください

産んでからじっくり考えたいものもある

以上が赤ちゃんの産まれる前に兄が用意出来ていたものです。しかし赤ちゃんが退院してからはまだまだ必要なものが出てきます。これもまた兄の意見を参考にすると、ベビーベッド、ベビーバス、ベビーソープ、ベビーカー、ミルクセット、おむつセットが必要だったと言っています。ベビーソープおむつセットは毎日使うものなのでその子に合ったものをその都度考えていくことが良いでしょう。ミルクセットは必要としない場合もあるので、ママの入院中に相談をしながらでも間に合うかもしれません。ベビーカーはママパパの生活スタイルに合ったものを選ぶと良いかと思います。最近のものはどれも良く考えられていますからどれを選んでも赤ちゃんは快適に過ごせると思います。あとは駆動性だったり軽さだったりを各ご家庭の事情に合わせて検討すると良いでしょう。以上が5月に子育てを始めた兄夫婦が、赤ちゃんを迎えるにあたって必要だと感じたものです。

必要なモノって、物だけ・・・?

このコラムの執筆にあたり兄にいくつか質問をしていたのですが、その最中に兄はこのような事を言っていました。「赤ちゃんが退院してから必要になるものは十分に用意できていたとは言えないけれど、奥さんが入院中にお風呂セットやおむつ類、ミルクセットなどを自分自身で揃えたことで、父親の自覚がどんどんと芽生えていった。」と。男性は赤ちゃんをおなかに宿すこともできないし、そこから頑張って産むこともできません。赤ちゃんが産まれてくるまでに父親としての自覚を育てる機会は母親より格段に少ないのです。赤ちゃんが産まれてくるための準備をママの好きなようにして良いよ、ではなく、パパも一緒にすることも、赤ちゃんを迎えるために必要なものなのかもしれませんね。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

出産に備える
大切な情報