2021年10月26日
赤ちゃん・子育て

新生児の授乳のコツ

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

新生児の授乳は人生初の人間交流

新生児期の赤ちゃんは1日のほとんどを眠って過ごしていますが、お母さんの乳頭が口に触れるとすぐにくわえ込んで力強く吸う姿が見られます。

新生児にはくちびるに指が触れた時に吸いついてくる吸啜(きゅうてつ)反射という新生児特有の原始反射が備わっているため、生まれてすぐにお母さんの乳頭に自然に吸いつくことができるのです。新生児の授乳は、赤ちゃんの食事時間であるとともに、赤ちゃんにとって人生で最初の人間交流の時間でもあります。授乳はお母さんと赤ちゃんにとって大切なコミュニケーションの時間です。

出産してすぐは母乳の出が悪いことがありますが、赤ちゃんが吸っているうちによく出るようになります。また、最初のうちは赤ちゃんもまだ慣れていないため、うまく飲めないこともありますが、だんだん上手になってきます。
今回は、新生児期の授乳のコツ、授乳の方法・ポイント、乳房のお手入れについてもご紹介していきます。

新生児の授乳のコツは自律授乳

出産直後から何回も赤ちゃんに乳頭を吸わせると、母乳に作用するプロラクチンというホルモンの分泌量を瞬時に増やすリズムを作ることができ、その後の授乳がスムーズになります。お母さんは出産直後で疲れが残る時期ですが、授乳をスムーズに軌道に乗せるために泣いたら吸わせることを繰り返しましょう。

赤ちゃんの要求に合わせて、欲しがるときに母乳を与えることを自律授乳といいます。新生児期の赤ちゃんは1回に飲める量が少ないため、何度も母乳を欲しがり、授乳間隔も一定ではありません。授乳回数は1日7回以上、多い人では20回くらいになる場合もあります。抱き方やくわえさせる角度を調整したりして、乳頭トラブルを予防しましょう。乳頭ケアクリームなどで乳頭を保護することもあります。

母乳が十分に分泌されない新生児期に赤ちゃんの体重が一時的に減ります。新生児は胃の容量が小さいため、何度も授乳をして母乳を与えます。赤ちゃんはおなかの中で、脂肪と水分を蓄えていて、お弁当と水筒を持って生まれてくるといわれています。2週間くらいの間に出生体重に戻るのが一般的です。

授乳の方法・ポイント

①授乳の前におむつを確認し汚れていたら取り替える。赤ちゃんが気持ち良く快適な状態で授乳できるようにしましょう。
②お母さんの手をきれいにしておく。
③おむつ交換をしたら、手を洗い、授乳を始めましょう。乳首を清浄綿で拭くことは、天然の潤いを取り去り、乾燥や傷の原因になってしまいます。赤ちゃんが泣いたら授乳のタイミングです。視線を合わせ、声をかけながら抱っこします。お母さんと赤ちゃんが楽な姿勢をとりましょう。

授乳クッションや座布団などを使って、赤ちゃんを胸の位置で抱きます。お母さんの腕や肩に負担がかからないように赤ちゃんの位置を調整しましょう。お母さんが背筋を伸ばして赤ちゃんを乳房に引き寄せるようにしましょう。

④乳房を支え、赤ちゃんを引き寄せ、下あごが乳房に触れるような角度で、乳首だけでなく乳輪が隠れるくらい深くくわえさせます。乳首だけ吸わせても母乳は出てきません。くわえ方が浅いと乳頭に無理な力が加わって亀裂を起こす原因になるため、注意しましょう。

⑤飲ませにくい方、出が良くない方から、または前回の授乳とは逆の順序で飲ませます。途中で眠そうになったら赤ちゃんの体を軽くゆすったり、一度ゲップをさせたりすると再び飲み始めることがあります。

⑥赤ちゃんがいつまでも乳頭を口から離さないときは、赤ちゃんのくちびるにそっと指を差し入れて乳首から口を外してあげましょう。

⑦飲み終えたら母乳と一緒に飲み込んだ空気を出すため、ゲップをさせます。片方の手で首を支え、もう片方の手でわきをしっかり支えながら腕に赤ちゃんの体をもたせかけます。赤ちゃんの背中がしっかり伸びるような姿勢にして上下にさするか、軽くトントンたたきます。

縦抱きにしてお母さんの肩に赤ちゃんのあごを乗せ、背中をさする方法もあります。吐いてもいいように肩にタオルなどを置きましょう。

⑧乳房の張りが残っているようなら搾っておきましょう。乳頭を挟むように親指と人差し指を乳輪部に当てます。縦、横、斜めなど指の位置を変えながら、まんべんなく圧迫しましょう。搾った母乳は清潔な状態で市販の母乳パックなどに入れて密閉すれば、冷蔵庫で24時間、冷凍庫なら3~6カ月保存できます。

まとめ

授乳はお母さんが乳頭を含ませ、赤ちゃんが吸いついて飲むという母子の共同作業です。
お母さんの乳頭の状態や赤ちゃんの飲み方によって、さまざまな授乳パターンがあります。産院の助産師と相談しながら授乳の工夫をしてみましょう。
お母さんと赤ちゃんにとって良い授乳を続けていくために、不安なことや困ったことがあったら専門家に相談し、適切なアドバイスをもらうことも大切です。出産した産院の母乳外来、近くの母乳相談室、母乳育児をサポートしている団体やサークルなど母乳育児について相談できる場所を探しておきましょう。

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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