2022年2月2日
妊娠中期

妊娠期間の新常識。風邪?コロナ?こんな時どうしたらいい?

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

あれ?なんとなく喉が痛い?もしかして風邪!?
嫌な予感…
少し前まではこんな時、次に悩むのは風邪薬を飲んでいいのか、ということでした。

しかし今の時代、少し熱っぽい時にまず頭をよぎるのが新型コロナ感染症です。
これってまさか・・・いや、風邪かも?お願い、風邪であってくれ・・・
ずいぶん妊娠期間の悩みも様変わりしました。
早くこの戦いが終わって欲しいと思いつつ、インフルエンザとの戦いが毎年あることを思えば、結局ウイルスとの戦いはまだまだ続くことになりそうです。

この、風邪なのか?ちょっとマズイ病気なのか?
という疑問と、その時にまずはどうしたらいいのか、ということについて考えてみたいと思います。

<そもそも風邪の場合なら薬は飲む?飲まない?>

皆さんは、妊娠していなかった時、薬をすぐ飲む派でしたか?ギリギリまで飲まない派?
私はすぐ飲む派です。早く飲む方が悪化せず、市販薬だけでも治ることが多かったからです。私が妊婦だった数年前、風邪気味の時に漢方なら安全と聞いて、葛根湯を飲んだことがありました。しかし調べてみると、漢方だから大丈夫、ということはなく、漢方にも妊娠中に飲まない方がいい薬があります。同じ効果を持つ薬であっても、使っている成分によって妊娠中でも大丈夫なものと、よくないものがあるのです。

また、飲むタイミングも、妊娠週数によっては心配です。特に妊娠4週目〜7週目は、胎児の心臓などが造られる大切な期間なので、よく検討すべき期間と言えます。妊娠前はすぐ薬を飲む派だった方も、お医者さんに相談するなど、納得して服用するようにしましょう。

薬の影響が心配な妊婦さんは、ギリギリまで薬を飲まない頑張り屋さんもおられると思います。しかし、咳が酷くておなかが張ってしまうなど、赤ちゃんへの悪影響があるのに薬を我慢するのも考えものですよね。安全性の高い薬もありますから、我慢するのと薬を飲むのとどちらのリスクが高いか、受診して先生に相談するのも良いでしょう

<風邪とは違うかも?おかしいなと感じる場合>

熱が高かったり、咳が出始めたりすると・・・不安になりますね。
熱がある、喉が痛い、咳が出る、倦怠感がある、といった症状は普通の風邪でも出る症状です。様子を見た方がいいのか、早く何かした方がいいのか。
その判断は、自分の周囲に新型コロナの感染者や濃厚接触者がいるか、味覚異常など明確な変化がない限り、悩まれるかもしれません。

しかし、コロナかどうか考えるよりも、体調不良を感じる場合は赤ちゃんへの負担が心配です。まずはかかりつけ医に電話で問い合わせてみるなど、急に受診せず相談してみるといいでしょう。
また、どうしていいかわからない時、不安な時は、各自治体に妊娠中の方向けの相談窓口を設けているところもあります。ホームページなどを確認してみてください。

妊娠中に、新型コロナウイルスに感染しても、基礎疾患を持たない場合は、同年代の妊娠していない女性と経過は変わらないとされています。しかし、新型コロナウイルスに限らず、呼吸器感染症にかかった場合は妊娠後期において重症化する可能性があります。普段から、感染予防につとめることが大切ですね。

妊娠糖尿病やもともと喘息などの持病がある方は、感染によって重症化しやすいため、より感染予防に取り組む必要があるでしょう。

新型コロナウイルスに感染しても胎児への影響はあまりない、ということが現在は報告されています。まずは早く診断を受けて、適切な治療を受けることが重要です。体調に不安を感じたら、電話やオンラインで相談し、適切な対処を取りましょう。

ワクチン接種についても不安に思われている方が多いと思います。まだ作られたばかりのワクチンですから、安全性のデータが限られています。しかし有益な情報としては、お母さんが免疫を持つことでおなかの赤ちゃんにもその免疫はできるということです。生まれた後の赤ちゃんを守る手段でもあるということですね。

接種する時期も含めて、受けないリスクと受けるリスクについて、主治医に相談し、よく検討されて決める必要がありそうです。

<予防は家族の協力が必須!ルールを決めよう>

赤ちゃんを守る妊婦さんたちは、日々自覚しやすく、おそらく充分な感染対策を行われていますよね。
しかし、妊婦さんで新型コロナウイルスに感染した方の半分以上が家庭内感染です。これは自分だけが気をつけていても埒が明かないということですね。

まず、お仕事されている旦那さんなら感染リスクも高いでしょうから、例えばマスクは不織布のものをつけて行ってもらう、除菌ジェルやスプレーなどを携帯してもらう、食事は1人でとってもらう、など徹底した感染対策に協力してもらいましょう。リモートワークが選べるなら、なるべく選んでいただきたいところですよね。

ご家族に小さなお子さんがいる場合は徹底が難しい場合がありますが、理解できる年齢のお子さんなら、学校での行動やお友達との交流の際も気を付けてもらいましょう。

また、ご自身がお仕事をされている方の場合は、とても不安ですよね。
感染リスクの高い職場の場合は、休職をするという手段もあります。男女雇用機会均等法に基づく母子健康管理措置として、新たに新型コロナウイルス感染症に対する措置が追加されました。またそれに伴う事業主側の助成金制度もありますから、職場にも伝えやすくなっていると思います。
詳しくは厚生労働省のホームページを確認してみてください。相談窓口も設けられています。

<最後に>

私は妊娠中、ずーっと自分の体調が心配でした。
妊娠中も仕事をしていたため、職場に咳をしている人がいると一日中すごく嫌でしたし、近付かないようにもしていました。今みたいにマスク生活ではなかったので、体調が悪い人でもマスクなしで普通に仕事にきていました。通勤も含めて毎日がリスクだらけの日々です。

しかし今は、マスク生活をはじめ、少しくらい熱があっても出勤するのが当たり前という社会から、少しずつ変わってきているように感じます。妊婦さんにとって、新しいリスクは生まれましたが、もう少しで安心も得られるようになるのかなと思っています。

そして、自分でできる予防策として、免疫を上げるという方法があります。
普通の風邪なら、咳止めや鼻水や痰を抑える薬などでつらい症状を和らげつつ、しっかり休養をとって、食事や水分で体力の回復を助けることが治療の基本です。薬を飲んでも飲まなくても、根本的には自分の免疫力で治すことになります。免疫が下がるとウイルスや細菌に感染しやすくなることからも、ご自身の免疫力を高めていくことは予防の1つです。

例えば、笑うことも免疫を高める1つの方法。
いろいろと不安はつきませんが、できることからやっていきましょう!

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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