2022年3月31日
赤ちゃん・子育て

乳児の食事  与えて良い食べ物と悪い食べ物

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

<知っておきたい乳児に与えて良い食べ物と悪い食べ物>

 

生後5~6カ月になると離乳食が始まります。離乳といってもすぐに母乳やミルクをやめることではありません。

それまで母乳やミルクだけで育ってきた乳児が形のある食べ物を嚙みつぶして飲み込む練習が必要です。乳児は咀嚼機能、消化吸収機能、免疫機能など体の様々な機能が未発達で大人と同じ食べ物を摂ることができません

。離乳食を進めるうえで、どんな食べ物をいつ頃から食べさせるかは大切なポイントです。今回は離乳期に乳児に与えて良い食べ物と悪い食べ物を栄養機能別にリストにしてご紹介します。

 

<エネルギー源となる食べ物>

 

炭水化物は体や脳の活動に必要なエネルギー源となります。炭水化物を多く含むいも類やバナナも離乳期の乳児にとっては主食になる食べ物です。

食べ物 初期 中期 後期 完了期 ポイント
ごはん 最も胃腸に負担のかからない食べ物
パン 小麦製品なので6カ月頃から少量ずつ
うどん フォークを使ってつぶすか細かく刻む
小麦粉 小麦アレルギーがなければ色々使えて便利
そうめん 塩分が多いので茹でた後もみ洗いをする
パスタ・マカロニ × マカロニは手づかみ食べにおすすめ
中華麺 × × × 弾力があり消化しにくいので1才以降に
そば × × × × アレルギー予防のため離乳期には与えない
もち × × × × 喉に詰まらせる危険があるので乳児には厳禁
粒コーン × × 薄皮があり消化しにくいため離乳食後期から
クリームコーン 裏ごしをして使う 調味料代わりに便利
コーンフレーク × 砂糖をまぶしていないものを選んで
じゃがいも 芽をしっかりと取ってから調理する
さつまいも 乳児が本能的に好む自然な甘味のある食べ物
里芋 × 口の周りがかぶれやすいので中期から
山芋 × 必ず加熱してから与える
かたくり粉 離乳食のとろみづけに大活躍
バナナ 糖質が多いので主食にもなる 生食OK
はるさめ やわらかく戻し刻んでスープや煮物に加える

 

<たんぱく質源となる食べ物>

 

たんぱく質は体を作るほか、抵抗力を高める働きもあります。乳児にとって必要不可欠な栄養素ですが、摂りすぎると体に負担がかかってしまいます。アレルギーを起こさないためにも順番やルールを守って与えるようにしましょう。

食べ物 初期 中期 後期 完了期 ポイント
豆腐 消化吸収が良い 初めてのたんぱく源食品に
高野豆腐 初期は乾燥のまますりおろして使う
納豆 × 栄養価が高く、消化吸収も良い優れた食べ物
きな粉 誤嚥しないよう必ず湿らせて使う
豆乳 無糖で原料が大豆だけのものを選ぶ
油揚げ・厚揚げ × × 熱湯をかけるか茹でて油抜きをする
おから × 栄養価が高く食物繊維も豊富
枝豆 × ビタミンCも豊富 薄皮を剝いてから調理
卵(全卵) × 卵白はアレルギーを起こしやすいので後期から
卵(卵黄) × 卵を与え始めるときは固ゆで卵黄を少しずつ
半熟卵・温泉卵 × × × しっかり加熱していないので1歳過ぎてから
生卵 × × × × アレルギーと衛生面から乳児には厳禁
白身魚 脂肪が少なく消化吸収が良いので初期から
たら × × アレルギーの恐れがある白身魚 後期から
銀だら × × 脂肪が多い白身魚 とりわけ程度ならOK
赤身魚 × DHAが豊富 脂肪の少ないものを選んで
× 白身魚の仲間 塩鮭ではなく生鮭を
青背魚 × × DHA・EPAが豊富 脂が多いので後期から
さば × × アレルギーが出やすいため様子を見ながら
貝類 × × 細かく刻んで食べやすく
えび・かに × × × アレルギーの心配があるので慎重に
いか・たこ × × 加熱すると固くなる
しらす干し 塩分が多いので必ず塩抜きをしてから使う
はんぺん × × 軟らかいが塩分が多いので要注意
練り製品 × × × 1歳過ぎてから無添加のものを時々少量
魚卵 × × × 生食は厳禁 塩分が強いのでごく少量に
刺身類 × × × × 生食は厳禁 アレルギーと食中毒の原因に
ツナ水煮缶 × 食塩無添加のものがベスト
ツナ油漬缶 × 油分を洗い落としてから使う
鶏ささみ × 低脂肪で消化吸収が良い 肉類のスタートに
鶏胸・もも・挽肉 × 皮を取り除く 挽肉は脂肪分の少ないものを
牛赤身肉・挽肉 × × 鶏肉に慣れたら少しずつ
豚赤身肉・挽肉 × × 牛肉にも慣れ、肉類に慣れたら少しずつ
肉加工品 × × × 添加物の少ないものを 塩分や脂肪分に注意
牛乳 × 飲むのは1才以降に 調理用は中期からOK
無糖ヨーグルト × 消化吸収がとても良い 野菜や果物に和えて
加藤ヨーグルト × 乳児用の市販品がおすすめ
チーズ × 使いやすいが塩分と脂肪分に注意が必要

 

<ビタミン・ミネラル源となる食べ物>

 

ビタミン・ミネラルは他の栄養素の働きを助け、体の機能の維持や調節に欠かせない栄養素です。皮膚や粘膜を強くする、抵抗力をアップするなど大切な働きを担います。

大部分の野菜・果物類が離乳食初期から与えることができます。食べ物本来の味を教えるようにしましょう。初期~中期は繊維の多い食べ物は軟らかく煮て裏ごしをする、すりつぶす、すりおろすなど調理の工夫が必要です。

食べ物 初期 中期 後期 完了期 ポイント
野菜類 なるべく調味はせず野菜本来の味を大切に
果物類 甘くて口当たりが良いので与えすぎに注意
ごぼう・蓮根・筍 × × 繊維が多く硬いので後期から
きのこ類 × 軟らかくなりにくいので中期から
海藻類 × 軟らかく調理して少しずつ
冷凍野菜 生のものと同じように考えてOK
フルーツ缶 低糖のものを選びシロップは洗い流す
ハーブ・薬味類 × × 刺激があるので無理に与えない

 

<調味料・その他の食べ物>

 

乳児の未熟な内臓に負担をかけないよう、前期の離乳食は味付けせずに、それ以降もごく薄味が基本です。食べ物本来のおいしさを実感させてあげましょう。調味料は無添加のものを選びごく少量を薄めて使うようにしましょう。乳幼児用の調味料もあります。刺激のある調味料は使わないようにしましょう。

食べ物 初期 中期 後期 完了期 ポイント
上白糖 甘味は乳児が本能的に好む 使用は最小限に
黒糖・はちみつ × × × ボツリヌス菌が心配 1歳過ぎてから
食塩 × 多くの食べ物に添加されているので最小限に
しょうゆ × 使用はごく少量で風味付け程度に
みそ × みそ汁は大人のものを4倍に薄めて後期から
成分的には使っても問題なし
バター 初めての油類として使用可能 無塩のものを
マーガリン × × × × トランス脂肪酸が多く赤ちゃんにはNG
植物油 × バターに慣れた後で少量
オリーブ油 バターに慣れてから 植物油よりも良い
マヨネーズ × 生卵が含まれるため1才までは加熱して使用
トマトケチャップ × 味が濃いのでごく少量に
トマトピューレ 無添加のものはトマトと同じ感覚で使用OK
だしパック 無添加のものなら手軽に使えて便利

 

<まとめ>

 

いかがでしたか。身近な食べ物で乳児に与えて良い食べ物と悪い食べ物についておわかりいただけたでしょうか。時代と共に様々な食べ物が身の回りにあふれ、判断が難しいこともあると思います。気になる食べ物がある場合には、自己判断はせずに病院や地域の栄養士さんに相談するようにしましょう。

 

 

 

 

<参考文献>

新版きほんの離乳食 あかちゃんの食べていいもの悪いもの 主婦の友生活シリーズ

 

小児栄養学 武藤静子編著

 

ほりえさんちの安産ごはんと離乳食  ほりえさわこ

 

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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