2021年9月12日
臍帯血

臍帯血とはいったい何か?

「臍帯血とは?」と聞かれて、どのようなものか、すぐにわかる方は少ないかもしれません。からだの特定の臓器の名前?はたまた献血や採血で取り出される特定の血の名前のこと?

「臍帯血とは?」と聞かれて、白血病の臍帯血移植を思い浮かべる方は、これから生まれてくるお子さんのことをよく考えておられる医療リテラシーの高い方だと思います。

また、一般的に認知されている白血病以外での臍帯血移植についてなど、臍帯血とはいったい何か、臍帯血とはどのようなものなのか、ここではその臍帯血とは何かについて、詳しく説明していきたいと思います。

 

臍帯血はどこにあるのか?

臍帯は、いわゆるへその緒のことで、お母さんの胎盤から伸び、おなかの赤ちゃんのおへそに繋がっています。この臍帯を通じて、おなかの中の胎児は、母体から栄養や酸素を受け取っていて、臍帯は、まさにおなかの赤ちゃんの命綱です。出生時の臍帯は太さが約2cm、長さは個人差がありますが、50~60cmほどです。この臍帯の中を流れる血液、これが臍帯血です。

母体と胎児を繋ぐ、この臍帯血は、母親の血液ではなく、胎児の血液で、臍帯血は出産時にしか採取することができません。

すなわち、献血や採血から取り出される血では得られず、一生に一度しか採取することのできない特別な血液のことなのです。臍帯血は帝王切開でも採取することが可能で、採取する際、全く痛みは伴いません。出産時にこの臍帯血を採取し、保存しておくことで様々なことに役立つ可能性があります。

 

臍帯血は何に役に立つのか?

では、臍帯血を採取、保存しておくことで、どのような可能性があるのでしょう。

臍帯血を保存する機関は2つあります。1つは第三者の方のために役立てられる公的バンク、もう1つは赤ちゃん本人とその家族のために有料で保管する民間バンクです。

公的バンクは、出産時に善意によって寄付された臍帯血を保管する機関で、全国の臍帯血バンク提携施設で採取することができます。公的バンクで保管された臍帯血は、白血病や再生不良性貧血など、重い血液の病気の治療に用いられ、それまで治療に用いられてきた骨髄移植と比べ、白血球の型が多少異なっても拒絶反応が起こりにくいこと、ドナーの負担が少ないなどメリットが多いと言われています。

さらに、現在、臍帯血は、脳性麻痺や自閉症などの再生医療分野での活用が期待されています。主に海外では、研究が盛んに進められており、小児難聴といった疾患に対する研究も進んでいます。現在、治療法のない様々な病気に対しても、臍帯血の利用が期待されており、臍帯血は多くの可能性を持ち合わせている貴重な血液なのです。

 

臍帯血はなぜ役に立つのか?

臍帯血は、なぜ役に立つのでしょう。

それは、臍帯血の成分に理由があります。臍帯血には心臓、皮膚、神経、血液、骨、筋肉など、あらゆる身体のパーツに変化できる可能性のある幹細胞という細胞が豊富に含まれています。いわゆる身体のもととなる幹細胞は、例えば白血病などの血液疾患では、正常に血液を造れなくなった人の血液を造る力を回復させることができます。

さらに、臍帯血に含まれる幹細胞は、障害が起きている場所の炎症を鎮めることがあることもわかり、その効果は、治療が困難である脳性麻痺や自閉症など、中枢神経系障害で発揮される可能性があり、期待されています。

出産時に一度しか採取できない臍帯血を保管しておくことは、万が一に備える大変意味のあるものなのです。また、自身の臍帯血は拒絶反応を起こしにくいというメリットもあります。

臍帯血とは生命を繋ぐもの

一般的にへその緒と呼ばれている臍帯は、お母さんのおなかの中にいる間、赤ちゃんに酸素や栄養を運び、そして赤ちゃんの老廃物や二酸化炭素などの不要なものを送り返す大事な役割を持っています。その大切な役目は、お産が終わったと同時に終わるのではありません。

臍帯は、お母さんのおなかの中で、生命を繋ぐ大切な役割を持つだけでなく、生まれてからも、その中を流れていた臍帯血を保存しておくことで、万が一の時に、その子の生命を繋ぐものになり得る様々な可能性を秘めた血液なのです。

 

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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