2021年8月31日
赤ちゃん

気をつけて!赤ちゃんのアレルギー

<アレルギーとは>

私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときにそれを追い出そうとする反応が備わっています。異物が入ってきたときに体の中で抗体という物質が作られ、これらの外敵をやっつけようとする免疫という仕組みが働きます。

ところが、この免疫の仕組みが、食べ物や花粉など私たちの体に害を与えることのないものに対しても過剰に反応し、抗体を作ってしまう場合があります。これがアレルギーです。アレルギーが起こるとかゆみ・かぶれや蕁麻疹などの皮膚症状、吐き気や下痢などの消化器症状、目や唇の腫れなどの粘膜症状、咳や息苦しさなどの呼吸器症状が出ます。また、激しいアレルギーの症状が出ると呼吸困難、血圧の低下、意識障害を引き起こすアナフィラキシーショックとなり、最悪の場合、死に至ることもあります。

 

<赤ちゃんに現れやすいアレルギー疾患>

赤ちゃんに現れやすいアレルギー疾患は、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎があげられます。赤ちゃんは体の様々な器官が未発達で抵抗力も弱いため、色々な病気にかかりやすく、アレルギー疾患ではなくてもアレルギーに似た症状が現れることも少なくありません。体が未成熟のために行えない検査もあることから、症状がアレルギーを原因とするものなのか、その他のものが原因なのかを鑑別することが難しい場合があります。症状を注意深く観察することが大切です。

例えば、湿疹の場合は乳児湿疹の可能性があります。また牛乳を飲むと必ず下痢をする場合は、乳糖不耐症(消化不良)の可能性もあります。アレルギーではない咳が続くことや、喘息に似た喘鳴が起こることもしばしばあります。

 

<赤ちゃんのアレルギー疾患①食物アレルギー>

特定の食品を食べたり飲んだりすることによって起きるアレルギー反応です。赤ちゃんに食物アレルギーが多いのは、腸管や消化機能が未発達で、免疫機能も不十分なためです。どんな食品でもアレルゲンになる可能性がありますが、特に多いのは三大アレルゲンといわれている卵・牛乳・小麦です。0才児では発症する割合の約9割、1才児では約7割をこの三大アレルゲンが占めています。

アレルギーの原因となるものを食べた後、かゆみを伴う湿疹や蕁麻疹に似た発疹が見られます。吐き気、嘔吐、下痢などが起きることもあります。その他にも口の周りや口腔内のかゆみ、鼻水、喘息など、現れる症状は様々です。原因となる食品をとってから反応が出るまでの時間もそれぞれ違い、食べた直後に症状が出る場合もあれば、1日以上たってから起きる場合もあります。まれにアナフィラキシーショックを起こすこともあるので注意が必要です。

食物アレルギーの治療の基本は、アレルギーの原因となる食品を食べないようにする除去療法です。ただし、除去食物であっても食べて症状が出ない量までは食べることができます。医師の下で行う食物経口付加試験などの結果から、食べられる量の指示を受け、必要最小限の除去にとどめることが重要です。食物経口負荷試験は、アレルギー症状に対応できる医療機関で経験のある医師が行うものです。自分で試すことは危険なので絶対に行ってはいけません。

離乳食の時期にはアレルギーを起こしやすいものは食べさせないほうがよいと考えられていたことが過去にありました。しかし最近では、離乳食を遅らせても食物アレルギーの予防にはならないことがわかっています。色々な食物を早めに食べたほうが、むしろ食物アレルギーを発症しにくいという報告まであります。食物アレルギーの症状が出ていない赤ちゃんであれば、離乳食は通常どおり開始し、幅広く食べたほうが良いようです。

 

<赤ちゃんのアレルギー疾患②アトピー性皮膚炎>

アレルギー性の皮膚炎で、肌の乾燥とかゆみのある湿疹が慢性的に続きます。アトピー性皮膚炎を発症する赤ちゃんの肌は乾燥しやすく、バリア機能が弱くなっています。健康な肌にはなんでもない刺激にも反応し、炎症やかゆみが起きます。体質の上に、肌の乾燥、汗や汚れによる刺激などが加わり、アトピー性皮膚炎が発症すると考えられています。顔や頭にかゆみを伴う湿疹ができ、次第におなかや背中などへ広がって慢性的に続くことが多いです。皮膚が乾燥し白っぽく粉を吹いたように見える、赤く小さな湿疹ができる、肌がただれてじくじくする、皮膚がかたくゴワゴワしてくるなどの症状がみられることもあります。いずれの場合もかゆみを伴い、かきむしってさらに悪化します。良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。

最近では、湿疹のある肌からアレルゲンが侵入することが、食物アレルギーの要因とも考えられています。食物アレルギーを悪化させないためにも、アトピー性皮膚炎の治療が重要です。治療には保湿薬、非ステロイド外用薬、ステロイド外用薬等の塗り薬が処方されます。かゆみ止めの飲み薬が処方されることもあります。ステロイド外用薬は皮膚の炎症やかゆみを抑えるのに効果的です。医師は副作用も考慮して薬を処方しますので指示通りに使うようにしましょう。副作用を怖がってステロイド外用薬を使わないと、発疹をかきこわして症状を悪化させてしまう恐れがあります。また、皮膚の炎症が長引き、結果的に赤ちゃんに辛い思いをさせることになってしまいます。一定期間ステロイド外用薬を使い、炎症を抑えて症状を改善し、きれいな肌にしてあげる方が良いのです。

アトピー性皮膚炎は、完治までにある程度の時間がかかります。赤ちゃんの様子をよく観察し、症状に合わせてきめ細かくケアすることが大切です。

 

<赤ちゃんのアレルギーのケアで気をつけることは?>

アレルギー性疾患を持つ赤ちゃんには日常生活のケアも大切です。

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんはお風呂上りにローションやクリームを塗るなど、こまめなスキンケアを心がけて肌の乾燥を防ぐことが大切です。

アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎は、主なアレルゲンであるダニやハウスダストを取り除くために掃除や換気はこまめに行いましょう。天気がいい日は布団を日光に当て、取り込んだ布団には念入りに掃除機をかけてダニの死骸やほこりを吸い取りましょう。

また、ペットの毛やふけもアレルゲンになります。赤ちゃんにアレルギーがある場合には部屋をこまめに掃除する、ペットと居住スペース分ける、こまめにトリミングを行う、触れたら手を洗う等のケアが必要です。

 

<気になる症状があったら病院で診察を>

アレルギーが疑われるような症状があれば、自己判断せずに小児科や皮膚科で診察を受けるようにしましょう。できればアレルギーに詳しい医師(アレルギー専門医)に相談しましょう。病院では必要に応じてアレルギーの検査が行われます。治療は必ず医師の指示のもと行うようにしましょう。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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