2022年1月31日
切迫早産

早産で産まれた赤ちゃんの入院生活は? NICUってどんなところ?

<早産とは?>

早産とは、妊娠22~37週未満に出産することをいいます。妊娠37~42週未満の出産を正期産といいます。早産とは正期産よりも早い時期に赤ちゃんが産まれてしまうことをいいます。なお、妊娠22週未満で妊娠が中断することを流産、妊娠42週以降の出産を過期産といいます。一般的に早産は全妊娠の約5%に見られ、約20人に1人の割合で発生します。早産で産まれた赤ちゃんのことを早産児といいます。

早産には赤ちゃんやお母さんの命を守るために人為的に早産を起こす人工早産と自然に早産が起こる自然早産があります。早産のうち、約75%は自然早産です。

<早産で生まれると赤ちゃんはどうなるの?>

早産になると、週数が早ければ早いほどより小さな赤ちゃんが生まれ、臓器や器官が未成熟である可能性が高くなります。これによって、短期的には出生直後の合併症や感染症のリスクが高くなります。

また、体重1000g未満の超低出生体重児や体重が1500g未満の極低出生体重児では、長期的には脳性麻痺・精神発達遅延・てんかんの三大後遺症にかかりやすくなるといわれています。近年、新生児医療の進歩によって新生児の救命率は上がっていますが、その後の神経学的な後遺症が問題となる場合があります。

在胎週数別の生存率についても週数が早ければ早いほど生存率は低くなります。

<早産児が入院するNICUってどんなところ?>

妊娠35週未満の早産児の場合、多くは新生児集中治療室(NICU)というところに入院して治療し成長を促します。一方、35週以降の早産児は、NICUに入らなかったり特別な医療的処置をしたりする必要がない場合もあります。早産で生まれても、すべての赤ちゃんに病気や発達のリスクがあるとは限りません。

NICUは、生まれたばかりの赤ちゃんが医療の助けを必要としているときに治療のために入る集中治療室です。一般のICU以上に細菌感染などを防ぐために厳重に管理されていて、赤ちゃんはひとりずつ保育器の中で酸素や栄養をもらいながら治療を受けます。保育器の中は赤ちゃんの皮膚の温度が36~36.5℃になるように、常に温度や湿度が保たれています。

NICUでは新生児を専門に治療する医師や看護師が、24時間体制で治療や赤ちゃんのお世話をしています。赤ちゃんの呼吸や心拍、体温を管理するための特別な機械や設備が整っています。

<お母さんの入院はどうなるの?>

早産で出産した場合、お母さんの入院は合併症がなければ他の産婦さんと変わりません。しかし、赤ちゃんがNICUに入院している場合、母子同室の入院生活が難しくなります。

早産になってしまったことで気持ちがナーバスになる人もいると思います。大部屋で他の赤ちゃんの泣き声が気になってしまう場合には、スタッフに相談してみましょう。個室を用意してもらえることもあります。赤ちゃんとお母さんが同じ施設に入院している場合、お母さんは入院中でもNICUに面会に行く事ができます。

<赤ちゃんの入院期間や退院の目安は?>

赤ちゃんの入院期間は出生時の体重や週数によって個人差があります。小児保健研究によれば、同じ34週の早産でも入院期間は20日~45日と個人差が大きいことがわかります。退院のおおよその目安は、赤ちゃんの修正週数(予定日を基準とした週数)が37週を過ぎ、体重が2300~2500g以上になってきた頃に医師が赤ちゃんの状態を見て判断をするとされています。合併症がない、呼吸が安定している、直接授乳ができる、お母さんの精神状態が安定しているなどを見て総合的に判断します。

<赤ちゃん退院後の不安解消!母(父)子同室入院>

低出生体重児や早産児の育児の不安を少しでも解消してから退院してもらうために、赤ちゃんの退院前にお母さんやお父さんと一緒に入院してもらう母(父)子同室入院を実施している施設もあります。24時間一緒に過ごすと、赤ちゃんの様子がよくわかります。また、対処法を一つ一つスタッフに教えてもらうことで、赤ちゃんのお世話の不安を解消していくことができます。入院期間は病院によって異なると思いますが、3日くらい行うと退院後の戸惑いが少なくなるようです。

病院に母子同室入院制度がない、上の子がいてお母さんが入院できないなど、退院前に母子同室入院が経験できない場合は、不安なことやわからないことを退院前に医師やスタッフに聞いておきましょう。夫婦で一緒に聞くようにし、パートナーが困った時にはフォロー出来るようにしておきましょう。

自宅での生活が始まってから心配なことが出てきても、多くのNICUでは24時間相談に応じてくれます。相談の窓口を退院前に確認しておくといいでしょう。

<早産児と家族を支える支援事業>

自治体には早産児と家族のための様々な支援事業があります。うまく活用してみましょう。

医療費の支援として、低出生体重児などを対象に指定医療機関への入院費などを助成してくれる未熟児養育医療制度、特定の小児慢性疾患に対し自己負担額が軽減される小児慢性特定疾病医療費助成制度、病院の窓口負担額を自治体が助成してくれる乳幼児医療費助成制度があります。

また、早産児がいる家庭を保健師や助産師が訪問し、健康状態の確認や必要な保健指導を行ったり育児の不安や悩みについて相談に乗ったりしてくれる未熟児訪問指導、出生体重1500g未満児の極低出生体重児に対し入院中から退院後に継続的な支援を行い赤ちゃんの健やかな育ちと家族の育児不安の軽減を図る極低出生体重児支援事業、出産前後に家事や育児をサポートしてくれる育児支援ヘルパーを家庭に派遣してもらえる育児支援ヘルパー派遣事業などもあります。

<まとめ>

思いがけない早産と赤ちゃんの入院でショックを受けるお母さんもいることと思います。赤ちゃんに障害が残らないか、健康に育ってくれるかなど心配事も尽きないと思います。しかし、早産で産まれても、元気に育った赤ちゃんはたくさんいます。あまり心配しすぎず、家族みんなで赤ちゃんの成長を見守ってあげましょう。

赤ちゃんの退院後も家族をサポートしてくれる支援事業はたくさんあります。不安なことや困ったことがあったら抱え込まず相談するようにしましょう。

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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