2021年5月21日
帝王切開

帝王切開後の過ごし方 痛みはいつまで続く?

 

帝王切開は産後の回復に時間がかかる

出産を終えたお母さんの体は、産後6~8週間の産褥期という期間を経て、妊娠前の体に戻っていきます。産後の過ごし方で身体の回復スピードが変わり、この時期に無理をしてしまうと将来的に更年期が早くなったり、体調を崩しやすくなったりすると言われています。特に帝王切開による出産は開腹手術であるため、身体の回復には時間を要します。今回は帝王切開の産後の回復と過ごし方について、気をつけるポイントを中心にお話ししていきたいと思います。

 

帝王切開の産後の回復と傷跡のケア

帝王切開はおなかを切る手術なので、麻酔が切れた後は傷口に痛みが出て、回復まで比較的長い期間を要します。経腟分娩の入院期間が4~6日なのに対して、帝王切開の場合は手術の前日も入れて6~10日と長くなっています。産後の体調によっては術後10日以上入院することもあり、回復には個人差があるようです。

術後2~3日は傷口の痛みも強いため、無理せず安静に過ごしましょう。その後、体調に問題がなければ、早い回復のためにも医師や助産師の指導のもと身体を動かすことは大切です。授乳や沐浴など、赤ちゃんのお世話も積極的に行いましょう。

帝王切開の産後に大切なこととして、傷跡のケアがあります。帝王切開の傷跡は残りやすいと言われています。傷口は術後3日くらいで閉じてきます。体質等により個人差はありますが、肌の色に近い傷痕になるまで3カ月から1年はかかるといわれています。抜糸や抜鈎が終わったらケアを始めていきましょう。ポイントは伸展刺激の抑制(皮膚を伸ばさないようにすること)です。専用テープでケアすることで皮膚が赤く盛り上がる肥厚性瘢痕やケロイドを防ぐことができます。

 

産後の生活で気をつけることは?

帝王切開の産後は、次のようなことに気をつけて穏やかに生活しましょう。

産後1カ月くらいはしゃがんだり、おなかに力を入れたりすると傷口が痛むことがあります。重いものを持つのは控えましょう。産後1カ月くらいまでは帝王切開をしていない方でも無理をしてはいけないと言われています。可能であれば、家事代行、ネットスーパー、宅食サービス等を利用しながら、身体に負担のかからない生活を心がけましょう。産後3週間を過ぎる頃からは、痛みなどが落ち着いていれば、少しずつ軽い家事などは始めても良いでしょう。ただし、無理のない範囲で行いましょう。育児を優先し、その他の家事は少し手を抜くか、家族に協力してもらって負担を減らしましょう。車の運転も身体に負荷がかかるので注意が必要です。

術後、痛み止めの薬を飲んでいる場合、授乳を迷う方もいるかもしれませんが、産院で処方される薬は適切に飲めば赤ちゃんへの影響はほとんどありません。市販薬などを飲む場合は医師に相談してください。

一般的に、産後の夫婦生活は1カ月健診で問題がなければ大丈夫とされていますが、帝王切開の場合は、術後2カ月以上控えるよう医師から指示されることもあります。術後の身体に負担がかからないよう気をつけましょう。

 

産前・産後サポート事業や産後ケア事業を活用しよう

産前・産後サポート事業や産後ケア事業をご存じですか?妊産婦や乳幼児が安心して健康な生活ができるよう、国のガイドラインに沿って各市町村が支援のためのサービスを行っています。地域の保健師、助産師、看護師、保育士、管理栄養士、心理士などの専門的な知識を持った人の他に子育て経験者や地域の人が連携して利用者目線に立った一貫性、整合性のある支援を実現することを目指しています。

産前・産後サポート事業は、子育て世代で身近に相談できる人がいない妊産婦さんを対象として不安や生活上の困りごとなどを軽減するための支援を行っています。一方、産後ケア事業は、心身の不調または育児不安がある方、特に支援が必要と認められる方を対象に専門的知識やケアを要する相談や支援を行います。産後ケア事業ではお母さんの身体的な回復のための支援、授乳の指導及び乳房のケア、お母さんの不安や悩みを傾聴するなどの心理的支援、新生児及び乳児の状況に応じた具体的な育児指導、家族等の身近な支援者との関係調整、地域で育児をしていく上で必要な社会的資源の紹介等など具体的な支援を行っています。

各事業によってサービスの種類も様々です。産前・産後サポート事業では、アウトリーチ型(利用者宅への訪問、電話、メールによる個別の相談などを行うタイプ)と集団型(支援センターなどに集まって集団で相談や交流を行うタイプ)があります。

産後ケア事業には、ショートステイ型(病院や病床施設のある診療所などに宿泊しながらケアを受けるタイプ)、デイサービス型(病院や診療所、助産所、保健センターなどで個別または集団でケアを受けるタイプ)、アウトリーチ型(自宅でケアを受けるタイプ)の3種類があります。自分に合ったサービスを探し、うまく活用してみましょう。

 

次回の妊娠については医師と相談しましょう

帝王切開後の妊娠は、一般的には6カ月空ければ問題ないとされています。しかし、妊娠、出産するには、体の回復が万全で周囲の十分なフォローや協力があり、心身共に余裕を持って生活できる状態であることが大切です。次回の妊娠までの期間は1年くらい空けた方が良いかもしれません。

帝王切開で出産した経験がある場合、子宮破裂を起こすリスクがあります。手術で赤ちゃんを取り出すために切開して縫い合わせた子宮の傷が次回の妊娠で裂ける可能性があるからです。また子宮の傷は治っていたとしても切開した箇所は周りの子宮壁に比べて薄く脆弱になっているため、子宮破裂が起こる可能性があります。子宮破裂で最も多くみられるのが、帝王切開による出産を経験した方が次の出産で経腟分娩を行ったケースです。次回の妊娠で経腟分娩を検討している方は、よく医師と相談するようにしましょう。

まとめ

帝王切開はおなかを切開する手術であるため、身体の負担は普通分娩より大きい状態にあります。産後は育児や家事を完璧に行おうとせずに、赤ちゃんと自分の身体のことを優先的に考えるようにしましょう。家族に協力してもらえると良いのですが、難しい場合には各市町村が行っている産前・産後サポート事業や産後ケア事業のサービスを活用し、一人で抱え込まないようにしましょう。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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