どんどん赤ちゃんが成長して、いよいよおなかがパンパンになってくる妊娠後期。
そんな妊娠後期は、いままで体験したことのない身体の異変や症状がでてくる時期でもあります。
〜息苦しい妊婦〜
秋の風が吹き涼しくなった10月。
6年前の今頃、私も妊娠後期に突入しました。気候よし! 体調よし!のはずなのに、ふぅー、ふぅー、なんだか吸っても吸っても息苦しい。残りのマタニティライフを楽しむぞと意気込んだ矢先やってきたのは意気込みではなく、息苦しさでした。
今まで順調だったのに。健康体で妊娠したはずなのに。初めて味わう息苦しさに不安と息苦しさを抱えながら、次の診察までの間、私はこの息苦しさの情報を得ようと雑誌を読みあさり、ネットを検索しまくり同じ症状の仲間を探すのに必死でした。
そんな私の悩み仲間はあっさりと見つかりました。
座っていて苦しい…
横になっても苦しい…
空気が上手く吸えず苦しい…
食後は特に苦しい…
とにかく苦しい…
「みんな一緒じゃん!!」
そこには胸が詰まっているような感じや、しっかりと息が吸い込めないような感覚、胸の圧迫感など妊娠していない時に経験がない症状に、戸惑い不安を感じるお仲間妊婦さんたちがたくさんいました。
私は合わせて健診日に先生に相談し、ほかの異常や、赤ちゃんの状態に問題がないことを診ていただいた上でこの息苦しさは妊娠後期によく見られる症状だと言われました。
よくある症状なんだ!とひとまず安心した私は次に少しでもこの息苦しさを軽減する方法について模索し始めました。
私の息苦しさ対策の前に、妊娠後期の多くの妊婦さんが体験するこの息苦しさとは、何なのか。
妊娠中期まではそれほど息苦しさを感じなかった方でも妊娠後期に入ると息苦しさや圧迫感を感じる妊婦さんは増え、その度合いも強まると言われているそうです。感じ方の度合いは妊婦さんひとりひとり異なります。窒息しそうな感じ、うまく呼吸ができない、酸素が足りない、浅い呼吸しかできない、立っていても座っていても苦しい、など息苦しさの症状は色々あるようです。
まずはその息苦しい原因について、当時の私が調べた内容をお話しします。
〜原因を探る妊婦〜
■息苦しい主な原因
①子宮の圧迫による影響
妊娠後期になるとおなかが急激に大きくなります。子宮が急激に大きくなると周りにある胃や肺なども圧迫されます。合わせて横隔膜が押し上げられ、肺の体積が小さくなると自然と浅い呼吸になり呼吸数が増え、息苦しさやめまいに襲われます。また子宮が大きくなることで周りの血管を圧迫してしまうことも息苦しさの原因の1つです。下半身から心臓に戻る血管を圧迫してしまうと体全体の血液の流れが滞ってしまい、体全体の血液が上手に巡らず、めまいや呼吸の苦しさを感じてしまうのです。
②血液量の変化
妊娠後期の妊婦さんは成長した赤ちゃんに多くの栄養や酸素を届けるために貧血になってしまうことが多いそうです。貧血になった場合、当然体は血液を作ろうと働きます。しかし妊娠後期の妊婦さんの血液は増やしても、増やしても中の酸素の量が足りていない状態です。血液の中の酸素が薄くなるとますます赤血球が少なくなり酸素が体に行き渡りにくくなってしまいます。赤ちゃんが大きく成長した妊娠後期から酸欠で息苦しいと感じてしまうのはこのためです。
③陣痛や分娩に対する不安や悩みによる精神的プレッシャー
妊娠中は精神的にも不安定になりやすく出産の不安、親になる不安、経済面での不安など様々なストレス・不安を抱えてしまうものです。
〜息苦しさに勝つ妊婦〜
■息苦しさ対策
改善策①楽な姿勢で深呼吸
苦しいときはクッションなどを使い自分の楽な姿勢でしばらく休みましょう。
静かにゆっくり深呼吸を!
左を下にして横になるという対処法がお勧めのようです。左側を下にして寝れば「大動脈を押しつぶすことで血流を滞らせてしまう」という危険性がなく 呼吸が楽になると言われています。左側を下にして寝る対処法のほか、片膝を曲げてゆったりと横になるシムス体位もオススメです。シムス体位は、妊婦さんが最も楽に寝られる体位と言われています 。
改善策②食事に気をつける
1回に食べる量を減らし、食事の回数も増やしよく噛んで食べることを心がけてみてください。また血液が足りていない可能性もあるので食事になるべく鉄分の多いものを摂り入れ、水分をこまめに摂取するのも血液のドロドロの解消になるようです 。
改善策③締め付けNG
体を締め付ける衣類は苦しさを増悪させてしまう可能性があります。
衣類もゆるめで、ラクラクに過ごしましょう。またマスク選びも慎重になってみては。息のしやすいマスクや妊娠により敏感肌になった方には素材や肌触りが良いマスク、メガネの方にはメガネが曇らないマスク、など様々なマスクがありますので少しでも快適に過ごせるマスクに出会ってみてはいかがでしょうか 。
妊娠後期の妊婦さんの息苦しさは症状も原因も様々です。少しでも楽に過ごせるように工夫して、それぞれの原因に合わせた適切な対処法を主治医や助産師さんからアドバイスをもらってはいかがでしょうか。主治医や助産師さんとコミュニケーションをとりながら穏やかなマタニティライフを過ごしてくださいね 。


この記事の監修者

坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー