計画無痛分娩とは?デメリットや手術の流れ、費用の目安も紹介

「無痛分娩は知っているが、計画無痛分娩とはどういった出産方法なのだろうか」と思っていませんか。
計画無痛分娩とは、あらかじめ出産日を決めて出産する方法です。

陣痛の痛みを麻酔で和らげるだけでなく、あらかじめ出産日がわかっているため準備がしやすいなど、さまざまなメリットがあります。

しかし、デメリットが存在することも事実です。

この記事では主に、以下のような内容を解説していきます。


・ 計画無痛分娩のメリット・デメリット
・ 費用の目安
・ 計画無痛分娩の流れ


この記事を読むと計画無痛分娩について詳しく理解でき、自身が望む出産方法を選択する参考になりますよ。

計画無痛分娩とは?【予定日を決めて分娩する方法】

「計画無痛分娩」とは、あらかじめ分娩する日(予定日)を決めて出産する方法をさします。予定日に陣痛促進剤を使って陣痛を起こし、人工的にお産を始める無痛分娩です。

同じ無痛分娩でも計画無痛分娩は「誘発陣痛」通常の無痛分娩「自然陣痛」といった点に違いがあります。

欧米ではすでに、無痛分娩が主流となっている国もあります。

しかし日本では、あまり普及していないのが現状です。

出産に占める無痛分娩の割合は2008年の2.6%(厚生労働省研究班)から2020年は8.6%(厚生労働省の実態調査)と3倍以上に増加しており、無痛分娩が少しずつ認知されてきています。

計画無痛分娩のメリット

メリットは大きく分けて下記の2点です。

・ 出産予定日を決められる
・ 手術中の麻酔も計画的に行える


すでに長男や長女がいて、預け先を決めなければならない場合や、里帰り出産などで旦那さんの立会を希望している場合は、予定日が決まっていると安心ですよね。

また、麻酔投与のタイミングを逃さないことも計画無痛分娩のメリットです。

自然に陣痛が起きてから対応する通常の無痛分娩では、お産が進みすぎて麻酔が間に合わなかったり、麻酔前にいきみすぎて背中に針が入らず、麻酔が使えなかったりする場合があります。

計画無痛分娩では上記のような「麻酔投与のタイミングを逃す」という事態を避けられます。

さらに、計画無痛分娩の場合、陣痛を起こす前に麻酔の準備が整えてあるため、妊婦さんの希望にあった出産ができるのです。

なるべく痛みを経験したくない人は、早い段階で麻酔を投与できます。

逆に自然分娩に近づけたい人は、最後の分娩時のみ麻酔を使うことも可能です。

計画無痛分娩のデメリット

 

計画無痛分娩にはメリットはもちろん、デメリットも存在します。
デメリットも知って、出産法方法を選択する参考にしてくださいね。

・分娩が遅れる可能性
・分娩中の痛みが続く可能性があること
・発熱・嘔吐など・意識混濁など、麻酔によるリスク など


通常の無痛分娩は陣痛が始まってからスタートするのに対し、計画無痛分娩は陣痛が全くない状態でスタートするので、陣痛促進剤を使っても陣痛が起こらない、陣痛が起こったが治ってしまった、なかなか子宮口が開かない等の理由から分娩が遅れる可能性があります。

分娩が遅れることで弱い陣痛が長く続き、「無痛分娩のはずなのに痛くてつらかった」ということになる可能性もあります。

硬膜外麻酔の副作用として発熱や嘔吐が起こることがあります。また非常に稀ですが、意識混濁など重篤な合併症が起こるリスクもあります。

計画無痛分娩にかかる費用の目安

計画無痛分娩の費用として、通常の分娩に以下のような費用がプラスされます。


・ 無痛分娩管理料
・ 分娩前日の入院費用
・ 陣痛促進剤の費用
・ 麻酔の費用


計画無痛分娩にかかる費用は、出産する施設によって異なります。通常の分娩にプラスする金額も5~20万円と、施設によって差があるようです。

計画無痛分娩の流れを7ステップで紹介

計画無痛分娩は、下記7ステップで行われます。


1. 分娩予定日の決定
2. 入院
3. 麻酔の準備
4. 陣痛促進剤の投与
5. タイミングを見計らい麻酔を投与
6. 出産
7. 産後の経過観察


順番に内容を紹介していきます。

 

ステップ1:分娩予定日の決定

計画無痛分娩の予定は「妊娠37週以降」の正期産の時期に入ってから医師が決めます。

妊婦さん本人の希望を聞き、母体と胎児の状態を総合的に判断して、出産の準備が整う時期を予測するのです。
緊急性がある場合は、妊婦さんの希望に関わらず、安全性を考慮した予定日に実施されます。

ステップ2:入院

計画無痛分娩の場合、予定している日の「前日」または「当日の朝」から入院します。

心電図、血圧計、胎児心拍数陣痛計装着などの準備も。

また、必要に応じてバルーンと呼ばれる水風船のような器具を子宮口へ挿入し、子宮口を広げます。

ステップ3:麻酔の準備

無痛分娩では多くの場合「硬膜外麻酔」が用いられます。

硬膜外麻酔とは、背骨にある硬膜外腔という場所に直径1mm程の細くて柔らかい管を入れ、薬を投与する麻酔方法です。

硬膜外の管を入れる処置にかかる時間が「5~10分」ほど、硬膜外の管から薬を注入し鎮痛効果が現れるまでにかかる時間が「15~30分」程度です。

背中に針を刺して薬を注射で投与する「脊椎麻酔」を併用する場合も。

脊髄麻酔は、まず脊髄くも膜下腔に薬を投与し、その直後に硬膜外腔に管を入れます。

硬膜外麻酔のみで行う鎮痛法に比べて効果が早く現れ、数分後にはある程度の鎮痛効果が感じられるでしょう。

ステップ4:陣痛促進剤の投与

計画無痛分娩の場合、人工的に子宮収縮を起こして陣痛を促進させるために陣痛促進剤を点滴で投与します。

投与後は、分娩が進むのを待ちます。

出産までの時間は自然分娩と変わらず、初産婦で「12~16時間」経産婦でも「5~8時間」程度です。

陣痛促進剤の効きめが弱ければ投与量を増やしたり、陣痛促進剤の種類を変えたりして対処します。

どうしても促進剤の効きめがない場合には一度退院し、後日あらためて分娩に臨むというケースもあります。

ステップ5:タイミングを見計らい麻酔を投与

陣痛が強まって、子宮口がだいたい4~5cm近くなってきたら、硬膜外の管に麻酔薬を注入して痛みを和らげます。

痛みが苦手な人は、「痛くなってきたな」と感じたら薬を追加してもらうとよいでしょう。

しかし胎児が大きい場合や、胎児の頭の向きがずれているときは、麻酔薬を追加できないケースもあります。

麻酔薬が胎児を押し出す力を弱めてしまう可能性があるためです。

また麻酔の効き目には個人差があり、無痛分娩でも痛みを感じるケースがあることは覚えておきましょう。

ステップ6:出産

麻酔が効いていると痛みの感覚がないため、いきむタイミングが難しいといわれています。

そのため、おなかの張りと助産師さんの合図を頼りにいきむことになるでしょう。

また無痛分娩の場合は、普通分娩よりも吸引分娩になるケースが多いです。 吸引分娩とは、赤ちゃんの頭にシリコンもしくは金属製の吸引カップをつけ、吸引圧をかけて引っ張り出す分娩方法です。

痛みはなくても、赤ちゃんが出てきた瞬間がわかったという人もいます。

赤ちゃんが誕生した時の感動は自然分娩と変わりません。

すぐに赤ちゃんを抱くこともできます。

分娩から縫合まですべて麻酔が効いた状態で行うため、会陰切開の痛みもありません。

ステップ7:産後の経過観察

出産後2時間程で麻酔が切れます。

無痛分娩は分娩時の精神的な疲労感が少ない分、産後の回復が早いといわれています。

【体験談】計画無痛分娩で出産した妊婦さんの話

 

私は、長女を自然分娩・次女を計画無痛分娩で出産しました。

 

計画無痛分娩を選んだ理由

次女の時に計画無痛分娩をしようと決めたのは

・長女の自然分娩時に時間がかかり(約2日)、体力低下が著しく、産後が大変だった
・まだ幼い長女の世話もあるため、次女の産後は体力を温存したかった
・出産時の長女の預け先確保のため、計画的に分娩できることに魅力を感じた

ことが一番の理由です。

もちろん、もうあの陣痛に2日も耐えたくない…という気持ちも強くありました。

家族に計画無痛分娩を反対されなかった?

実家の母からは最初「痛みを伴わないお産なんて!」「麻酔はリスクがある」と反対されました。

ただ最終的には、「長女や、産後お世話になる家族にも、極力迷惑をかけたくない」「お産は私がすること」をしっかり話して、納得してもらいました。

とくに親世代には、まだまだ無痛分娩への抵抗があるんだなぁと感じました。

計画無痛分娩は予定通り進んだ?

予定日はかなり早い段階(妊娠6~7ヶ月頃)に決まりましたが、いざ予定日前の検診では「まだ子宮口が固い」と言われ、結局2週間延期になりました。

「計画」とはいえど、やはり母体・赤ちゃんの体の準備によって、直前に予定日が変わることはあるようです。

計画無痛分娩の麻酔はどうだった?痛みや効果は?

硬膜外麻酔の注射を打つ時はまったく痛みはなく、背中を丸めていたらあっという間に終わりました。

私は予定日前日の深夜から微弱陣痛が始まっており、入院・麻酔の頃にはだいぶ陣痛の痛みが強くなっていたのですが、麻酔をしてもらってから5分後くらいには、痛みが嘘のようになくなっていました。

下半身に麻酔が効くので、足が動かない感覚が不思議でした。

お腹の張りがどんどん強くなる感覚(筋肉がキューッと強く収縮している感じ)はわかるのですが、痛みはまったく感じません。

お産が進んで子宮口が開くまでの間、家族と談笑したり、友人にLINEを送ったり、リラックスして過ごしていました。

計画無痛分娩の出産はどんな感じ?

子宮口が開いてから、助産師さんや医師が大勢集まってきて、いよいよ出産になりました。

そこからは自然分娩と一緒で、いきんだり深呼吸したりを、助産師さんの指導のもとおこないました。

お腹が張る感覚はわかっていたので、それにあわせていきむ感じでした。

同じ計画無痛分娩をした友人が何人かいるのですが、麻酔の効き具合によっては、お腹の張りやいきむタイミングがわかりづらかった、ということもあるようです。

結果、次女は入院してから3時間のスピード安産でした。

経産婦だったことや、すでに微弱陣痛が始まっていたこともあったのでしょうが、麻酔のおかげでリラックスできたことも安産につながったのではと思っています。

また会陰切開があったのですが、その処置も麻酔が効いた状態でできたので、産後処置の痛みもなかったのが嬉しかったです。

計画無痛分娩の産後はどんな感じ?麻酔が切れた後の痛みは?

私の場合、麻酔が切れた後の頭痛・吐き気のような副作用はありませんでした。

麻酔が切れた後は、徐々に会陰切開の傷や、後陣痛の痛みが出てきました。

ただ長丁場だった長女の出産時とは比べ物にならないぐらい、体が元気でした。

出産後に精魂尽き果てるのではなく、「感動の涙」を流す余裕があったことは、良い思い出になりました。

もし娘たちが将来出産をすることになったら、選択肢の一つとして、無痛分娩も薦めてあげたいなと思いました。

 

<まとめ>

計画無痛分娩とは、あらかじめ出産日を決めて無痛分娩を行う方法です。

陣痛促進剤を使って陣痛を誘発するという点が通常の無痛分娩と異なります。

出産日がわかっているため準備がしやすいというメリットがありますが、陣痛がない状態から始めるため、分娩が遅れる可能性があり、陣痛促進剤の影響で軽い陣痛が続いてしまうデメリットがあります。また、麻酔によるリスクもあります。


計画無痛分娩にかかる費用の相場は通常の分娩にプラス3~20万円で、出産する施設により異なります。

計画無痛分娩の流れは、分娩予定日の決定→入院→麻酔の準備→陣痛促進剤の投与→麻酔の投与→出産→産後の経過観察となります。

 

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▼さい帯血保管について、もっと詳しく

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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