妊娠後期におきる吐き気や嘔吐の原因とは?5つの対策や体験談も紹介

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠後期に入り嘔吐するようになった」
「気持ち悪くつらい状態が続いているが、原因は何?」

などと悩んでいませんか。

妊娠後期におきる吐き気や嘔吐は、ホルモンの分泌がおもな原因です。
気持ち悪さをおさめ、楽に過ごしたいと思いますよね。

妊娠後期の吐き気や嘔吐には、対策があります。

この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・妊娠後期におきる吐き気の3つの原因
・吐き気・嘔吐への5つの対策
・私が経験した妊娠後期の嘔吐

この記事を読むと、妊娠後期の吐き気・嘔吐への対策が分かり、楽に妊娠後期を過ごせるようになりますよ。

妊娠後期に吐き気を感じる3つの原因

妊娠後期に吐き気を感じる原因として、おもに以下の3つがあげられます。

・子宮による胃の圧迫
・ホルモンバランスの変化
・妊娠高血圧症候群などの合併症

順番に見ていきましょう。

原因1:子宮による胃の圧迫

妊娠後期になると、胎児の成長に伴ってお腹が大きくなり、子宮が胃を押し上げます。

圧迫されると、胃の容量が小さくなり、少しの食事でも胃が満杯になります。

圧迫された胃は正常な消化機能を維持しにくくなり、食べ物が胃に留まる時間が長くなり、結果、

・吐き気・嘔吐
・胃部不快感や膨満感
・食欲不振

といった症状が現れやすくなるのです。

この状態は「後期つわり」と呼ばれ、妊娠28〜39週の妊娠後期に多く見られる現象です(※1)。

一般的に妊娠後期になって分娩が近づくと、胎児が下に降りてくるため、腹部の圧迫感が軽減され、上記の症状は自然に改善していくでしょう。

後期つわりについての対策をくわしく知りたい人は、下記を参考にしてくださいね。

妊娠後期のつわりをやわらげる6つの対策|おすすめの食事も紹介

(※1)出典:一般財団法人 女性労働協会内(厚生労働省委託事業)「働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」妊娠中の身体の変化と対応ポイント

原因2:ホルモンバランスの変化

妊娠後期になると出産に向けた準備が体の中で起こり始めます。

特にこの時期は、プロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンの分泌が多くなります。

妊娠後期にはプロゲステロンが胎盤から分泌されるようになります。

このホルモンには、子宮の筋肉を緩めることで胎児の成長に合わせて子宮を大きく広げる働きがありますが、同時に胃腸など消化器系の筋肉も緩めてしまいます。

その影響で胃腸の働きは弱くなり、胃酸の逆流が起こりやすくなることで吐き気や嘔吐をしやすくなります。

もちろんそれ以外にも出産に対する不安によるストレスや、大きくなった子宮による圧迫感、激しくなる胎動によって吐き気が起こることもあります。

原因3:妊娠高血圧症候群などの合併症

妊娠後期の吐き気は、単なる生理的な変化だけでなく、病気が原因で起こる場合も。

もっとも注意が必要なのは、妊娠高血圧症候群に伴う「HELLP症候群」という危険な状態です。

愛媛大学が公表している研究論文によると、HELLP症候群は、

・溶血
・肝酵素の上昇
・血小板減少

を特徴とする病気で「約50%」の人に吐き気や嘔吐の症状が見られると報告されています(※2)。

また約90%の人に、右上腹部痛または心窩部痛(みぞおち)が現れるともいわれているのです(※2)。

状態が悪化すると、母体および胎児の生命に関わる危険な状況となるため、帝王切開などで分娩する場合も。

そのほかにも、逆流性食道炎や胃炎といった消化管の炎症疾患が原因となることもあり、症状が改善しない場合は専門医による診断が必要です。

(※2)出典:医療法人社団冬城産婦人科医院「妊娠後期の上腹部症状について」

妊娠後期におきる吐き気や嘔吐への対策【5選】

お腹の大きくなる妊娠後期には基本的に体をゆっくりと休めることが大切です。

しかしそうしても実際に治まらない吐き気や嘔吐に悩む方への対策を5つご紹介します。

対策1:食事を複数回に分ける

一度に多くの食べ物が胃に入るとそれだけ多くの胃酸を分泌する必要があります。

ホルモンの影響で胃酸の逆流を防ぐための「弁」の筋肉も緩んでいているため、多くの胃酸が分泌されると食道に逆流してしまいます。

そのため、一回の食事の量を少なくしてこまめに食べるという方法で胃酸の量を抑えることができます。

対策2:消化のよい食事をとる

ホルモンの影響でいつもと違う状態になっている胃腸なので、食事の内容も胃腸にやさしい消化の良いものを多く取り入れましょう。

また、下記のような食べ物は避けましょう。

避けたほうがよいもの

詳細

油分

・ナッツ類
・バター
・ばら肉
・ベーコンなどの加工肉 など

香辛料

・カレー粉
・唐辛子 など

繊維の多いもの

・海藻類
・キノコ
・ゴボウ など

対策3:さっぱりした食事をとる

ヨーグルト、豆腐、バナナ、リンゴ、ささみなどの脂身の少ない肉など消化に良くさっぱりした食事にしていくことを心がけます。

さっぱりというと柑橘類など少し酸味があった方が食べやすい方もいると思いますが、胃酸の分泌が増えかえって胃のムカつきがおきる場合がありますので注意が必要です。

対策4:食後すぐ横にならない

胃腸の働きが落ちていることに加え、胃酸の逆流を抑える弁も弱くなっています。

そのため、食後にすぐ横になると胃酸の逆流が起こり嘔吐につながることがあるので避けましょう。

対策5:横になる際は左側を下にする

横になる時の、体の向きで吐き気が楽になることがあります。

大きくなった胎児が入っている子宮が、母体の肝臓や、子宮の後ろにある大きな血管をつぶしてしまうことを防ぐために、左側を下に向けて体を休めましょう。

妊娠後期の吐き気・嘔吐で胎児に悪影響はないのか?

妊娠後期の吐き気、嘔吐は基本的に心配する必要はありません。

ホルモンバランスの影響で胃腸の働きが弱まったり子宮に胃が圧迫されたりすることなどが原因であり、胎児に影響はありません。

ただし、吐き気や嘔吐に伴い以下のような症状がある場合は、早急に医療機関に相談してください。

・発熱、頭痛、下痢、腹痛を伴う:食中毒や胃腸炎の疑い
・重度のむくみ、体重増加、高血圧、頭痛を伴う:妊娠高血圧症候群の疑い

【私も経験した】妊娠後期における吐き気・嘔吐の体験談

妊娠後期の健診では体に問題がないのに「私だけ吐き気を感じているのでは」と悩んでいる人もいるかと思いますが、安心してください。

実際に、妊娠後期に吐き気・嘔吐を経験した人の体験談を見ていきましょう。

「私も、よく吐き気を感じていました。

私の場合は、妊娠初期の頃は重いつわりで、入院しなくてはならないくらいでした。

妊娠後期になると、初期のつわりのような状態はほとんどなくなったのですが、吐き気・胸の気持ち悪さのようなものは、頻繁に感じていました。

緑茶を飲んだり、海苔を食べたりすると気持ち悪くなったり、疲れすぎると吐き気を感じたり。

胃を圧迫される、ムカムカする、表現の仕方が難しいのですが『とにかく気持ち悪い』そのような状態が妊娠後期にも続いたのです。

逆流性食道炎や妊娠高血圧症候群の症状でも吐き気があるのですが、健診で異常を指摘されることはありませんでした。

出産後もこのような吐き気が続くのではと心配になるくらいでしたが、産後はまったく感じませんでした。

それから、夫が調べて教えてくれたある一文に妙に納得した、勇気づけられたことがありましたので、みなさんにもお伝えしたいです。

それは『吐き気は、順調に赤ちゃんがおなかの中で大きくなっている、誕生の準備をしているサイン』だということ。

自分の身体の中で赤ちゃんを育んでいるという特別な身体の変化、負担が起きていることから生じる身体の状態だということです。

辛い吐き気も、順調な赤ちゃんの成長の証と考えれば、気持ちが楽になりました。

出産が終わるまでもう少し吐き気と向き合い、赤ちゃんが順調に育っている証だと考え、おおらかな気持ちで、乗り越えてくださいね。」

妊娠後期の吐き気や嘔吐に関するQ&A

ここでは妊娠後期の吐き気や嘔吐について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

いつまで吐き気はつづくの?
坂田先生
出産が近づくと自然におさまることが多いですが、出産直前まで続く方もいます。

妊娠後期の吐き気は、胃が子宮に押し上げられて圧迫されることや、ホルモンバランスの変化・自律神経の影響などが主な原因です。

食事は少量ずつ・回数を分けて取り、食後すぐに横にならないなど、胃に優しい生活習慣を意識してみましょう。

吐き気と一緒に、頭痛やめまいも感じるのは異常?
坂田先生
妊娠後期は精神的なストレスや緊張などで頭痛が起きることもありますが、頭痛やめまい・視覚障害が認められる際は、妊娠高血圧症候群などの疾患の可能性があります。

心配な際は迷わず医師に相談してください。

吐き気止めを飲んでも大丈夫?
坂田先生
自己判断でお薬を内服することは避け、かかりつけの病院で必ず相談しましょう。

まとめ

妊娠後期におこる吐き気や嘔吐は、大きくなる子宮による圧迫や出産のためのホルモンの影響がおもな原因です。

稀に、

・胃腸炎
・食中毒
・妊娠高血圧症候群

という場合もあるため、症状がひどい場合には医療機関を受診しましょう。

ムカムカと続く妊娠後期の気持ち悪さへの対応としては、胃腸にやさしい食べ物をこまめに食べたり体勢に気を使うことが有効です。

吐き気や嘔吐といった症状はつらいものですが、出産まではあと少しです。

うまく乗り越えて、元気な赤ちゃんに会える日を楽しみに過ごしましょう。

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医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

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この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー