赤ちゃんができた喜びも束の間、妊娠初期の頭痛がつらい、いつまで続くのだろう…と悩んでいませんか。

妊娠初期の頭痛が落ち着くタイミングには個人差があり「妊娠19週頃」がひとつの目安です。

妊娠19週まで我慢できない、と思うかもしれませんが対処法はあります。

この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・ 妊娠初期の頭痛はいつまで続く？
・ 頭痛の原因
・ 頭痛の対処法

この記事を読むと、妊娠初期に起きる頭痛への対処法がわかり、いままでよりも楽に過ごせるようになりますよ。

妊娠中に起きる頭痛の5つの原因

妊娠中に起きる頭痛の原因として、おもに以下の5つがあげられます。

・ホルモンバランスの乱れ
・妊娠高血圧症候群
・貧血
・ストレスや疲労の蓄積
・脱水状態

順番に見ていきましょう。

原因1：ホルモンバランスの乱れ

妊娠すると、エストロゲン（卵胞ホルモン）やプロゲステロン（黄体ホルモン）などの女性ホルモンが大きく変化します。

とくにプロゲステロンには自律神経に働きかけて血管を広げる働きがあり、急激な血流の変化が起こるため、頭痛の原因となるのです。

一方で、妊娠後期はエストロゲンの血中濃度が高値で維持されるため、頭痛発作が軽快しやすくなる場合もあります（※1）。

（※1）出典：J-STAGE｜東海大学医学部内科学系脳神経内科 （永田栄一郎）「Gender differenceに配慮した片頭痛治療」神経治療 Vol. 40 No. 6（2023）

 

原因2：妊娠高血圧症候群

妊娠中に高血圧を発症する病気で、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の状態です（※2）。

妊娠高血圧症候群では、胎盤への血液循環が悪くなり、胎児に酸素や栄養を届けるために母体の血圧を上げる作用が働きます。

高血圧以外の症状として、頭痛のほかにも、

・目がチカチカする
・上腹部の痛み
・重度の浮腫
・急激な体重の増加

などの症状が現れる場合があります。

上記のような症状が見られる場合は、早急に医療機関で受診しましょう。

（※2）出典：公益財団法人 日本産婦人科学会「妊娠高血圧症候群」

原因3：貧血

妊娠中は赤ちゃんの成長のために多くの鉄分が必要となり、母体は鉄分不足になりやすい状態です。

鉄分が不足すると貧血になり、脳に十分な酸素が運ばれなくなるため頭痛を引き起こします。

妊娠中の貧血による頭痛は、めまいや息切れなどの症状を伴うことが多いのが特徴です。

また貧血が進行すると疲れやすくなるため、それがストレス性の頭痛を引き起こすという悪循環に陥る場合もあります。

食事からの鉄分摂取に加えて、医師の指導のもと必要に応じて鉄剤を服用することで、貧血による頭痛を予防・改善できます。

原因4：ストレスや疲労の蓄積

妊娠による体の変化や出産への不安、育児に対する心配事など、妊娠期間中はさまざまなストレスを感じやすい状態です。

とくに初めての妊娠であれば、出産や産後の生活に対する不安などがストレスとなり、頭痛を引き起こす場合があります。

また、つわりや体調の変化により十分な睡眠が取れない状況が続くと、疲労が蓄積して頭痛の原因となります。

心身の負担を軽減するためには、十分な休息を取り、家族や周囲の人のサポートを受けることが大切です。

原因5：脱水状態

つわりがひどい時期は、吐き気や嘔吐により十分な水分を摂取できず、脱水状態になる場合もあります。

脱水状態になると血液の粘度が高くなり、血流が悪くなることで頭痛を引き起こしやすくなるのです。

また妊娠中は、胎児の分も含めて通常より多くの水分が必要になるため、意識的に水分補給を行わないと脱水症状に陥りやすくなります。

脱水による頭痛は比較的軽度なことが多いですが、放置すると症状が悪化し、ほかの体調不良を引き起こす可能性も。

つわりで水分摂取が困難な場合でも、少量ずつでも頻繁に水分を取るよう心がけることが大切です。

氷をなめたり、冷たい飲み物を少しずつ飲んだりするなど、自分に合った方法で水分を補給しましょう。

妊娠初期の頭痛はいつまで続く？【妊娠19週頃が目安】

妊娠初期に起こる頭痛にはつわりの症状がおさまる頃に落ち着くものがあります。

株式会社エムティーアイが運営する「ルナルナ」が妊娠した経験のある人につわりがおさまった期間をアンケート調査したところ、妊娠19週までにつわりがおさまった人は「61.8％」でした（※3）。

つまり、妊娠19頃までに頭痛がおさまる可能性は高いといえます。

（※3）出典：【ルナルナ みんなの声】「つわり」についての調査｜ルナルナ

妊娠初期に起きる2種類の頭痛と対処法

妊娠初期に起こりやすい頭痛には、以下2種類のタイプがあります。

・片頭痛
・緊張型頭痛

それぞれの痛み方に違いがあり対処法も異なるため、順番に見ていきましょう。

片頭痛

妊娠初期はプロゲステロンというホルモンが多く分泌されるため、片頭痛が起きやすくなります。

片頭痛の場合、片側のこめかみ付近が脈打つようにズキズキ痛むのが特徴です。

対処法としては、痛む部位を保冷剤や冷却シートで冷やすと即効性があり、楽になるでしょう。

しかし根本的な解決には繋がらないため、睡眠不足や温度差、光の刺激など生活リズムから改善していくことをおすすめします。

また血流がよくなると痛みだすことも多いため、できるだけ安静にしておくのが無難です。

緊張型頭痛

こちらは妊娠初期だけでなく、妊娠中・産後も継続的に起こりやすい頭痛です。

眼精疲労や同じ姿勢をとり続けて肩こりがある際に、頭痛が起こった経験はないでしょうか。

その原因は、緊張型頭痛である場合がほとんどです。

妊娠初期は母体、胎児ともに体調が安定していないため、妊娠前よりも運動量が減ってしまいます。

運動不足による筋肉のこわばりも頭痛につながるのです。

この場合、頭の表面を圧迫されるような痛みや、目の奥からくるような痛みがあります。

対処法としては、筋肉のコリをほぐすようにストレッチをしたり温めたりして、血流をよくする方法がおすすめです。

妊娠中に起きる頭痛の3つの予防法

妊娠中に起きる頭痛の予防法として、以下の3つがあげられます。

・十分な休息とストレス管理
・規則正しい生活リズムを心がける
・適度な運動を取り入れる

順番に見ていきましょう。

予防法1：十分な休息とストレス管理

自分なりのリラックス方法を見つけて、適度にストレスを発散する時間を作ることも大切です。

・好きな音楽を聴く
・アロマテラピーを楽しむ
・ゆったりと入浴する

などが効果的です。

また一人で悩みを抱え込まずに、家族や友人などに気持ちを相談してみてもよいでしょう。

必要であれば、専門家によるカウンセリングといった外部サポートを利用しましょう。

予防法2：規則正しい生活リズムを心がける

妊娠中の頭痛を予防するには、毎日の生活リズムを整えることも大切です。

不規則な生活を送っていると、ホルモンバランスの乱れや自律神経の不調が起き、頭痛を悪化させる可能性があるためです。

できるだけ毎日同じ時間に起床し、早寝早起きを心がけると、体内時計が整います。

とくに週末の寝すぎは片頭痛の引き金となりやすいため、平日と同じ時間に起きることが大切です。

また食事の時間も一定にすれば、血糖値の安定につながり頭痛の予防効果が期待できます。

予防法3：適度な運動を取り入れる

妊娠中でも医師の許可があれば、適度な運動で頭痛の予防効果が期待できます。

激しい運動や転倒の危険性がある運動は避け、軽い散歩やマタニティヨガなど、妊娠中でも安全に行える運動を行いましょう。

ただし、必ず医師に相談してから行ってください。

運動前後の水分補給も忘れずに行い、体調に変化があった場合はすぐに中止しましょう。

▼妊娠初期でもできる運動とは？おすすめスポーツや注意点を解説

妊娠初期の運動で気をつけるポイント｜おすすめの運動や目安量も紹介

【注意】発熱に伴って頭痛が起きる2つの原因

頭痛と一緒に発熱の症状が出た場合、どのような原因があるのでしょうか。

対処法もあわせて紹介していきます。

 原因1：風邪

妊娠中は免疫力が落ちて風邪をひきやすくなります。

温かくして、しっかり休養しましょう。

水分補給も忘れずに。

自己判断で市販薬の飲用はやめ、医師の診察を受けましょう。

 原因2：つわり

妊娠初期は基礎体温の高い状態が続くため、風邪による発熱と見分けがつきにくいです。

感染症などによる発熱の場合、胎児に影響を及ぼす可能性もあるため、普段と違う症状を感じた場合には、早めに病院で受診しましょう。

妊娠初期の頭痛が改善しないときは病院へ相談する

紹介した2つの症状に当てはまらない場合や症状が悪くなっていくなど、不安がある場合は、健診時などに相談しましょう。

症状によっては、妊娠中でも使用できる頭痛薬を処方してもらえるケースがあります。

妊娠初期は胎児の器官がつくられる大切な時期であるため、自己判断での頭痛薬服用は避けましょう。

また、妊娠初期であることに気づかず、市販の頭痛薬を服用してしまった場合、心配になりますよね。

そのようなときは、

・飲んだ薬の種類
・量
・期間（回数）

などをメモしておき、主治医に相談するとよいでしょう。

用法や用量を守ったうえで、数回の使用であれば、大きな心配はいりませんが、主治医からの正しい情報や指示をあおいでください。

▼妊娠中にアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの成分が入った解熱鎮痛薬は使える？

解熱鎮痛薬が妊娠後期に与える影響とは？服用したときの対処法や症状の緩和方法も紹介

妊娠中の頭痛Q&A

ここでは妊娠中によくある質問を3つ紹介していきます。

順番に見ていきましょう。

Q1：妊娠超初期でも頭痛は起こりますか？

妊娠超初期（妊娠週数4週未満）でも、頭痛は起こる可能性があります。

性行為後、受精が成立すると女性ホルモンのバランス変化が始まるためです。

なかでも「プロゲステロン」と呼ばれる女性ホルモンは、血管を拡張させる働きがあります。

脳の血管が広がると、周囲の神経が刺激され頭痛が起こるのです。

出典：（※4）順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科「妊娠中の薬について」

Q2：妊娠中の頭痛をやわらげる方法はありますか？

緊張型頭痛の場合は、精神的負荷が原因になっているケースがあるため、ストレス解消によってやわらぐケースがあります。

なかでも「有酸素運動」「音楽鑑賞」などは、ストレス解消に効果があると実証されています。

下記を参考にして、自身が取り組みやすいものを実践してみましょう。

行動	詳細
有酸素運動	・ジョギングやサイクリング、ダンスなど ・約20分行う
音楽鑑賞	・クラシック音楽でストレス解消効果 ・好きな音楽で疲労回復効果
笑顔になる	コメディ番組や映画鑑賞のほか、つくり笑いでも効果あり

出典：厚生労働省「こころもメンテしよう」、中国四国心理学会「好みの音楽聴取が緊張・不安・疲労軽減に与える影響」、J-STAGE「笑顔によるストレスコーピングの検証」

Q3：寝ても頭痛が治りません…

寝ても改善がみられない場合は「ツボ療法」も試してみましょう。

「片頭痛」「緊張型頭痛」で効果のある部位は、以下のように異なります。

頭痛タイプ	ツボの名称	場所
片頭痛	合谷 （ごうこく）	手の親指と人差し指の付け根の間
	足臨泣 （あしりんきゅう）	足の甲側で、小指と薬指の付け根間を足首方向に２〜３cm辿った部分。骨と骨の間。
	太陽 （たいよう）	目尻と眉尻の中間から約2cm後ろのくぼんだ部分
緊張型頭痛	風池 （ふうち）	耳の後ろの骨と後頭部のくぼみの中間
	天柱 （てんちゅう）	首の後ろにある2本の太い筋肉の外側のくぼみ
	肩井 （けんせい）	首の付け根と肩先を結ぶ線の中央

文字だけではイメージしにくいという人は、以下の写真を参考にツボの部位を探してみてくださいね。

▼合谷

▼足臨泣

▼太陽

▼風池・天注・肩井

引用：東洋医療専門学校「頭痛に効くツボ！！」

いずれの部位も親指や人差し指、手のひらなどを使い、気持ちよいと感じる程度の強さで、やさしく押していきましょう。

一方で以下のような症状も併発している場合は、妊娠高血圧症候群の疑いがあります。

ツボ押しをせず、早めに病院で受診しましょう。

・血圧が高い
・目がチカチカする
・気持ち悪い・嘔吐する

まとめ

妊娠するとホルモンバランスが大きく変わるため、とくに初期では頭痛が出ることがあります。

つわりと共ににおさまるタイプのものや、安静にすることでおさまるタイプも。

妊娠中はホルモンバランスの変化に加え免疫力も落ちて風邪もひきやすくなるので、どのようなタイプの頭痛にしても、自分の体をゆっくりと休める必要があります。

それでもよくなることがなければ、かならず医師に相談しましょう。

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