出産準備にかかる費用の平均はいくら?内訳や節約のポイントも紹介

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

赤ちゃんを迎え入れる際に気になるのが、出産準備にどれくらい費用がかかるのかというところではないでしょうか。

ここでは、だいたいの相場を知りたいという方に、出産準備にかかる費用の平均や、節約のポイントなどを紹介します。

出産準備にかかるおもな費用

出産準備にかかるおもな費用は、大きく以下の4つがあげられます。

・妊婦さんの出産準備費用(妊婦用品・衣料品など)
・妊婦健診費用
・分娩・入院費用
・赤ちゃん用品の準備費用

それぞれ詳しくみていきましょう。

妊婦さんの出産準備費用

厚生労働省が公表している調査結果によると、出産準備(マタニティウェア・出産準備・育児グッズなどの購入の費用)にかかる費用は「10万円以上」になるケースが約半数以上と報告されています(※1)。

なお上記の金額は、補助金などを差し引いて、実際に自己負担した金額です。

(※1)出典:厚生労働省|株式会社 赤ちゃん本舗「第3回妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」令和6年8月21日

妊婦健診費用

妊婦健診は出産まで約14回受診することが推奨されており、費用は毎回1〜2万円程度かかります(※2)。

各自治体では、妊婦健診助成制度が設けられているケースもあり、制度を利用することで負担を抑えられるでしょう。

ただし出生前診断などの特別な検査を希望する場合は、別途費用が必要になります。

また妊娠届を自治体に提出することで母子手帳と一緒に補助券が交付されるため、妊娠がわかったら早めに手続きを行うことが大切です。

健康保険は適用されませんが、補助制度をうまく活用することで負担を軽減できるでしょう。

(※2)出典:国立研究開発法人 国立成育医療研究センター「妊婦健診の費用と流れをスケジュール表で解説」

▼妊婦健診について詳しくはこちら

妊婦健診ってどんなことするの?頻度や費用を解説

分娩・入院費用

分娩・入院費用は出産にかかるもっとも大きな費用です。

厚生労働省が公表しているデータによると、正常分娩にかかる平均費用は約52万円と報告されています(※3)。

ただし病院の種類によって費用は異なり、

・私的病院:約54万
・公的病院約:約48万円

が平均的な金額です(※3)。

ここから出産育児一時金として50万円が支給されるため、実際の自己負担額は平均で約3万円程度です(※3)。

なお正常分娩にかかる平均費用は、平成24年度からの推移を見ると、いずれの施設でも右肩上がりで上昇しています(※3)。

▼出産費用について詳しくはこちら

自然分娩や無痛分娩の費用は?出産準備は予算計画も大切

(※3)出典:厚生労働省 保険局「出産費用の状況等について」令和6年11月21日

赤ちゃん用品の準備費用

育児用品の準備にかかる費用の目安は、以下のとおりです(※4)。

ベビー用品 相場金額
ベビーウエア(肌着、外出着など) 3万円程度
抱っこひもなどのお出かけ用品 3~5万円程度
オムツ、おしりふきなど 6~13万円程度
ミルク、哺乳瓶など 6万円程度
ベビーバスなどのお風呂グッズ 1万円程度

ベビーバスは空気で膨らますタイプにするのか、プラスチック製のものを選ぶのか、布オムツにするのか、紙オムツにするのかなど、何を選ぶのか、どれぐらい揃えるかによって費用は異なります。

▼赤ちゃん用品の準備に必要なものについて詳しくはこちら

出産準備で必要なものは?ママや新生児に欠かせないものをリストで紹介

(※4)出典: 保険の教科書「赤ちゃんの準備費用で実際にかかった金額と内訳まとめ」

出産準備費用を節約するポイント

出産準備費用を少しでも節約したいという人向けに、そのポイントについて紹介していきます。

赤ちゃんと暮らしにあわせて少しずつ準備する

最初からすべて揃えようとせず、赤ちゃんの成長・体質・好みや、家族のライフスタイルなどに合わせて少しずつ揃えると、無駄なものを買うことなく節約につながります。

出産準備で、よくある無駄になってしまった例として、以下のようなケースがあげられます。

・新生児用おむつをたくさん買っていたが、あっという間にサイズアウトして余ってしまった
・哺乳瓶やミルク用品をたくさん準備していたが、赤ちゃんが母乳しか飲んでくれなかった
・スタイ(よだれかけ)をたくさん用意していたが、よだれが全然出ない赤ちゃんだった

レンタルを活用する

ベビーベッド、新生児期から使えるベビーカー、バウンサーなどの大型用品は、レンタルするのもおすすめです。

これらのアイテムは使用期間が限られているため、すべて購入すると費用がかさんでしまうためです。

レンタルサービスの魅力は、初期費用を大幅に抑えられることだけではありません。

赤ちゃんに合うかどうかを試してから購入を検討できるため、失敗のリスクも減らせます。

ただしレンタル料金と購入価格を比較して、長期間使う予定があるものについては購入のほうが安くなる場合もあるため注意しましょう。

使用期間や頻度を考慮しながら、賢くレンタルサービスを活用していきましょう。

リユース品を活用する

親戚や友人からのお下がりや、リサイクルショップ、フリマアプリを活用するのもおすすめです。

リユース品でもまだまだ使えるものはたくさんあります。

選択肢のひとつとして考えておくとよいでしょう。

経済負担に対する公的な支援策を活用する

以下のような公的な支援策もあるので、活用してみるとよいでしょう。(※2025年8月現在)

出産手当金

産前・産後休業の期間中、健康保険から1日につき、原則として賃金の3分の2相当額が支給されます(※5)。

児童手当

18歳の誕生日後の最初の3月31日まで」の児童を養育している場合に1万〜1万5,000円支給されます(※6)。

乳幼児の医療費助成

乳幼児等に係る医療費が無料もしくは一部の自己負担となる医療費助成が受けられます。

自治体や所得によって助成は異なります(※7)。

育児休業給付金

育児休業を取得した方に原則として休業開始時の賃金月額の67%が支給されます(※8)。

医療費控除

年間に支払った医療費が一定額を超えるときは、所得控除を受けることができます(※9)。

高額療養費制度など

医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です(※10)。

(※5)出典:厚生労働省委託事業|働く女性の心とからだの応援サイト「出産手当金」

(※6)出典:こども家庭庁「児童手当」

(※7)出典:東京都福祉局「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」

(※8)出典:厚生労働省|都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)「育児休業等給付の内容と支給申請手続」

(※9)国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

(※10)厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

出産準備の費用に関するQ&A

ここでは出産準備の費用について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

マタニティ用品にはどのくらい費用がかかる?
坂田先生
マタニティウェアや下着、抱き枕などをそろえると、だいたい2万〜5万円くらいが目安になります。

すべてを新品でそろえる必要はなく、普段の服をゆったり着られるように工夫したり、先輩ママからお下がりをもらったりして節約している方も多いです。

ベビー用品の準備費用の目安は?
坂田先生
ベビーベッドやベビーカー、チャイルドシート、授乳グッズなどをそろえると、10万〜20万円程度かかることがあります。

ただし、レンタルを利用したり、必要になってから買い足したりする方法もあります。

家庭の状況に合わせて、優先度を決めて準備すると無駄が少なくなります。

新生児用品で最低限必要な費用は?
坂田先生
肌着やおむつ、哺乳瓶など、すぐに必要になるものをそろえると3万〜5万円くらいが目安です。

特におむつやミルクは継続的にかかる費用なので、買いすぎず、まずは少量から始めると安心です。

まとめ

出産準備費用は、想定外から予想外のものまで、思ったよりかかるものです。

国や自治体の支援策や、レンタルサービス・リユースなども活用しながら、賢く節約しましょう。

健診やお世話用品など、妊婦さんや赤ちゃんの心と身体の健康・安心にかかわるものへの費用捻出は節約せずに、しっかり費やしましょう。

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

さい帯・さい帯血保管のポイント!

  1. 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
  2. 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
  3. どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
  4. 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
  5. それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。

実際に保管・利用した方のお声

出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」

株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。

ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
出産時に産科施設で採取されたさい帯・さい帯血は、ステムセル研究所の高レベルのクリーンな環境で専門スタッフが処理・検査を行います。国内最大級の細胞保管施設にて、約-190℃の液体窒素タンク内で長期間大切に保管されます。また、ステムセル研究所は厚生労働省(関東信越厚生局)より「特定細胞加工物製造許可」を取得しており、高品質と安全性を実現しています。
保管したさい帯血は何に使えるの?
ステムセル
研究所

国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

さい帯・さい帯血保管は高いと聞いたのですが…
ステムセル
研究所
さい帯またはさい帯血のどちらか一方を10年間保管する場合、月々2,980円(税込)で保管することができます。出産時にしか採取・保管することができない貴重な細胞なので、お子さまの将来に備えて保管される方が増えています。

無料パンフレットをお送りします!

さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。

赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー