帝王切開とは?出産方法やリスクなど基礎知識を徹底解説

「帝王切開とはどのような出産方法なのだろうか」「自然分娩とはなにが違うのだろう」と気になっていませんか。


帝王切開は開腹手術によって、出産する方法です。

出産方法以外にも、自然分娩とは異なる点がさまざまあります。

この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・ 帝王切開とは
・ 帝王切開の手術方法
・ 帝王切開のリスク

この記事を読むと、帝王切開に関する基礎知識を得られ、自身が帝王切開をする状況になっても安心して対応できるようになりますよ。

帝王切開とは手術によって出産する方法

産道を通って赤ちゃんを出産する自然分娩とは違って、帝王切開は開腹手術を行います。

妊娠37週までの定期健診の段階で自然分娩が難しいと分かっている場合には予定帝王切開が勧められ、陣痛が起こる前の37週後半~38週頃に手術を行うことになります。

自然分娩が難しいとは、多胎妊娠や逆子がなおらない、前置胎盤や母体の骨盤が狭すぎるなどの場合が該当します。

その他に、分娩中にお産が進まなかったり、胎児や母体の状態が悪化し生命の危機が迫ったりした場合に緊急で帝王切開をする場合もあります。

切開の方法は2種類で、臍から下に向かって切る縦切開と子宮の下の方を横に切る横切開があります。

それぞれにメリットとデメリットもありますので後ほどご紹介します。

帝王切開になる確率【約22%】

厚生労働省の2020年の調査結果によると、分娩件数は減少傾向であるのに対し、帝王切開の件数は年々増加傾向であることが分かりました。

一般病院と一般診療所の件数を合わせて算出した数字では、帝王切開になる確率は約22%です。

これは医療技術の進歩により手術に対するリスクが低くなったことで、自然分娩ではリスクの高い出産となりそうな場合に帝王切開に切り替えるといった件数が増えたことなどの理由が考えられます。

出典
(※1) 令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況|厚生労働省(令和4年4月27日公表)

帝王切開の手術方法【3ステップ】

ステップ1:麻酔

下半身だけに効き、術中に意識のある「局部麻酔(脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔)と、全身に効き術中に意識のない「全身麻」』があります。

一般的には効果が早く現れ、母体、胎児ともに負担の少ない「脊髄くも膜下麻酔」を行いますが、緊急の場合は「全身麻酔」を行うケースも。

「硬膜外麻酔」は無痛分娩でも使用され、硬膜外腔にカテーテルを通して、麻酔の量を調整できます。

長時間使用できるため、無痛分娩から帝王切開への変更時や長時間におよぶ手術の時に使われることがあります。

また脊髄くも膜下麻酔と併用し、術後の痛み止め投与にも使われるケースもあるのです。

ステップ2:切開

傷跡が目立ちにくい切開方法である、おへその下を水平に切る「横切開」を希望する妊婦さんが増えています。

それに対して縦切開は手術時間が短く、開いた時の視野も広いので緊急の時に行われます。

緊急帝王切開の場合は、母体や胎児の安全を最優先するため、縦切開になることが多いようです。

また追加の手術を行う場合も縦切開を行います。

 

ステップ3:縫合方法

子宮には抜糸の必要がない溶ける糸を使って縫い合わせます。

病院によっては、癒着防止材を使いその後の癒着を防ぐケースも。

溶ける糸を使うと傷痕が綺麗に治りやすく、抜糸の必要がないことでも産後の負担が軽減されます。

一方ステープラー(医療用のホチキスのようなもの)で縫合することもあります。

早く縫合できますが、退院時にホチキスを抜かなければいけないため、痛みを伴う可能性があります。

もう少し帝王切開の流れについて知りたい方はこちらのコラムも参考にしてください。

帝王切開による出産の流れは?入院前から手術後までを徹底解説

 

帝王切開を受ける5つのリスクは

約5人に1人が受けている安全な手術とはいえ、やはりリスクはあります。

・リスク1:自然分娩に比べ肺血栓塞栓症のリスクが高まる

ベッドに横になっている時間が長いためです。

対策として、経過がよければ翌日から体を動かしたり、「弾性ストッキング」を利用することで血栓を防いでいる施設が多いです。

 

・リスク2:出産後の回復に時間がかかる

子宮の回復に時間がかかり自然分娩では「1ヵ月程」なのに対し、帝王切開では「2~3ヵ月」と長くかかるケースが多いです。

 

・リスク3:初乳をあげられるまでに時間、日数がかかる

初乳産後2日 目頃まで出ます。助産師さんに介助してもらい、授乳ができることもあります。痛みで動けない時は搾乳してあげることもできます。

 

・リスク4:次回妊娠時に前置胎盤、子宮破裂の可能性が高まる。

このリスクから次回以降の出産方法が帝王切開になることがあります。

 

・リスク5:産後傷口が痛い

自然分娩は徐々に痛みが増していき、分娩をする直前が痛みのピークであるため、産後の痛みは数時間で軽減することが多いです。しかし帝王切開の場合は、麻酔が切れた時から傷の痛みに耐える必要があります。

 

帝王切開はどれくらい痛いのか?

帝王切開で気になるのは、やはりどのような痛みがあるのかということでしょう。

そもそも帝王切開での痛みはどのような痛みなのでしょうか。

先ず、硬膜外麻酔をすることによる針の痛みがあります。

これは無痛分娩でも麻酔を同じ麻酔を使います。

出産後の子宮が回復する際に起こる後陣痛も自然分娩の人と同様です。

帝王切開で特別なのは切開による痛みで、術後の麻酔が切れたタイミングから自分で動く床ができるようになる3日目くらいまでが痛みのピークだと言われることが多いようです。

帝王切開にかかる費用の目安【約50万円】

2022年に厚生労働省から公表されたデータによると、帝王切開や吸引分娩など異常分娩の出産費用の平均は約50万円です。

ただし入院日数が長引くことや、入院している病院により多少前後するでしょう。

しかし全額自己負担ではなく、手術の費用などには健康保険が適応されて自己負担は3割です。

また、入院費などに対しても国民健康保険や社会保険の加入者に対する出産一時金の支給や高額療養費制度を利用することができます。

詳しく知りたい方は下記のコラムでもご紹介していますのでご覧ください。

帝王切開にかかる費用平均と内訳は?適用される保険やもらえる給付金も紹介

 

まとめ

帝王切開は手術です。

自身が帝王切開にして欲しいと思っても、医師が快諾しないのはそれだけのリスクもあるからです。

私自身、健診時に帝王切開になる可能性を医師から話され、いろいろ調べていた時に「帝王切開は出産が楽」「保険が使えるからいい」「陣痛に耐えていないから愛情が減る」などの心無い言葉を目にすることがありました。

どんな出産方法でも母親は命懸けで出産をしていますし、どんなに安産でも痛いし不安もあると思います。

決して楽な方法はなく、1人1人がんばって出産をしています。

 

少しでも出産に対する不安を減らすため、出産前に今回紹介した内容を確認しておくと、万が一緊急帝王切開になっても不安や後悔が少なくなりますよ。

生まれてくる赤ちゃんとの出産は一度きりです。素敵な出産を迎えて下さいね。

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さい帯血保管は、赤ちゃんへの「愛」のプレゼント。
赤ちゃんに会えるまでのもう少しの期間、ぜひ少しでも快適に、幸せな気持ちで過ごしてくださいね。

▼さい帯血保管について、もっと詳しく

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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