妊娠中は、つわりや体の変化で大変なこともありますが、赤ちゃんと出会える喜びでいっぱいだと思います。

なかでも、妊婦さんにとって「胎動」を感じることは、赤ちゃんを強く意識して共に絆を深めていく、幸せな瞬間ですよね!

私自身、妊婦であることを忘れるくらい忙しくしていましたが、ポコッポコッと赤ちゃんが動くたびに、手で軽くたたき返してコミュニケーションを楽しんでいたことを思い出します。

そんな「胎動」ですが、出産間近になると、これは「胎動」なのか「陣痛」なのか、判断に迷うことはありませんか?

今日はそんな胎動について詳しく見ていきたいと思います。

 

胎動って?強さはどのくらい?どう変わっていくの?

文字通り、赤ちゃんが体を動かすと、子宮壁にぶつかって感じる動きが胎動です。

赤ちゃんが小さい頃は、わずかな胎動しか感じることができません。しかし、大きくなるとしゃっくりや手足の曲げ伸ばし、キックをしたときに胎動を感じることができます。

赤ちゃんは胎動で、ママに自分の存在を知らせているのです。胎動を感じたら、手を当ててみたり、話しかけたりして、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでください。

胎動を感じ始める時期には個人差がありますが、一般的には妊娠16~20週頃だと言われています。そして赤ちゃんが大きくなるにつれて、胎動が激しくなってきます。

赤ちゃんの筋肉が発達すると、元気な赤ちゃんだとママが痛く感じるほどの強さになることもあります。

出産が近づく頃には、赤ちゃんは下向きにママの体の下の方に降りてきて、頭を骨盤に固定していくため、それ以前よりも自由に動きにくくなると言われます。また、赤ちゃんがすくすく育つことで、限られたスペースの子宮では動きが制限されます。

そのため、胎動を感じる頻度が減ったり、弱くなったりすることがあります。しかし、全く感じなくなることは基本的にありません。

胎動は「赤ちゃんの動き」を察知することなので、赤ちゃんの状態をチェックする基準の一つになる、とても大切なものです。

でも、妊婦さんが1日中、胎動の全てを感じとることは不可能ですよね。ママが寝ている間の胎動はわかりませんし、逆に日中ママが活動している時には胎動に気づきにくいですよね。

胎動カウント

胎動をチェックしたくても、一日中赤ちゃんの胎動を観察することはできません。そこでお勧めしたいのが「胎動カウント」です。さまざまな方法がありますが、一例として「胎動10回カウント法」というのをご紹介します。

・1日1回、横になるか、座るかのどちらかの体勢になります。

・赤ちゃんがはっきりと10回動くのに何分かかるか、その時間を計ります。

とっても簡単ですよね!でも、すごく重要なことがわかるんです!!

胎動がいつもと違うかどうか、判断するためには「いつも」を知っていなければできません。妊娠7カ月以降、はっきりと胎動を感じるようになったら、毎日「胎動カウント」を行い記録しましょう。そうすることで「いつも」の胎動がどういう状態なのかを知ることができます。

陣痛と胎動の違いって?

陣痛と胎動を間違えることなんてある?と思われるかもしれません。ところが、陣痛の始まりである「前駆陣痛」と「胎動」を勘違いするママもいるようです。

出産前に陣痛が起こることはご存じですよね。その陣痛も種類があり、みなさんがイメージするいわゆる「陣痛」は本陣痛と言われ、規則的に激しい痛みに襲われます。痛みの間隔が規則的で、徐々に短くなっていきます。初産婦の場合、10分間隔になったら病院に連絡する!と言われているものです。

その本陣痛が起こる前にも、前駆陣痛があります。一般的に妊娠36~40週くらいに起こると言われています。始まりは「生理痛のような痛み」「下痢のような痛み」に感じることもあり、痛み方も人それぞれで、胎動と勘違いするママもいるようです。

 

陣痛中にも胎動はあるの?

陣痛の最中も、胎動は必ずあります。

ただし、ママは陣痛の痛みに耐えている最中なので、胎動の感じ方は違うことも考えられます。

特に出産間近には、激しい痛みから無意識に腹圧をかけ、赤ちゃんを生み出そうとする自然な力が働いていて、とても胎動を感じている余裕はないかもしれません。

実際、私自身も陣痛の痛みを逃がすのに精一杯で、その最中は胎動のこと、すっかり忘れていました。

陣痛中は、赤ちゃんも出産に向けて頑張っています。例えば、陣痛が規則的となり、1時間に6回以上となる頃には、回旋(産道を通り抜けるために、赤ちゃんが約90度回転しながら産道を下降すること)も始まっています。

胎動を感じる、感じないは別として、胎動は陣痛中にもあると覚えておきましょう。

さいごに

胎動や陣痛の感じ方は、個人差があるので、自分が正常なのかどうか、不安になってしまうこともありますよね。少しでも不安や心配なことがある場合には、無理に自己解決しようとせず、病院に相談するなどして、不安を取り除くように心がけてください。

ママの心の健康は、赤ちゃんの健康にも繋がります。

安心してお産を迎えられるよう、穏やかで、ハッピーな気持ちでお過ごしください♪

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

出産に備える
大切な情報