妊婦さんは咳止めを飲んでも大丈夫?

結論から言うと

咳の原因が風邪であれ喘息であれ、それまで飲んでいた市販薬や処方箋がお手元にあったとしても、妊娠している、またはその可能性があるのであれば、かかりつけ医や産婦人科医にかかりましょう。「ネットはあなたの主治医ではありません」という文字を私は何度か目にしました。

 

つわりが酷い妊婦も多い

私の妊婦生活は酷いつわりで始まりました。「食べては吐く」のエンドレス。1日3食食べるか食べられないかで、6回以上吐くなんて「大丈夫?私?」と、その後の妊娠継続を心配したほどでした。

ですが、妊婦につわりはつきもので、私より2年先に出産した学生時代からの友達はつわりで入院したことがあったので「私はまだマシな方」と言い聞かせられました。

赤ちゃんがやってきてくれたことは、この上ない喜びと感激で、おなかが目立つ前から毎日夫婦でおなかをさすって語りかけたものです。「君が来てくれるのを待っていたよ。今はたっぷりお母さんから栄養をもらってすくすく育ってね。10カ月後、会えるのを楽しみにしているよ」と主人。「え?栄養!食事ぃ?おえぇ。ごめーん。」といった感じの私でした。

つわりが終わってからというもの

ほどなく安定期に入り、つわりは回数が減り、妊娠初期にこけていた私の顔もやや丸くなっていきました。中期に入ると胎児の体重の増加とともに私の体重も増加していきました。

妊婦健診で助産師さんに「うーん、体重が少しぃ、増えていますねぇ(優しめに)無理のない程度に歩いたり、軽く体操などをして体は動かしてくださいね」と、妊娠初期の頃のつわりで「3食昼寝と気づけば、ごろ寝生活」が染みついていた私のことを「実は見ていたのでは?」と思うほどのご指摘を受けてしまいました。

それからは朝起きて水を1杯飲んでからラジオ体操を、雨の日以外はランチ前後のどちらかに30分程度のウォーキングとおやつの前にストレッチを習慣(いえ時々サボり)にしていました。町中を歩いていると気持ちおなかが目立ち始めていたからか、妊婦とわかると「危ないなぁ」という声をかけられたり、どんな意味を込めてなのか不明でしたが「咳払い」をされることがよくあり、その後からは車で10分の公園に行って、公園内を歩いていました。

 

効果があったかどうかは不明

妊婦の運動の範囲がどの程度まで良いのかわからなかった私です。体重が増えすぎて妊娠高血圧症候群をはじめ、マイナートラブルになってはいけないと思っていましたので、とにかく健康でいなくてはと風邪もひかないように気をつけていました。効果かどうかはわかりませんが、妊婦健診での体重増加は緩やかになり、助産師さんにも「この調子ですよ」と褒められ、小さくガッツポーズをしたものです。

ところがある日、公園でなのか、スーパーでなのか、不明ですが、帰宅後から寒気がして、夕方にはどうやら風邪をひいてしまった私。38度台の熱が出てしまったのです。その晩は、主人とは別々に寝て起きると平熱に戻っていたので「病院には行かなくて良いかな」という判断をしました。その日はランチをゆっくり済ませてのんびりしていたのですが、昼過ぎから咳が出始めたのです。

「え?何この咳は?時間差の風邪諸症状かしら?」と、ひとまず1枚多めに羽織り、診察券を確認しました。診察受付時間は過ぎていたので、一晩様子を見ることにしました。

 

咳の次は風疹?!

「咳が止まらない、咳が苦しい」と一晩ぼやき、続いた咳でしたが、実は眠いのに寝ようとすると咳が出たので、睡眠不足からイライラしただけでした。主人が「水を少しずつ、1日2リットル飲みなさい」と私の枕元に用意してくれたこと、加湿器をつけてくれたことで翌日には咳き込みが治まりました。

乾燥も咳の原因だったようです。

次の妊婦健診の際、主治医にこの顛末を話したところ、苦笑いされながら「自己判断で、薬を飲まないでくれて良かったわ。発熱も咳も妊婦さんにはつらいから、すぐに受診して欲しいわ。次がないことが前提だけど、もし次があったらすぐに受診してね。受付時間外でも電話だけでもしてみてね」と助言を受けました。私は遠慮していたようです(笑)

更に妊娠中期の後半になり、風疹チェックがあり、「恐らく中学生の頃にワクチン接種したはずの抗体が切れていますね」と指摘を受けました。そうそう私は35歳を過ぎた高齢妊婦。15歳までに受けた予防接種の風疹ワクチンから20年以上経ちます。切れていたのですね。

その上「出産を終えてワクチンを打ってから退院してもらうので、それまでは極力外にも人混みにも行かないでください」というお達しが。あぁ、巣ごもり生活突入です。

再び3食昼寝と気づけばごろ寝生活?

妊婦なりの運動、妊婦なりの食事を維持していた私ですが、担当医師からのお達しです、守らないわけにはいきません。ふと、妊娠初期の頃の生活が頭をよぎりました。「3食昼寝と気づけばごろ寝生活?」ダメダメそれだけは!阻止しなければと焦りました。それもそのはず、妊婦生活も臨月に入った頃の私の体重は、妊娠前より軽く10kgオーバーしていたのです。これも先輩ママから聞いた話ですが「赤ちゃん3kg胎盤3kg羊水3kgまでだからね」の一言が脳内を駆け巡りました。

人と接する機会を減らしたので、風邪をひくことも咳をすることも、その後はありませんでしたが、急激に外出を控えるようになった私は、出産までの約1カ月間、何をして過ごしたかと言いますと、トイレ掃除を念入りに、玄関掃除、手が届くところまでの窓掃除(転倒予防で台には上りませんでした)。とにかく家中の掃除をして体を動かし、雑巾がけはおなかが大きい妊婦にとっては軽くない運動でした。

おかげさまで安産で3700g、54cmの大きめベイビーと出会うことができました。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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