2022年2月3日
妊娠中期

妊娠中の体重増加目安に新ルール?健診をしっかり受けて体調管理を。

妊娠おめでとうございます。
つわりはおさまりましたか?初めての妊娠でつらいつわりと戦って、おなかの中の赤ちゃんの動きを感じられるようになると妊娠した実感がわいてきますね。
妊娠中は赤ちゃんの健康はもちろん、お母さん自身の体調を整えていなければなりません。
つわりをはじめ、様々な不調が出やすい妊娠期間です。

定期的に産婦人科の健診に通って医師にアドバイスをもらいながら上手に体調管理をしましょう。

◯妊婦健診の頻度と内容

妊娠発覚から出産までだいたい以下のような頻度で産婦人科に通い妊婦健診を受けます。

妊娠発覚、初診〜妊娠3ヶ月(〜11週)…2週に1度程度
妊娠4ヶ月〜妊娠6ヶ月(12〜23週)…4週に1度
妊娠7ヶ月〜9ヶ月(24〜35週)…2週に1度
妊娠10ヶ月(36週)〜出産…週に1度

毎回の健診でお母さんの体調と赤ちゃんの発育状態を調べるために尿検査、体重測定、血圧測定、子宮底長や腹囲の測定(または、超音波検査)が行われます。

【妊娠初期】

子宮内に胎嚢が確認でき、胎芽(胎児)とその心拍が確認できると妊娠確定となります。
健診で赤ちゃんの大きさを測定して出産予定日を決めます。
お母さんの子宮頸がん検診や、性感染症のチェック、血液検査で血糖値のチェック、風疹やHIV等の抗体があるかを調べます。

【妊娠中期】

赤ちゃんの発育をみたり、羊水の量、胎盤の位置等をチェックしたりします。
お母さんの体重管理や妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病がないかのチェックもします。
腰痛や便秘、浮腫、こむら返りなど思いがけない体調の変化も出てくるので、心配な場合は健診で相談をしましょう。

【妊娠後期】

引き続き赤ちゃんの発育や羊水の量、胎盤の位置等チェックし、赤ちゃんが逆子になっていないかも調べます。
お母さんはおなかが張っていないか、子宮頸管が短くなっていて早産の危険がないかどうかもみます。
健診ではおっぱいのケアや早産の兆候、ここからどんどん増えてしまう体重の管理のアドバイスなどをきき、出産に備えます。

【臨月】

正期産になるとお母さんの体調、お腹の張り具合や子宮口の開き具合、赤ちゃんの心拍を確認するため週に1度の健診になります。

◯妊娠中の体調不良

上記にもありますが、妊娠するとつわりはもちろんのこと妊娠前にはなかった体調の変化があります。

・動悸や貧血

血液の量が増え心臓にも負担がかかるため起こります。

・ひどい眠気や皮膚のトラブル

ホルモンの影響で眠気や肌荒れ、色素沈着などが起きることがあります。

・便秘と頻尿

子宮が大きくなってくると腸や膀胱が押されて便秘や頻尿になります。ひどい便秘が続くようであれば妊娠中でも飲める薬を処方してもらうと安心です。

・腰痛

骨盤周りの組織を緩めて赤ちゃんがスムーズに骨盤を通れるようにリラキシンというホルモンが出ることにより、妊娠初期から腰痛があらわれることがあります。また妊娠後期では体重増加に伴ってさらに腰痛がでやすくなります。

・妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病

妊娠中特有の症状で直接的な原因はわかっていませんが、急な体重増加やもともと糖尿病や高血圧、肥満の人、40歳以上の人などに起こりやすいと言われています。

その他にも普段とは違う体調の変化もあらわれます。お仕事をされていると難しいですが、なるべく体に無理のないよう日常生活を管理してのんびりした妊娠期間を過ごしましょう。
また急激な体重増加にならないよう体重管理をすることがお母さんにも赤ちゃんにとっても大切です。

◯適正な体重は?

毎回の健診で計測する体重。
体重が増えすぎてしまうと妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病を招く可能性があります。
さらに分娩時に微弱陣痛になったり、出血が増える、脂肪がつき過ぎて産道が狭くなる事により難産、帝王切開になったり、巨大児(4000g以上)、赤ちゃんの神経疾患の頻度が増えるといった様々なトラブルがあります。
まずは妊娠前の自分のBMIを知って、それに応じた体重管理の目安を確認しましょう。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

妊娠前の体格 BMI数値 体重増加指導の目安
低体重(やせ) 18.5未満 12〜15kg
普通体重 18.5以上25.0未満 10〜13kg
肥満(1度) 25.0以上30.0未満 7〜10kg
肥満(2度以上) 30.0以上 個別対応で上限5kgまで

◯妊娠中に体重はなぜ増える?

妊娠中に増えていく体重の正体は、もちろん約3kgほどある赤ちゃんの他に
胎盤(約0.5kg)、羊水(約0.5kg)
大きくなった子宮、おっぱい、妊娠中に増えた血液(約3kg)
さらに妊娠中にホルモンの影響で増える水分や脂肪もあります。
出産後には母乳の生産量を増やすための余剰な脂肪分を必要になります。
増え続ける体重を管理するのに焦ってしまうお母さんもいるでしょうが、やはり脂肪が増えるのは赤ちゃんを健康に育てるためには仕方のないことです。

◯体重増加を気にしすぎてはいけない人

厚生労働省が2006年に「妊産婦のための食生活指針」で妊婦の体重の目安を示していて、それに基づいて産婦人科の医師たちは体重管理の指導をしてきました。
ところがこの体重の目安はお母さんの体調を基本に考え妊娠高血圧症候群等にならないための基準であり、赤ちゃんの低体重については考慮されていませんでした。実は日本は世界的にみても2500g未満の低体重児が産まれる割合が高く、40年間で1.8倍に増えているという異例の事態なのです。

胎児期の発育が不十分だった場合、成人後に肥満、循環器疾患、2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高まる可能性が多いとされています。
2021年に見直しがなされ「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針〜妊娠前から健康なからだづくりを〜」と改定されたのです。

自分のBMIを確認して低体重(やせ)になってしまったお母さんは過度な体重管理をせず、つわりが落ち着いて体調がよくなってきたら栄養バランスよく食べてしっかり体重を増やしましょう。

◯さいごに

妊娠中は今までに経験したことのないような体調の変化、体重の増加があり不安に感じるお母さんも多いのではないでしょうか。
いつ頃にどんな変化が起こるかを知り、少しでも不安に思ったら健診でしっかりと医師・看護師に相談をして上手に体調を管理しましょう。

我慢することもたくさんありますが、かわいい赤ちゃんにあえるまでもう少し!
皆さんのご出産を応援しております。

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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