2021年8月31日
赤ちゃん・子育て

【知っておきたい赤ちゃんの食事】管理栄養士が教える離乳食のポイント

<赤ちゃんの食事>

生後5~6カ月頃までの赤ちゃんの唯一の食事は母乳やミルクなどの乳汁です。母乳やミルクだけをとっていた赤ちゃんに、なめらかにすりつぶした状態の食べ物を与え始め、次第に食べ物の固さと量、種類を増やしていくことを離乳といいます。今回は赤ちゃんが形のある食べ物を食事として摂るための練習過程である離乳食について、赤ちゃんの発達段階に応じて詳しくご説明いたします。

 

<ステップ①ごっくん期 5~6カ月頃の食事>

生後5~6カ月頃の赤ちゃんは、首がしっかりと座り、支えがあれば椅子に座れる子も多くなります。大人が食事しているのを見て、声やよだれを出すようになったら離乳食スタートの時期です。この時期の赤ちゃんは、口に入れたものを前から奥へ少しずつ移動させ、飲み込むことが出来るようになります。

食事は1日1回、なめらかにすりつぶした状態の食べ物を与えます。最初はポタージュ状のトロトロから始め、慣れてきたら水分を減らしてケチャップ状にしていきます。まずは米の10倍がゆをすりつぶしたものからスタートしましょう。赤ちゃんが嫌がらなければ、にんじんやじゃがいも、かぼちゃなど、くせの少ない野菜やイモ類をプラスしていきます。ほうれん草やキャベツなど繊維の多い野菜は裏ごしをしましょう。離乳食開始から1カ月ほどがたち、米がゆ(10倍がゆから8倍がゆ)、野菜、イモに慣れてきたら白身魚や絹ごし豆腐などのたんぱく源をプラスしても良いでしょう。

初めて食べるものは1日1種類にし、必ずひとさじから始めましょう。万が一、具合が悪くなった場合に備えて、病院が開いている時間に食事を摂るのが安心です。皮膚やうんちに変化がなければ徐々に量を増やしていきます。1回の食事量の少ない時期には、おかゆや野菜スープをまとめて作って冷凍するのがおすすめです。製氷皿で凍らせフリージングパック等で保存します。

 

<ステップ②もぐもぐ期 7~8カ月頃の食事>

生後7~8カ月頃の赤ちゃんは、口の前の方で食べ物を取り込み、舌と上あごでつぶせるようになります。今までは舌を前後に動かしてドロドロのペースト状のものを飲み込むだけでしたが、ステップ②では舌を上下に動かして、やわらかい小さなかたまりを舌と上あごでつぶして食べる練習を始めていきます。

食事は1日2回になり、食事のリズムがついてきます。舌でつぶせる固さの食べ物を与えます。米がゆ(7倍がゆ)、マッシュポテト、やわらかく煮てみじん切りにした野菜、角切りにした絹ごし豆腐などを増やしていきます。納豆、鶏肉、卵など色々な種類のたんぱく源も少しずつ食べられるようになります。パサつく魚やお肉にはとろみをつけてあげましょう。卵白はアレルゲンになりやすいので必ず卵黄→全卵の順に進めます。スクランブルエッグや茶わん蒸しはこの時期の食事に向いているメニューです。

 

<ステップ③かみかみ期 9~11カ月頃の食事>

生後9~11カ月頃の赤ちゃんは舌が前後・上下に加え左右に動くようになります。舌でつぶせない食べ物は左右に寄せて歯ぐきでつぶして食べられるようになります。

食事はいよいよ3回食になります。食事のリズムを大切に進めていきましょう。バナナくらいの固さを目安に、指でつぶせる程度のものを徐々に増やしていきましょう。主食は5倍がゆになります。野菜はやわらかく煮て1㎝弱の角切りで与え、咀嚼を促します。また、やわらかく茹でてスティック状に切ると自分でもって食べる練習にもなります。おにぎりやハンバーグなど、手づかみ食べのできるメニューも取り入れていきましょう。消化吸収能力も発達してくるので、青魚や赤身肉などにも少しずつ挑戦してみましょう。少量の植物油やバターも使えるようになるのでメニューのバリエーションも広がります。野菜は炒めてから水で溶いた調味料で蒸し煮にする炒め煮がおすすめです。

赤ちゃんによっては、この時期は離乳食を食べることに飽きてきて食欲が中だるみになることがあります。遊んでばかりで食べない、好き嫌いが出てきたなどの悩みも増えてきます。調理方法を工夫してみましょう。ベビーフードを利用してみても良いでしょう。

 

<ステップ④ぱくぱく期 12~18カ月頃のお食事>

1歳のお誕生日を迎えた赤ちゃんは、食事のリズムを1日3食に定着させる時期を迎えます。朝食は生活リズム作りのためにとても重要です。朝、炭水化物をしっかり摂ることで午前中を活発に過ごすことができるとうんちもスムーズに出るようになります。自然と生活リズムが整ってきます。この時期になると前歯が生えそろい、奥歯も生え始めてきます。食べ物を前歯でかじり取り、歯ぐきや奥歯でつぶして食べられるようになります。しかし、まだ噛む力は弱く、噛み方を調整するのが難しいものもあるので、固すぎるものや食べにくい形状のものは避けるようにしましょう。

だんご程度の固さを目安に手づかみで食べられるものや色々な大きさ、形のものを与えて噛む練習をさせましょう。前歯でかじり取る練習になるような大きめの手づかみメニューも用意してみましょう。焼き物や揚げ物も食べられるようになってきます。カレー粉やマヨネーズなどの調味料も少量であれば使うことができます。主食、主菜、副菜を意識しましょう。味つけをする前の大人の食事から取り分けをすると食事の準備が楽になります。

この頃の赤ちゃんは、多くのエネルギーを必要としますが、まだ一度にたくさん食べることができないため、食事と食事の間にエネルギーが不足しがちですので、間食を用意しましょう。赤ちゃんにとっての間食(おやつ)はお菓子ではありません。ごはんやパン、めん、イモ類などの炭水化物を中心に果物や牛乳を与えると良いでしょう。

 

<栄養補給だけではない 赤ちゃんの食事の役割>

赤ちゃんの食事である離乳食の役割は、栄養補給だけではなく、将来の豊かで健康的な食生活のための土台作りでもあります。規則正しく食事をする習慣をつけること、食事の量や栄養バランスに気を配ること、食べ物の好き嫌いを少なくすることが大切です。赤ちゃんの食べ方にはムラがあります。食事を無理強いすることやだらだら食べさせることはやめましょう。そして何より赤ちゃんが食事は楽しいという感覚を味わうことが大切です。家族そろって楽しい食事の雰囲気を作るよう心がけましょう。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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